すっかり夜が更けた、

4姉妹は自室へ帰り、ミルはあのお方の看病。

私はかなりラフな格好で、まだ少し残っている皇務を仕上げる・・・傍に付いているのはシャクナだ。

 

「遅くまで済まない、先に眠っても良いのだぞ?」

「いえ、ミルさまとの交代まで、まだ時間がありますからっ!」

「無理はするでないぞ・・・まあ、直に力の抜き方も覚えてくれると思うが・・・」

 

こうして親衛隊の代わりに私に付かせれば、

徐々にではあろうが、私にも、皆にも慣れて、

本当の仲間となれるであろう、共に王妃としてのな・・・

 

「良い機会だ聞いておこう、シャクナは皇級僧侶となった暁には、ミルとどのような改革をしたいのだ?」

「はいっ、昼に申し上げた予算の事、教会への、孤児への手厚い支援、以外のことで言いますと、その」

「肩の力を抜くが良い、別に尋問や、そなたを試している訳では無いのだから・・・ミルクを飲むが良い」

 

ひと飲みして落ち着いたシャクナ。

 

「・・・僧侶の大きなイベントと申しますと、お城の季節集会がございます」

「ああ、春・夏・秋・冬とある・・300人程がミルや特級僧侶の中でも長老と呼ばれる者の話を聞く集まりだ、私も僧侶ではないが参加する」

「はい、しかし呼ばれる方は特級・上級僧侶のエリートばかりで、1級僧侶はごく僅か・・・せっかくのありがたいお話を上の方々が独占している状況です」

 

確かに・・・ただ話の内容には、時には高度で危険な魔法や国家機密に触れそうな話もあるから、致し方あるまい。

だが、そういう場を利用してスロトやヴェルヴィ、マリーめが、謀反の賛同者を集めていたのかも知れぬ、ラーナンのような。

 

「1級僧侶だった私に凄くありがたい講義も多かったのですが、それを覚えて、書き記して、神父さまや仲間に伝えるのが大変で・・・」

「そうか、シャクナの教会の神父は、いかに上級僧侶といえど季節集会には呼ばれていなかったのか」

「本来、神父さまが呼ばれる枠を私にくださったので・・・ですから、より多くの方が参加できる方法がないかと」

「では季節集会の人数を増やすか、毎月、中央闘技場で行われておる教会連合集会と合併するのもよいな」

「ただ増やすのではなく、それぞれの階級に合った人数を・・・ミルさまとも、そういうお話をよくさせていただいております」

 

あのお方の看病をしながらか・・・本当にシャクナは忙しいのであるな、休暇を与えたいが・・・

 

「シャクナよ、そろそろ最特級僧侶も選定せねばならぬ、定員は3名+皇級僧侶予定者だ」

「はいっ、そちらの方もミル様とお話させていただいたのですが、選挙にしてはいかがかと」

「それは凄い改革であるな、今までは皇室のエリートばかりが就任し、一般からはあまり任命されなかったが」

「特級上級はもちろん、1級から4級まで、全ての僧侶に選挙権を与え、上位3名になっていただこうかと」

「なかなか面白そうだな、任期をどうするか、予備選挙や立候補審査が必要かなど、色々と詰めるべき点もあるが・・・」

 

どたどたどたどたどた・・・・・

 

「ハプニカさまーっ!!!」

「どうしたララよ、もう夜も遅い、あまり足音をたてるでない」

「あのお方が、いま、たったいま、起きられました!意識を!取り戻されました!!」

 

・・・・・なんと!!!

 

「夢では・・・あるまい・・・な」

「はいっ!!ぜひとも、ご対面くださいませ!」

「わかった!わかっ・・た・・・ううっ・・・うううぅぅーーーー!!」

 

様々な感情を押し殺しながら、あのお方の部屋へと走る!!

ついに、やっと、ようやく、私の愛が、むくわれたと、いうのであろうか、本当に!!

 

ガチャッッ!!

 

「・・・・・・!!!」

 

ベットへ目を向けると、

皆に囲まれている、あのお方が・・・目を開いてこちらを見ている!

間違いない!間違いなく、愛する、この私がこの世で一番愛するお方が、蘇ったのだ!!

 

「えぐっ・・・えぐっ・・・う・・・うう・・・うあーーーーーーーー!!」

 

寝ている足元にすがって、まわりも憚らず泣く!

