「ひょっとしたら時間がかかるやも知れぬが、必ず戻るゆえ待っていてくれ」
まわりの枝には他の白竜たち・・・挨拶するように旋回したのち、ぐんぐんと地上に向かって滑空する。
「雲に入るまではあまり幹から離れるでないぞ、寒さで凍え息もできなくなる」
さすがに下りは早い、極端に言えば落下しているようなものだからな。
やがて雲に突っ込み、真っ白な視界が続いたのち、すぐに森林が、そして街並みが目に入った。
とえいあえず城の位置を確認し、そこから国境を越えるための道をたどり、宿屋を探す・・・あった。
しかも長い・・・いた!あの人影は4姉妹と、愛しいお方に間違いない!
さあ、問題はうまく奪えるかどうかだ、この高さならまだ気付かれていないと思うが・・・
「4姉妹にも4姉妹なりの筋書きがあってついて行ってるのだからな」
どう愛し合っていくかを4姉妹も考えに考えて、ああして一緒に旅をしているはずだ。
それを横から奪うのだ、そう簡単に行くであろうか?私が奪いに来るのも想定内であろう、
まさか4姉妹で私を倒すとっておきの必殺技でも開発を・・・ええい、悩んでいても仕方が無い、突撃だ!
「白竜よ、人をさらうゆえ、私が捕まえたらすぐに舞い上がるのだぞ!」
口々に何か言っておるようだが、私はかまわずランスを振り回す!!
うまく行く時はこんなものだ、だがこれを簡単と思ってはいけない。
「言い寄られて迷惑だったであろう、あそこまでついていってしまって・・・」
保護をしている期間でいかに、城での失態を返上できるか、本当の愛を信じてもらえるかだ。
「大丈夫だ、良い隠れ家がある、そこでしばらく身を隠すといい」
「・・似たような所だ、もっともっと上がる、しっかりつかまっているのだぞ!」
ぐんぐんぐんぐんぐんぐんぐんぐん上がって上がって上がりきると・・・・・
私とてこのお方の住んでいたモアス島を初めて見たときは驚いたものだ。
何も無いはずの海の真ん中に突然、巨大な島があったのだからな、しかも要塞都市だ。
それに比べればまだまだ小さい、まあこのお方がモアスを当然のものと考えるように私もここが当然のものなのだ。
「もしもの時の避難場所だ、この場所はほんの一握りの者しか知らぬ」
「先祖代代、自らの手で作ったのだ、落ち着くまでここにともに住もうぞ」
「そうだ、私は女王の座を降りてきた、代わりのものに任せてある」
スバランの木から発する空気のおかげで、すぐにクールダウンできた。
「そなたが心配する事ではあるまい、もちろん私ももう関係ない」
「おにぃちゃん、ミルもおにぃちゃんにお話したいこといっぱいあるのぉ」
3階や屋上も整理せねば、うまくいけば一生、共に過ごす可能性もあるのだから・・・。
愛しいお方もようやく気分が落ち着いてきたようだ、心の戸惑いはまだ残っているだろうが、
連れ去って来た事に対して激怒するという様子はまったく見られないな、素直に話を聞いてもらおう。
「はい・・それにしてもびっくりしました、ズバラン山脈の頂上にこんな場所があるなんて」
「おにぃちゃん、すごいでしょ?ここをしっているのは王族だけだよぉ」
「うん、ハプニカ様から聞いた・・・ここなら大戦の時も安全だったのでは?」
「そうだ、実際、大戦中も父の目を盗んでもし我が血脈が途絶えたときのための遠縁を住まわせていた」
「へえ・・・そうですよね、そういう可能性もありましたから・・で、今は?」
「私たちだけなのぉ、隠居してきたからぁ、ここにずっと住んでいいことになったのぉ」
「そうだ、私たちは疲れた・・もう疲れきってしまった・・・だから、ここで余生をおくる事もできる」
「そんな、ハプニカ様はまだ26歳ではないですか!ミルちゃんなんて16・・・」
「私はぁ、おにぃちゃんと一緒にいられるならどこでもいいのぉ」
愛しいお方の胸に潜り込むミル、こういう時、幼さは武器になる。
「おにぃちゃん、ミル、おにぃちゃんと一緒に行くぅ、ついてく事に決めたのぉ」
「・・もちろん私もそなたについて行きたいのだが、それはそなたの決める事だ、
とりあえずここへは私の白竜でしか来れぬ、邪魔者はおらぬ、1週間ほどここで身を隠し、
4姉妹の目の届かぬ所へ送ろう、私達がついて行ってもよいか、その時に決めてほしい」
「念のためだよぉ、それまでおにぃちゃんのお世話、ちゃんとするねぇ」
「もちろんだ、私達の心配はいらぬ、そなたと別れてもここでミルと幸せに暮らすつもりだ」
強引に連れてきたという事実を認識したとしても、1週間なら、いてくれるはず・・・!
思わず口元が緩んでしまう、まあ、笑顔は隠しても仕方がないであろう。
まさか逃げ出そうとしているのでは、と慌ててハンモックを降りる!
