傍にいるだけで安らぐこともあれば、何度も何度もベッドで愛し合ったり・・・
この日々が永遠に続けば良いと思った、続けてはいけない理由など、何もないはずだと。
「ああ、おはよう・・どれ、すっかり濡れてしまったシーツを洗うとするか」
私にとって、とても言い辛いものだということは洞察すればわかる。
「・・・・・まだ眠いのならば上のハンモックまで行くか?私が抱いて運ぼうぞ」
「おうそうか、おなかが空いておるのだな、食卓の朝食を運んでまいろうか」
「その・・・最初の約束通り・・地上に・・帰りたいと思います・・・」
「はい・・・うまく言えませんが・・これ以上、ハプニカ様に甘えると・・自分が駄目になってしまうような気が・・」
「その・・・えっと・・俺・・あれ?何だか・・よく・・わからない・・でも・・・」
これはリリに近いものがあるな、精査できぬがいてはいけない気がするのだろう、
気持ちを整理し、現状を分析すれば、ここにいる事自体が罠、という事に気がついてしまうかも知れぬ。
さて困った、このお方はララたちが薄く媚薬を飲ませ続けたせいで、、
夜になると激しく体を求めるようになる、1人にさせては悶え苦しんでしまう。
「・・・・・そなたがそう言うのなら仕方あるまい・・外へ出よう」
だが、嘘をつかなくてはこのお方のためにならないのであれば・・・嘘をつこう。
「ちゃんと調教した私の白竜でなければ、言う事はきいてくれぬのだ」
「おそらく夕方には戻ってくるであろう、それまでしばらく待ってはもらえぬか」
よし、これで半日は引き伸ばしたぞ、愛するお方も少しほっとしたような表情だ、嬉しい。
これでいい、とりあえずはこれでいい、このまま引き伸ばし続け、
さらに1週間、1ヶ月、1年、10年、30年と延ばし続ければ、
それを受け入れてくれたあのお方の、結果的には「ここへ残る」という意思になる、
今は迷っておられるのだ、だから、その迷いを私のほうへ引き寄せたい、そのためなら、何だってしよう。
丁度、運動不足で肉が付き始めた所だ、愛しいお方がもう強くなれない分、
この私が強くなり、もしあのお方がここを旅立ったとしても、ついていく事を許されれば、お守りするために!
それに、夜の営みとて、あのお方が激しく動けぬ分、私が動かなくてはならぬからな!
「白竜には1週間も乗らなかったからの、再び乗るには体の感覚を研ぎ澄まさなければならぬ」
「ふ、風呂にでも入ってくる・・もしよければ、そなたも一緒にどうだ?」
「は、はい・・・じゃあ俺も汗を流した方がいいですね、運動しないと・・俺も素振りを」
「いや、そなたはもうじゅうぶん、毎晩運動をしておるではないか・・それにこれからも・・ふふ」
あぁ、もう愛するお方に、真摯に気持ちを伝え続けなければいけないのに、
これからますます騙してしまう事になる・・・白竜が来たらどう言い訳しようか・・・
愛しいお方は私の言った事を素直に信じてしまうだろう、白竜が機嫌を損ねたとか、
見た目は普通だが熱を出しているとか、白竜の妻が出かけるのを反対しておるとか・・・
だが元々、強引に連れ去って来たのだ、名目さえあれば良い、心の痛みも、愛し合えば薄らいでいくはずだ・・・!
翌日も翌々日も、翌々々日も・・・白竜が気を利かせてくれたのではないかと思うほどに。
愛しいお方にしても、ここを出て行くと、地上に帰ると言っていたのが嘘かのように日々を過ごしている、
いつまでもここにいて、ずっと3人だけで暮らしていただけるような、そんな気にさえなってしまうように・・・
気がつけばあのお方から、地上へ戻るという言葉をあまり聞かなくなっていた、戻るのが大前提だからだが・・・そして・・・
「ないな・・ここは天然の城壁だからな、木から外へは空からしか出れぬ」
「そうですか・・でも、調教してない白竜にうまく乗って、パラシュートか何か作って淵から飛び降りれば・・」
「そうはいかぬ、普通、白竜は人間が大好きだからな、もし木から飛び降りればすぐさま飛んで拾ってここまで戻してくれる」
「ああ、だから、もし間違って木から落ちても安全だ、24時間いつ落ちても察知してくれるぞ」
「ああ、ああやって遊んで・・あと1年もすればミルもあの白竜に乗ってこの木の上ぐらいなら自由に飛べるようになるだろう」
「私も新しい白竜を調教しはじめた方が良いかもしれぬな、そなたのために」
ついに戻ってきたか、しかし何をそんなに慌てておるのだろうか・・・
しばらくして姿が見えてきた、なにやら多くの物を積んでいるようだ、
重すぎてよろよろと・・操縦しているのは・・・1人ではないぞ、よ、4人!?
ということは・・・やはり、あやつらか!白竜が戻ってこなかった原因は、これだったのか!
白竜はふらふらのヨレヨレ、それはそうだ、本来は操作できるのは私だけ、
それを無理矢理、4人がかりで・・・白竜も目が困っておる、だが、本当に嫌なら乗せはしないはずだ、
一体どうやって・・・白竜は仕方がなさそうに、弱りながら着地した・・・跳び下りて走ってくる4姉妹!
そのまま愛しいお方へ、半ばタックルのようにして飛び掛る!大戦で見た、4人同時のフォースアタックだ!!
「はぁ、はぁ、大変だったけど、諦めなかったからね、アナタ!!」
大戦なら4本の剣が相手に突き刺さっている所だが、これはまるで獲物を全身で捕まえているようだ、
愛しいお方が勢い余って後頭部でも打ちやしないか心配したが、ちゃんと抱きつく瞬間にララが腕で守っている。
「別に白竜に傷つけたり、怒らせるようなことはしてないけど・・」
荷物を振り落とし、バサバサバサ、と白竜が自分の巣へ戻っていく・・家族も嬉しそうだ。
「そなたたち、こんな所までつきまとって、迷惑を考えぬのか?」
「えっと、ハプニカ様とはもう師従関係にはないから遠慮しなくていいんだよね?」
「一生お世話させていただくお約束をしましたー、ね、ダーリン♪」
媚薬の実の効果で4姉妹を求めたのだろうが、一生の世話の約束まで・・・!?
「とにかく、せっかくまた会えたんだから、ひとまず落ち着きましょう!ハプニカ様も!」
「さ、旦那様、別荘へ入りましょう・・ここ来るの、3度目ですわ」
「そうですー、ハプニカ様に連れてきてもらった事があったのでー、なんとか来れましたー」
「ちょっと最近体が硬くなったんじゃないか?マッサージマッサージ!」
それより4姉妹の荷物が無造作に転がっているが・・・回収するのは・・・・・私か!?