本当は胸に抱きつきたい、いやむしろ私の胸へ抱き寄せたいが、

胸ではすでにミルが泣きついており、さらには病み上がりの体に何かあってはいけないと、

こんな状況でも冷静に判断してしまう私・・・しかし、感情そのものは抑える事などできぬ!

 

「うぐっ・・・うああああっ・・・」 

 

嗚咽のような泣き声が私の胸の奥からあふれ出す!

まわりでは皆も泣いている、それどころか愛するお方まで泣いているようだ、

話したいことは山ほどある、聞きたいことも色々とあるが、今は、今はこの喜びを涙に変えよう!

 

「・・・・ううぅぅ・・・・・・・・うぅ・・・・・ぅ・・・」

 

・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・?

 

「・・・これは、眠ってしまっておるの・・・か?ミルよ」

「はいぃ、起きた事に、疲れちゃったみたいだからぁ、もう寝ちゃったぁ」

「そ、そうか・・・も、もしや、これでもう起きることは無いとかいう事は・・・?」

「大丈夫ぅ、ちゃんと喋ってたからぁ、明日にはまた起きるはずなのぉ」

「そうか、脳に障害とかは残って無いようならばいいが・・うぅ・・・本当に・・・起きてくれたの・・・だな」

 

こうしてまた眠りについてしまったのを見ると、

先ほどのことがまるで嘘のよう、夢を見ていたかのようだ。

だがわかる、一度目を覚ました事で、あきらかに生気を、生命の鼓動を取り戻している!!

 

「・・・・・よし、明日からの、このお方についての事を、早速決めればなるまい」

 

すでに粗方決まっているとはいえ、正式なものにせねばならぬからな。

 

「・・・おおシャクナ、すまない、そんな端におらずシャクナもこのお方の方へ・・・」

「はいっ!・・・トレオさま・・・あぁ・・・トレオさまぁ・・・・・・・」

「ではララよ、このお方が目覚めてからしばらくは、どうするとしようか」

 

まだ目の紅いララがハンカチでぬぐいながら答える。

 

「とりあえずは、今まで通りで良いかと思います」

「今まで通りというと、寝ている時と同じ看病を、目を覚ましても、か」

「そうです、そうやって意識を取り戻させたのですから、意識があるからといって控えることでもありませんわ」

「確かに、寝ている間にこっそりと、後ろめたいことをしていた、という訳ではないからな、しかし・・・」

「おそらくまだ体は動かせないでしょうから、そういった事も含めた介護に慣れていただかなくては、なりませんから」

 

口移しでの食事や排泄の世話はもちろん、

精から子種を取り戻す行為も、これからは起きて、見てもらわなくてはならぬのか・・・

愛し合ってさえいれば、わかってもらえると思う・・・そうだな、私たちが照れてどうするのだ?胸を張れば良いのだ!

 

「・・・皆が王妃になる事も伝えねばならぬな」

「はい、もうこの国の王となっていただくのは、この方しかいませんから」

「それと、詫びねばなるまい、このような事態になった事を、心から・・・しかし皆が皆、謝り続ける訳にもいかぬな」

「国民全員が1人1人順番に謝罪していたら、謝られているこのお方のほうだって、くたびれてしまいます」

「ならば謝るのは1度きりにしよう、それは私がする、そして、それ以降は行為をもってして、態度で示すのだ」

 

そして、許してもらえれば、それはすなわち婚姻の、王になる事の許諾となりえよう、

あとは体を回復させつつ、ただひたすら、愛を注ぐのみ・・・私たちのした罪は消えぬが、王妃となる事が、償いにも繋がるのだ!

あぁ・・・泣き疲れたせいもあってから、一気に体の力が抜ける・・・そうだ・・・今夜はもう、このまま傍で、一緒に眠らせてもらおう・・・

 

「よし、後はもう良い・・・皆は下がって良いぞ・・・ララよ、皆を外へ出すのだ・・・」

「ハプニカ様、こちらで夜を明かしますと、お体に差し障りが・・・」

「何もこのお方を取って喰おうという訳ではない・・・本心を言えば、このお方が目を醒ました時、一番最初に見るのが私の顔であってほしかった」

「正直に申し上げて、今のハプニカ様ですと、取って喰う以上のことをしてしまいそうですわ」

「ならばミルなりシャクナなり、回復のできる者を1人、監視として残せば良い・・・あぁ・・・次に目が醒めたときこそ、私を見て欲しい・・・・・」

 