「もちろんだ、スバランの木の実は種類・栄養豊富、全て美味であるぞ」
ここが群生地だったとは知るまい、だが驚くと同時に少し怯えているようにも見える。
「本当だ、小さい白竜が3匹・・そのとなりの大きいのは、白竜の奥さん?」
「そうだ、この場所は元々は白竜の棲み家なのだ、今も200匹ほどの白竜が住んでいる」
「なるほど、そうだったんですか、気づかなかった・・・よく見るとちらほら上にいますね」
「人を傷つけるために戦う民族ではない、人を、森を守るために強くなるのだ」
「私は海で暮らすとしてもかまわぬ、魚の獲り方もすぐに覚えてみせるぞ」
「・・・確かに鯱も陸の人は最初、怖がりますけど、実際は人の事をよく理解しています」
「白竜も同じであるぞ、鯱の事はくわしくは知らぬが、どこに違いがあろうか・・・」
こうして互いの考えを話し合い、きちんと説得すべきであった・・・
ならば、誤解も時間をかけて解消する事ができたというのに、生き返った、
そして傍で看病させてもらえる、それだけで幸せを感じ、満足し、愛も当然受け入れられると勘違いしていたのだ。
「空を泳ぐのは楽しい、海を泳ぐのも楽しい、ともに同じ楽しさに思えるのだが」
「・・・考え方ですね、海も空も、まったく違うとも言えるし、まったく同じともいえる・・・」
「そうだ、民族も同じだ、違うと思えば違うが、同じ人である事には変わりあるまい」
怯えていた様子はすでになく、これならば白竜とも自然に会話できるであろう。
もっともっと時間をかけ、全ての疑問、宿題を解いたその時に、はじめて、、
私は結婚を申し込めるのではないだろうか?それにはもっともっと時間が・・・1週間では足りない。
これもひとつの答えだ、それを納得するかのように力を抜く愛しいお方・・・
私の体中が熱くなる・・・離れたくないどころか・・・このままひとつになりたい・・・!!
すると抵抗がまるでない、いや、男であるから形だけの抵抗はあるが・・・
これが、女が男に、抱かれたいのに「いや、やめて」と言う心理と同じなのだな、勉強になる。
ならば、恥ずかしがっているなら私も脱げばよい・・・よし、これで私も愛しいお方も、丸裸だ。
徐々に力が抜けていく愛しいお方の上に覆いかぶさると、私の胸がのしかかり、
それをまるで心で受け止めてくださっているようだ、うれしい・・・もっと、もっとだ!
「もう何も、悩む事などない、私を・・信じて・・もらうだけだ・・・」
看病の時に覚えた手技、きゅっ、きゅっと指で亀頭をつまみこする・・・
私は熱い恥部を軽くあてがうと、愛液がぽたぽたと、その上にたれていく・・・
再び唇を重ねられる・・今度は覆い被さるキスだ、舌が深く入る・・・いやらしく舐め回す・・・・・
同じ過ちの繰り返しだ、これはこれで、焦らすという意味もあるかも知れぬが・・・
右手で顎を捕まえ、左手で頭をやらしく何度も撫でてさしあげる・・・
このままいただいても良いか?と目で問いかけると、トロンと無言の了解をされているようだ、
だが、これが思い込みであってはならぬゆえ、無言の、ではなく、言葉として、ちゃんと聞かねばならぬ。
やはりちゃんと言ってもらわなければ、何せこのお方が意識を取り戻してからは、、
きちんと「膣の中」で射精させる事は禁止としてきた・・・だからこそある意味、これは初夜なのだ、
このお方の認識では、私がはじめて、このお方のペニスを膣へいただこうとしている事になるのだから・・・・・
ちゃんと愛していたと・・・うぅ、入れたいがまだ入れられない、は、はやく入れたい!
「・・私の愛を信じてもらえなかったのは、今までそなたのこれを私の中へ入れなかったからかも知れぬな」
「もう、私は自分に素直になるぞ、欲望を隠さぬ、そなたにありのままの私を見てもらう・・」
「もう容赦せぬ、そなたに信じてもらうまで・・私の心をそなたにぶつけるぞ!」
「ここにはもう敵などおらぬ、だからそなたを守ったり、そなたに守られたりする必要などない・・・
もう力などいらぬのだ・・そして私はそなたを偽りなく愛している・・愛して・・・嘘ではない・・・
もういくら言っても言い訳にしかならぬなら・・私の体で・・真偽を見てもらいたいのだ・・気持ちを・・・
私が欲しいのは強い男でも、国王になれる男でもない・・私が欲しいのは・・そなただけだ・・そなたなのだ・・
残りの・・私の残りの人生は・・そなたにどうすれば愛してもらえるかだけに捧げるつもりだ・・もし叶わぬなら・・
ここで、そなたを想い続ける事のみに一生を費やすつもりだ・・もう、そなたしかないのだ・・私には・・本当に・・
私にはそなたがいる場所が楽園・・そなたのいない場所が地獄だ・・どうか私を地獄へ落とさないで欲しい・・だが・・
そなたの裁定が私に・・地獄で償えというのであれば・・私は罰を受け、そなたを想い続けて朽ちよう・・・
毎日、いないそなたに語り掛けて暮らすとしよう・・それでしか・・もう自分を保てないであろう・・私は・・
大戦で全てを失ってしまったと思ったが・・そなたが手に入るのならば大戦に感謝したいぐらいだ、たとえ父や兄の命と引き替えにしても・・
だが、そなたまで失ってしまったら・・いや、失いかけたのだ、私の手で・・だから、この罪を受けているのであろう、
そなたに愛を信じてもらえぬという形で・・どうか罪深き私を救ってくれぬか・・・情けをかけてくれぬか・・・たのむ・・
もう、もうそなたにすがるしか、私の幸せはないのだ・・そなたをあんな目にあわせて幸せを、などと言うのは間違っているだろうが・・
しかし、しかし私にはもうそれしかないのだ、そなたは私の全て・・私を・・私を・・・・・うぅぅぅぅ・・・ぅぅ・・・」