今度はどこへ行こうかな〜・・・

 

雪巳「ねー、あそこいってきてもいいー?」

僕「どれ?食べ物?ゲーム?おもちゃ?」

雪巳「トイレーー」

雪菜「私も・・・」

雪沙「ゆきさも〜〜」

 

仮設トイレが並んでいる、

いつもの公園のトイレだけじゃ足りないもんな。

 

僕「いっといでいっといで」

雪沙「うん〜〜」

 

口に飴細工を突っ込んで走ってく雪沙ちゃん、あぶないなあ、

こけて刺さったら・・あ、勢い良く走るもんだからスカートがひらひら・・・

これもあぶないなあ、って何を僕はそれをじーっと覗いてんだ・・雪菜ちゃん雪巳ちゃんも入っていった。

 

僕「時間かかるかな・・・あれ?あそこにいるのは・・・也幸くん!?」

 

水飲み場で食べかけのフランクフルトを洗ってる、

あれって誰かが落としたやつなんじゃ・・そんなの食べたらやばいよ!

止めさせなきゃ・・洗い終わって、どこか行く?公園の茂みの奥へ・・隠れて食べるつもりなのか?

 

僕「行くしかないよな・・・」

 

食べるのをやめさせるだけだし、

いざとなったら僕らに合流させちゃっても仕方ない・・・

僕は駆け足で也幸君の後を追う、茂みに入ると案外、すぐに見つかった。

 

僕「・・・・・」

 

いきなり声をかけると逃げられそうだもんな、

それに食べながら走られて、棒が喉にささったら大変だ。

お、公園の隅でしゃがんで食べ・・てない?あそこにあるのは、ダンボール!?

 

「にゃあにゃあにゃあにゃあにゃあ」

 

猫!?

 

也幸「・・・・・」

 

そーっと也幸くんの背後からダンボールの中を覗くと、

ダンボールの中に大きい猫と仔猫たちが・・目は開いてるから1週間以上はたってそうだ。

そこへ洗ってきたフランクフルトを入れて・・母猫が嬉しそうに食べてる、仔猫はおっぱいを飲んでる。

 

僕「捨て猫かなあ・・・?」

也幸「!!!!!」

 

ビクビクビクッ!!と驚く也幸くん!

あ、腰が抜けてるみたい、ちょっと驚かせすぎちゃったかな?

 

僕「ごめんごめん、拾ったもの食べてるんじゃないかって心配になって」

也幸「・・・・・」

僕「はは、そんなうらめしそうな顔しないで・・あれ?あそこは・・・」

 

公園の金網から駄菓子屋が見える、

あそこは雪沙ちゃん行き着けの・・中は明るい、

お祭りだからいつもより遅くまでやってるのかな?

 

僕「よし、おわびにあそこでお菓子ちょっとだけ買ってあげるよ」

也幸「!!!」

僕「それで許してくれる?」

也幸「・・・・・(コク、コク、コク)」

僕「時間も無いし、すぐ行こうか」

 

也幸くんが立ち・・あがれない?

亀みたいにじたばたして、面白いなぁこの子。

腕を引っ張ってあげて・・おぶってあげた方が早いかな?

 

也幸「・・・」

 

立ち上がったとたんに駄菓子屋の方へ走る!

そこまで急がなくても・・・僕のほうをちらちら見て・・・

時間が無いって言ったからか、僕の気が変わらないうちに、とか?

 

 

 

雪巳「あー、お兄ちゃんいたー」

雪菜「いなくなってて・・びっくりした・・です」

雪沙「あ〜、なりゆきもいっしょ〜、おかしたべてる〜〜」

僕「ちょっと駄菓子屋で也幸くんにお菓子を、ね」

也幸「・・・・・」

 

コク、と一礼して公園の茂みに消えていく也幸くん、

一応、感謝の表情を出せるようになった・・・のかな?

さて、三姉妹との夏祭りデートを再会しよう、次の屋台は・・・

 

僕「また型抜きだ、今度はやろうかな」

雪巳「私もやってみるねー」

雪沙「みんなできょ〜そ〜しよ〜」

雪菜「あれ・・・雅幸・・・」

雅幸「・・・・・」

 

型抜きのみんなが抜き終わった型の残りを、

無言でむしゃむしゃポリポリしいてる雅幸くん、

自分で買う気はないみたいだ、ただひたすら生産されるみんなの失敗の破片を食べてる。

 

雅幸「・・・雪菜おねえちゃん・・・」

雪菜「まさゆき・・・私の・・・失敗したら・・あげる・・ね」

雪巳「2枚くださーい」

雪沙「ゆきさもにま〜〜い」

雪菜「じゃあ・・・私も・・・にまい・・・」

 

簡単そうなのと難しそうなのを1枚ずつ貰ってる、

隣に設置されてるテーブルでみんなヌキヌキ・・・置いてあるピンとか使って・・・

あ、雪沙ちゃんピンの先なめた!きたないなぁ・・・みんな集中して・・・雅幸くんもじーーーっと見てる。

 

雪巳「結構いけそー」

雪菜「・・・・・」

雪沙「♪〜〜〜〜〜・・・できたぁ〜♪」

僕「えっ、もう!?」

雪沙「ほらぁ〜」

 

ほんとだ、ラグビーボール・・・

さっそくお店のおじさんに引き換えてもらう、10円か。

 

雪巳「私もできたよー」

雪菜「・・・・・・・・はい」

僕「2人も!?」

 