そして、そなたの手に入れたかったハプニカはここにいると、

見事にもう手に入れたのであるぞと・・・口には出さなくとも、唇を交じ合わせればわかってくれるはずだ。

 

「お姉さまぁ、では私が残りますぅ、シャクナさんはもちょっと後でぇ」

「はいっ、で、では、ハプニカ様の皇務の書類を、とりあえず片付けてまいりますっ!」

「ああ頼んだ、放りっぱなしで済まない、早急に必要なものはもう無いはずだからな、ララ達も頼んだ」

「ではとりあえず、今の所は退散させていただきますわ・・・それではハプニカ様、また明日・・・」

「うむ・・・・・さあ、愛しい人よ、今はゆっくり眠るが良い、私がその眠りをより快適なものにしてみせよう」

 

親衛隊四姉妹やシャクナが出て行く最中にもかかわらず、

愛しい方と、まるで二人っきりかのように甘い甘い時を作り出す・・・

この際、監視のミルは空気だ、今はこの大事な大事な世界をたっぷりと堪能しよう。

 

「・・・・・邪魔者は出ていった、さあ、眠れる王子に口付けを・・・」

 

ちゅっ・・・

 

「ふふふ・・・これでもう・・・明日には目が覚めるはずだ・・・」

「・・・・・・・zzzzz・・・」

「そうか、呪いが解けて嬉しいか、私も嬉しいぞ、何なら王子様だっこでもしてみせようか?」

 

・・・厳密にはもうすでに1度目覚めただとか、

ミルは絶対にあきれた顔をしているに違いないとか、

そのような細かい事はどうでも良い、朝まで、いや、起きるまで、2人で愛をはぐくむのだ!!

 

「そなたが起きたら・・・どうしてくれよう・・・どう、もてなしてくれよう・・・

 まずは謝り、許してもらえたならば、それはもうGOサインだ、すなわちその瞬間から恋人・・・

 正式な婚礼の儀式までは婚約者、短い期間であるが恋人として、しっかりと愛し合わせてもらおう、

 私の夫となるべき者は、はじめから、やはり年下が良かったのかも知れぬな、年上では肩が凝り衝突も起き得よう、

 しかし年下ならば、私は守ってもらうよりも、守る側の方がやりがいもあり、その方が落ち着く・・・めいっぱい甘えさせようぞ」

 

ピクリと耳が、頬が動いた・・・きっと私の愛を、呟きを喜んでくれているのであろう。

 

「もうそなたはじゅうぶん、世界を、このダルトギアを、そして、この私を、守った・・・

 その代償として、たとえ寝たきりになったとしても、今度は私たちが、いや、私が守る番だ、

 私が欲しいがために、私に認められたいがために、私と結婚したいがために、ここまでしてくれた、

 それだけでそなたはもう、私が守る価値のある男だ、こうして私が甘えることができるのも、もうそなただけ、

 だからこそ、もう2度と、そなたを失いそうになる事はせぬ・・・だから、私を頼りにして欲しい、遠慮はいらぬぞ・・・」

 

ベットの中でそっと寄り添う・・・

あぁ・・・愛するお方の匂いまで生気を取り戻してきたように感じる、

このまま・・・ずっと・・・ん・・ふぁぁ・・・少し・・・眠く・・なって・・き・・・・た・・・・・

 

「ん・・・しばらくは・・・心の中で・・・はな・・そ・・ぅ・・・・・・」

 

・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・眠るハプニカ、そしてこっそり入ってくる四姉妹。

 

「・・・・・ハプニカ様は熟睡なさっているようですわね」

「ではー、みんなでお運びいたしましょうー、お体を壊すといけないのでー」

「ハプニカ様のためだから、これを許すとハプニカ様、毎晩ここで寝ちゃう」

「ちゃんと起きるまでぇ、お姉さまたちと交代でついてるから安心してくださぁい」

 

四人がかりでハプニカを廊下へ連れ出す、

普段ならベットから離された時点で気付くのであろうが、

日々の激務で疲れ、しかも愛する人の胸元でとろけるように眠ってしまったハプニカは、

目を覚ますことなく、信頼しきっていた親衛隊によって自分の寝室へと運ばれる・・・

入れ替わりで入ってきたシャクナが半分眠りかけているミルに言葉をかける。

 

