☆雪巳来客☆

僕「雪巳ちゃん、えっと・・・その・・・」

雪巳「あのー、中入ってもいいー?」

僕「あ・・・う、うん、いいよ」

 

断る理由が無い。

でも、雪巳ちゃんが来る理由も無いような・・・

 

雪巳「雪菜と雪沙はー?」

僕「それがね・・・あ、玄関の鍵閉めて」

雪巳「下も鍵があるのに厳重なんだねー」

僕「うん、さすがに上のほうの階は厳重にしないとね」

雪巳「いいなー、このおうちー・・・同じマンションじゃないみたーい」

 

なんだかすっかり打ち解けた喋り方をしてくれている、

オドオドした感じが取れない雪菜ちゃんと大違いだ、

最初から人なつっこい感じな雪沙ちゃんはまた別だけど。

 

僕「2人とも、お風呂場にいるよ」

雪巳「えー?もうお風呂借りちゃったのー?」

僕「雪菜ちゃんは掃除に来てくれたんだけど、雪沙ちゃんは足が汚れてたんで・・・」

 

お風呂場からは雪沙ちゃんの無邪気な笑い声が聞こえる、

まずは雪巳ちゃんを2人に合わせないと・・と一緒に行って中を見ると・・・

 

雪沙「きもちいいぃ〜〜!」

雪菜「ほら、手のひらも洗うから・・・」

 

すっかりボディソープで泡だらけの雪沙ちゃんが、

雪菜ちゃんによって綺麗に洗われている最中だった。

☆雪沙洗浄☆

雪巳「雪沙、雪菜!」

雪菜「あ、雪巳おねえちゃん・・・」

雪沙「ゆきみねぇちゃんも入る〜?」

 

あんまり近くで見ないようにしなくちゃ・・・

 

僕「ははは、雪沙ちゃん、よ〜く綺麗にしてもらいな」

雪沙「うん〜!つぎはゆきさがゆきなおねぇちゃんをあらってあげるぅ〜」

雪菜「あ・・・私は・・・掃除・・・します」

僕「いいよいいよ、お風呂綺麗になったら雪菜ちゃん、お礼に一番風呂入って」

雪沙「おにいちゃんもあらってあげる〜」

僕「え!?ぼ、僕はいいよ・・・じゃ、じゃあ!」

 

焦って再び逃げる、

あんな中で洗われたらとてもじゃないが冷静でいられない、

なんだか自分が完全なロリコンになってしまいそうで恐い・・・

 

ふう、自分の部屋に戻った、落ち着こう。

それにしてもこれで3人揃っちゃったよ・・・

またあのビッグマザーに何か言われそうだから、今日はとっとと帰ってもらわないと・・・

 

雪巳「あのー」

僕「わ!びっくりした」

雪巳「あ、ごめーん」

僕「い、いや、いいんだ、考え事してたから・・・」

雪巳「私も後でお風呂使ってもいいー?」

僕「う、うん、いいよ・・・でも・・・」

 

ど、どーしても胸に目が行ってしまう・・・

 

僕「そうだ、どうして来たの?」

雪巳「あー、そうそうー、昨日のお礼に来たのー」

僕「お礼?あ、うん、いいよ、でも、もうあんな所で寝ちゃ駄目だよ」

雪巳「うーん・・・他の場所探すー」

僕「他って、家の中だよね?公園とか外は危険だから」

雪巳「だってー、場所無いしー・・・」

 

困ったなあ・・・

警察に電話したって確か無駄だったよな、この子の家は・・・

福祉事務局とかも相当この家には頭を悩ませてるし、どうすればいいんだろう。

 

雪巳「それでお母さんがねー」

僕「え!?お、お母さんが、な、ななな、なにか!?」

雪巳「昨日のお礼に炊事洗濯してきなさいってー」

僕「お母さんが、そんな事、いったの?」

雪巳「うんー!」

 

へ〜〜〜〜〜・・・

一応、お礼をしに来させるような考えはあるんだ・・・

 

雪巳「でねー、今夜も泊めてもらいなさいってー」

僕「いー!?」

 

ぴんぽーーーん

 

またチャイムが鳴った、

考えられた来訪者の内、3人はもう来ている、

と、いうことは・・・嫌〜〜〜な予感がするなあ・・・

 

玄関のモニターに映し出されていたのは、

予想通りのビッグマザー、たいして待たせてないのに

腕を組んで指をいらつかせている、こわいなあ・・・

 

僕「はい」

雛塚母「ちょっと!うちの娘、3人ともそっちいるでしょ!?」

僕「・・・います」

雛塚母「もう食事の用意済ませたって言っておいて!」

 

・・・・・ほっ、

どうやら迎えに来たみたいだ、

安心した・・・・・ような、そうでないような・・・

 

雛塚母「ちょっと、聞いてるの?」

僕「はい、じゃあ今すぐ・・・」

雛塚母「だから、食事の用意もう終わったから、その子たちの分は無いから!」

僕「はぁ!?」

雛塚「だから自分たちで勝手に夕食済ましときなさいって伝えといて!わかったね!?」

 

な、なんなんだあ!?

 

僕「ちょ、ちょっと!あの子たち自分でって、そんな・・・」

 

言いたい事だけ言ってエレベーターで降りていったビッグマザー・・・

そんな、むちゃくちゃな・・・と、僕の後ろには雪巳ちゃんが来ていた。

 

雪巳「晩御飯、なくなっちゃったー・・・」

僕「ど、どうするの?」

雪巳「どうしよー・・・」

 

あきらかに僕に訴えかける目・・・

言いたい事は、わかる。夕食を作りに来た目的も、

3人がまた来た目的も・・・食事とあと、あわよくば寝床も・・・

 

僕「じゃあ、とりあえず夕食だけ・・・作ってもらおうかな」

雪巳「うん、作るよー、台所借りるねー」

僕「大丈夫?って、冷蔵庫、あんまり入ってないよ」

雪巳「えー、なんでー?」

僕「一人暮らしだし自炊あんまりしないし、朝食のパンとかは今朝、君たちがごっそり食べちゃったし」

雪巳「じゃー、どうするー?お米はあるー?」

僕「うん、まだ残ってるけど・・・じゃあ、スーパー行こうか」

 

カバンを置いた雪巳ちゃんと、

一緒にエレベーターを降りる・・・

うーん、セーラー服の女子中学生と一緒に買い物・・・ちょっと恥ずかしいな。

これが本当の妹とかなら全然平気なんだけど、7つも年下の他人だからなあ、

大学の知り合いに見られたら何言われるか・・・って、別にやましい事は無い!・・・はずだ。

 

僕「近所のスーパーでいいよね?」

雪巳「うんー・・・あ、早く行こう!」

僕「え?なんで?あ・・・」

 

マンションから出た道の左から、

雛塚家三悪兄弟がやってきた、漫画を読みながら・・・

あの本、自分で買ったかどうかも疑わしい、何せ万引き常習犯だからなあ・・・

雪巳ちゃんは逃げるように僕の腕を引っ張りスーパーのある右へと急ぐ、

かなーり焦ってる、僕もつられて急ぐ、角を曲がって・・・ふう、もうここまで来れば安心だろう。

 

僕「雪巳ちゃん・・・」

雪巳「はぁ、はぁ・・・なにー?」

僕「あのお兄さん、嫌いなの?」

雪巳「きらい!だいっきらーい!虐めるし盗むしごはん食べ過ぎるしー」

僕「・・・ほんっとに嫌いみたいだね」

 

顔が嫌で嫌で仕方ない、恨みのこもった表情してるよ・・・

 

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