「そうか、困ったな・・・もうこれから決勝だ、何か手を打たねば・・・」
あのお方もきっと、私のために力を尽くしてくれているに違いない!!
「なんとなくー、物凄く食べたほうが良い予感がするのでー・・・」
「ではリリ、決勝戦だが、もしトレオが勝ち上がってきたならば・・・」
「さようでございま・・・フレシュでは相手になりませぬで・・ぐっ・・・」
「驚くのも無理はない・・・我が父のコレクションの1つ、剣斬りの剣を持っておった」
「あの行方知れずになっておりました剣が!では、黒幕はジュビライで!?」
「いや・・・魔物を操れるならば、闇魔法の使い手でなければならぬ」
「ムッホンウッホン!その事でしたら、すでにあのお方が解決済みですぞ」
「ハハッ・・・トレオのあの鎧、あれは大戦で暗黒魔道士コーグが持ち込んだ、魔の鎧でございます」
「グホングホン・・・地下に封印しておいたのでありますが、いつのまにかなくなっておりまして・・・」
「おそらく・・・それより問題なのが、あの鎧の中に封印されております魔物でありまして・・つつつ・・・」
「しかしながら封印されし魔物、その封印を開けてしまえば・・・ウッホン」
「ムホン、それよりもっと手っ取り早い手が・・・首をはねてしまえば・・・」
「ふむ、封印されておるということは、魔力が供給されていないという事だからな、蓋を開ければこぼれるのみ」
「さようでございます、後は胸を貫けば一撃・・・太陽がすでに沈みますゆえ、一撃でトドメをささねばなりませぬ」
「それには良い考えが・・・まずルールとしてトレオの武器を取り上げるのです、ウホン」
「それは・・・すでにトレオは危険な闘い方を繰り返しましたゆえ、無理矢理にでも」
「よし、任せる・・・しかしレンはどうする?ルールでは殺してはいけないはずだが」
「それは・・・もちろん、レン様に限り、相手を殺しても良いと・・・魔物退治ですゆえ」
「国民もトレオの今までの卑劣な戦いぶりから、納得すると思われますぞ」
「おおリリ殿、ムッホン、それではレン殿とミル様に伝えてきてはくれぬか」
「ウッホン、ルル殿も・・・あのお方が、心配なのでララ殿リリ殿ルル殿でレン殿のそばについて欲しいと」
「本当に?・・・じゃあ行くけど、あのお方はどこにいるんだろう」
「それは・・・あのお方には、わたくしめがこれを・・・ムッホン」
「ハハッ、あのお方とシャクナ様は、もうレン殿に任せれば安心なゆえ、じっくり決勝を見たいと」
「しかし油断はなりませぬぞ!万が一、レン殿が負けてしまった場合は・・・」
「ムッホン、違いますぞ、その時は優勝賞品を受け取りに来たトレオを、ハプニカ様の剣でスパッ!と」
「民衆も憤りが溜まっておりますゆえ、そうせぬ事には解決はありませぬぞ!ムッホン!!」
「スロトよ・・・ではあのお方に伝えてくれぬか、何があっても私はそなたを愛している、と」
「ムホン!しっかりとお伝えしますゆえ・・・ハプニカ様、決勝は念のため、警備を一段と厳重にしておきますぞ」
「ああ、頼んだ・・・スロト、よくやってくれている、感謝するぞ」
「いえいえ・・・これも全て・・・ハプニカ様のために!では!すぐに戻りますゆえ!!」
本当に信頼できる者以外は誰であってもここへ近づけてはならぬであろう、
スロトもそれを見越して警備を厳重にしに行ったはず・・・静かに時を待とう。
「・・・ララ、リリ、ルル・・・ミルよ・・・レンを頼んだぞ・・・」
これに勝ってこそ、我が国の未来が・・・輝かしくも新しい歴史が開けるのだ!
もし負けてしまっても、その時は私の剣で全て、けじめをつけてみせよう・・・それで、終わる。
「平和への最後の関門だ・・・必ず魔物を・・・退治してくれよう」
「はっ、ここの下の階になりますゆえ、見えないかと・・・ムホン」
「そうか、ならば仕方がないが・・・くつろいでおられるのであろうか」
「・・・それにしても、あまりにも厳重だな、私のまわりは・・・」
「ムッホン!ここまですれば、おかしなやからがここへ来る事はありませぬゆえ」
「オッホン!心配ならさずとも、すでに手はずは整っておりますぞ」
失格までは行かないものの、この戦いについてハンディを加すこととなりました!」
「そしてトレオ選手にかぎり『相手を殺してはならない』というルールの対象から外し、
トレオ選手の生死を問わない事といたします!これはトレオ選手の生死のみであって、
レン様、いや、レン選手に対してトレオ選手が殺そうとする事は決して許されません!!」
あれを使えばどのような敵も、ゴーレムや白竜さえも貫くという・・・
いくら魔の鎧といえど、レンの力であの槍を貫かれれば、魔物も息絶えるであろう。
「レン!この国のためにも、絶対勝たないといけませんわよー!」
「レン!殺していいんだからな!殺さないと勝てない相手だからな!」
観客も喜んでおるし、皆の前でその力を見せる最高の舞台が整った訳だ。
武器を取り上げたとはいえ、なめてかかっては痛い目にあう・・・
しばらくしたのち、審判が時計を気にする、さあ、いよいよ・・・・・はじまりだ。
胸にはあのお方の顔・・・戦争中、絵の得意なミルに頼んで描かせた、
それをはめこんだ・・・このペンダントは我が母の形見、中には元は我が父の写真がはめてあった。
「第79回国王杯全ダルトギア闘技選手権決勝戦、レン対トレオ、はじめ!!」