「交代いたします、しっかりベッドで休まれた方が良いかと」

「んー・・・シャクナさぁん、一緒におにぃちゃんのベットで寝ようよぉ」

「そ、そんな、そのような、こと・・・しても・・・よろしいの、で、しょうか・・・」

「そういう回復魔法だってララさんたちに嘘ついてぇ、2人で両隣に寝ちゃうのがいいぃ」

「しかし・・・で、でも、そうですわね、私たちが遠慮すれば、きっとララさんたちが・・・」

 

やはりハプニカ様の妹なんだなと思うシャクナ、

と同時に、恥ずかしがりながらもいそいそと「愛しいトレオ様」のベットに潜り込む・・・

後から来た四姉妹が、やられた、と思う夜はこうして更けていったのだった。

 

・・・

・・・

・・・・・そして朝、素早い足音が近づいてきた。

 

ガチャッ

 

息を切らせて跳びこんできたのは、

まだ髪も解かしていない、寝起きのハプニカだった。

 

「してやられたっ!!」

 

ベッドで両隣から添い寝するミルとシャクナを、

まるで大きな猫をどけるかのように外すと、まだ眠る愛しい人の上に覆いかぶさる。

 

「・・・まだ目を覚ましてはおらぬのだな?良かった・・・」

 

騒がしさに慌ててやってきたララ、

両手にはトレイに乗った朝食が少しこぼれている。

 

「まあハプニカ様、朝から寝込みを襲ってらして!」

「これは起きた時に私の顔を見れるようにしているだけだ!」

「まだそのお方は体の感覚が戻ってらっしゃらないはずですわ、もし無理に乗って体を痛めてしまったら・・・」

「よく見よ、私の突いている両手、両膝は体の上にはない、ちゃんと避けてベットの上におる」

「そこまで顔を近づけてらしたら、びっくりなさってしまいますわよ?それに・・・」

 

朝食を置き、朝日が差し込む窓のカーテンを閉めたララ。

 

「そうやって起きるのを待ってしまわれては、心地よく眠ることができないかと」

「ぐぐ・・・暗くしてしまっては、私の顔をよく見れないではないかっ」

「ふぁぁ・・・お姉さまぁ、おはようございますぅ・・・シャクナさんもおはよぉ」

「んん・・・はっ!トレオ様に暴漢が!?・・・い、いえ、これは、ハプニカ様でしたか!失礼を・・・」

「・・・皇務は午後からとする、今から正午まで、私の邪魔をするでない、これは国王命令だ、良いな!」

 

愛しい人の頬をやさしく、やさしく撫でる・・・

 

「ララ、なぜ私を引き離したのだ?これからは毎晩一緒に寝させてもらうぞ」

「いえハプニカ様、そうしましたらきっと、ハプニカ様は24時間毎日、離れられなくなってしまいます」

「それでも良い!皇務も、こうしてこのお方の胸に潜り込んで、行いたいくらいだ」

「ハプニカ様の気持ちはわかりますが、婚約者、つまり将来の王妃は7名いるという事をお忘れなく」

「今は私が国王だ!たとえ暴君と言われようと、親衛隊の一員ならば従ってもらおうか!」

 

シャクナがおろおろと近づく。

 

「そのような声を張り上げられては、眠ってらっしゃるトレオ様が・・・」

「あ・・・そうか、すまない、つい・・・わかった、落ち着く事としよう・・・」

「そうですわハプニカ様、落ち着いて考えてくださいませ、私たち四姉妹は、今はこのお方の親衛隊なのですわ」

 

そうか、そういえば、そう命令したのであったな、

今はこのお方の親衛隊、だが私とてその一員のはずだ。

 

「ならば親衛隊長として命ずる、午前の看病は私ひとりだ、午後はララたちに任せる、邪魔をするでないぞ、良いな」

 

さあ、後は正午までに起きていただくのを待つばかりだ・・・・・。

 

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

 

暗い室内が、夜のような雰囲気をかもし出す・・・

私は夕べの温もりを思い出し、悶々と体の芯が熱くなるのを感じる、

このまま抱きしめて、いっそ脱いで、2人で繋がって・・・なかなか良いかも知れぬ、

起きてあまりの快感に何事かと見上げると、そこには私の顔、そして体は結ばれた状態・・・

びっくりするであろうが、瞬時にそれを受け入れて・・・いや、それでは受け入れるも何も無いではないか。

 

「我慢だ我慢、目が覚めるまで、もう少しの辛抱だ・・・」

 

しかし、目が覚めてから、お願いできるであろうか?