四角いのと、ハートマーク、それぞれ10円と20円だ。

で、残った破片をパクパクする雅幸くん、次の型を待っている。

 

雪巳「ひょうたん、むずかしー」

雪沙「・・・・・あ〜、チューリップ割れちゃった〜」

雅幸「・・・・・」

雪沙「あ〜、ゆきさのはたべちゃだめ〜」

雪巳「お兄ちゃんはやらないのー?」

 

うーん、はずかしい・・・

2枚100円ていう値段もさる事ながら、

こういう子たちにまじって型抜きをするのは・・・

 

雪菜「・・・・・」

雪巳「すごーい、ヘリコプター抜けそー」

雪沙「もうちょっと〜、これって・・・せんえんだって〜〜」

僕「そりゃすごいな、後ちょっと・・・お、いけそうだ!」

雅幸「・・・・・」

 

いけそう・・・いけ・・・ああっ!?

 

ひょい・・・ぱくっ!

 

雪沙「まさゆき、とった〜〜〜」

雪巳「とっちゃったー・・・」

雪菜「・・・・・まさゆき・・ひどい・・・」

雅幸「・・・しっぱい・・・してたよ・・・ぼく、みたもん・・・」

雪菜「うそ・・・成功できた・・のに・・・」

 

泣きそうな雪菜ちゃんにかまわずポリポリ食べる雅幸くん、

失敗しなきゃ貰えないとはいえ、これはひどいぞ・・・なんてやつだ。

 

雪巳「雪菜にあやまりなよー」

雅幸「だって・・しっぱいしてたもん」

雪沙「してないよ〜」

雅幸「してたよ・・・」

雪菜「成功したら・・・雅幸に買ってあげようと・・・思ってたのに・・・」

 

眼鏡が涙で濡れそうだ。

 

雅幸「・・・・・」

 

あ、逃げた!

僕の胸に抱きつく雪菜ちゃん、

あんまり強くくっつくと眼鏡がこわれちゃう・・・

 

僕「ほら、泣かないの」

雪巳「お兄ちゃん、かたきうってー」

僕「僕が?雅幸くんをやっつけるの?」

雪巳「ううん、型抜きやってー」

雪沙「ちょ〜せんして、せんえんとって〜〜」

 

まいったなぁ・・・

そんな気は無いんだけど・・・そうだ!

 

僕「すいません、この50枚入りの1包みください」

雪沙「すっご〜い、そんなにぃ〜」

雪巳「えっとー・・・2500円だよー?」

僕「さ、これを持って帰って自由にやっていいから、ね?」

雪菜「う・・・うん・・・」

 

その場でやるのが恥ずかしかったら、持ち帰ればいいんだ。

邪魔者もいないし、それに僕、実は全部の種類をゆっくり見てみたい。

お金を払って、まるで花札みたいにくるんでもらってポケットにしまう。

 

僕「さて、次の屋台へ行こう」

雪巳「あついー、かき氷たべたーい」

雪菜「・・・・・鈴カステラ・・・いい匂い・・・」

雪沙「おにぃちゃ〜ん、てぇつないでこ〜」

僕「うん、いいよ、あ!神社におみこしが展示してある、見よう」

 

 

 

 

気がつけばもう8時になろうとしてる、

踊りがはじまる時間か、そうだ!確か今日は・・・

 

雪巳「つかれてきちゃったー」

雪菜「あせ・・びっしょり・・です」

雪沙「背中かゆくなってきちゃった〜〜」

僕「え?それは大変だな」

雪巳「あっ!!!・・・お兄ちゃん」

 

ん?どうした?何が・・・

ああっ!後ろから、三悪兄弟につけられてる!

目当ては三姉妹の持ってる持ち帰り用の食べ物や、お金か・・・?

 

雪巳「どーしよー」

僕「そうだな・・・そういえばトイレ行きたくなってきた」

雪菜「そんな・・・お兄ちゃんいなくなったら・・・取られちゃう・・・」

僕「あいつらも多分、それを狙ってたんじゃないかな、トイレとかで僕が離れるのを」

雪沙「ど〜するの〜〜?」

 

どうするって、もうこれしかないだろう。

 

僕「帰ろう」

雪巳「うんー」

雪菜「それがいい・・・です」

雪沙「だね〜〜〜」

僕「最後にたこ焼きと焼きそばと焼きとうもろこし買っていこう」

 

4人分をまとめて買って・・・

あの三悪兄弟、にやにやしてる、これが手に入るとでも思ってるのか?

祭りの本番はこれからで踊りもはじまって10時までみっちりあるけど、

僕たちはもう帰るのだよ、ふっふっふ・・・さて・・結構重いなあ・・・やばい・・・

肝心の僕が持ち運びにくいからといってあいつらに3人がかりでやられちゃ元も子もない。

 

僕「公園の裏へ行こう」

 

裏通りは交通整理されてる、

商店街が通行止めな分、多いなあ・・・

三悪兄弟はしっかりついてきてる、むかつく!

 

僕「さ、そこのタクシー乗ろう!」

雪巳「えー?」

僕「はやくはやく」

 

みんなで乗り込む。

三悪兄弟は・・・あはは、やられたって顔してら。

愉快だなぁ・・・後はぐるっと回ってもらってマンションへ帰ろう。

 

僕「すいません運転手さん、近くて申し訳ないんですが、おつりはいいので・・・」

雪巳「あー、踊りはじまったよー」

 

公園から華やかな音楽が聞こえてくる。

この曲は、確か・・・

 

僕「って、はっぱ隊かいっ!!」

 

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