今更ながら、はしたない女として嫌われるのでないか、そんな不安が急に湧き出す。

射精させる行為自体は、全ての身体機能回復のため、などと言い繕うことができようが、子種となると・・・

犯しておいて「責任を取って欲しい」などと言える訳がない、最初に奪った時は、全力で謝れば、と申してはいたが、

いざ本当に目を醒まされては、急にその、なんというか、今更ながら乙女のような恥じらいが・・・あぁ・・・下腹部の、奥が、熱いっ!

 

「・・・自分を慰めるなら・・・良い・・か?そなた・・・よ」

 

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

 

切ない・・・目覚めを待つ1秒が1分に感じ、

1分が1時間に感じ、1時間が1日に感じてしまう・・・

大戦で敵襲が来た時のように張り手で起せれば楽だが、あいにく敵はおらぬ・・・

 

「・・・・・あれは一応、敵ではないゆえ・・・」

 

たまにドアの隙間から覗きに来る四姉妹やミルにシャクナ。

私が行き過ぎたことをしていないか、心配なのであろう、だがわかる、

一番の理由は嫉妬だ、私がこの愛しいお方とふたりきりでいるのを妬いておるのであろう。

 

「何を言われようと、私は第一王妃、このお方の婚約者の中では筆頭、正妻であるぞ」

 

そう、全てにおいて優先・・・親衛隊もそれをわかっておろうに。

まあ考えていることを推測すれば、私に嫉妬する、という行動をもって、

本当にこのお方を愛しているという証明にしたいのであろう、望むところだ、

ならば私もその戦いに正々堂々と応じ、このお方の心も一番に手に入れてみせよう!

こうして競うこと自体、このお方により深く、より大きい愛を捧げる事となるのだから。

 

「う・・・またもや、我慢が・・・自然に手が、私の熱いところへ・・・また自分で、慰める・・・・・か」

 

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 

ほてりが・・・治まらぬ・・・

少々長く弄りすぎたせいか、ぬ、抜け出せない・・・

しかも、いくらイッてもイッても満足ができぬ・・・どうすれば・・・

 

「こうなったら・・・そうだ、あ、あくまでも、気持ちよく起きるために、イッてもらえれば・・・」

 

これは医療行為だ、

生殖能力の循環を繰り返し生命活動を活発化させる、

まだ目覚める前にやっていた事の延長線だ、だから、このお方をイカせるくらいなら・・・

 

「そして、あくまでも、つでに、私も、使わせて、いただこう」

 

愛するお方の、モノを、この私の、熱い熱い芯を鎮めるために・・・

 

「では、下を脱がせていただこうぞ、失礼する・・・」

 

ガチャッ!!

 

「ハプニカ様!正午になられました!」

「ララ!今は忙しいのだ、後にしろ!出て行け!」

「いえ、約束でございます!無駄に1秒でも引き伸ばされますと、今後の皇務に区切りがつかなくなってしまいます!」

 

ぞろぞろと皆が入ってきた、

さすがにこの状況では、皆を無視して、やってしまう訳にはゆかぬ・・・!

 

「さあ玉座へ、皇務が待っております、まずはマリーへの審判です、すでに待たせておりますゆえに」

「わ・・・わかった!だが、もし、もしこのお方が起きるそぶりがあれば、すぐに呼ぶのであるぞ!必ずな!」

 

仕方なく部屋を後にするとルルとレンもついてくる、

午後から私のサポート役なのであろうが、どうもあのお方の所へ戻らぬための監視役に思える!

とりあえずタオルで指や股を拭きたい、一度自室へ戻ろう・・・うぅ、足が少しガクガクしておる。

 

「・・・・・なっ!!」

 

自室の時計を見て頭に血が上る!

今は11時48分!まだ12分残っていたではないか!

 

「ララめ!おのれ、またしてやられたではないか!」

 

私の前に立ちはだかるルルとレン。

 

「どっちへ行かれるんですか?正午『から』皇務だから、今のタイミングで合ってます」

「いま戻っても同じ事ですぅ、だったら早くお仕事を片付けてぇ、夜にできるだけ長い時間、一緒にいられるようにぃ・・・」

「うぐぐぐぐ・・・・・・まあ仕方あるまい!あのお方が安心して療養を続けられるよう、私はすべき事を、いたすだけである!」

 

ルルとレンを廊下に残し自室のドアを閉めると、

涙が零れ落ちる・・うぅ・・・あのお方と、もっともっと、いたかった・・・

しかし今は国王、女王の身だ、耐え忍んで、皇務を行いながら、目覚めの報を待とうぞ!!

 

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