
タコさんウインナーを僕の口へ運ぶルリー。
「もぐもぐ・・・おいしいよ」
「いっぱい食べてね、おにいちゃん♪」
「うん、もぐもぐ・・・瑠璃も食べさせてあげるよ、はい、あーん」
「あーーん・・・んぐんぐ・・・」
僕とルリーはお互いに弁当を食べさせ合う、
周りを見るとどこもカップルでいっぱいだ、
同級生カップル、先輩と後輩カップル、教師と生徒カップル、
用務員とボイラー技師カップル、アニメタルとアニメタルレディーカップル・・・
どうやらこの中庭は校内のらぶらぶスポットらしい、
僕とルリーもそんなカップル達にすっかり溶け込んでいることだろう。
「おにいちゃん、このコロッケは自信作なのだ☆」
「どれどれ・・・んぐ・・・こんなにおいしいコロッケ、食べたことないや」
「わーい、嬉しい♪」
ふと、校舎を見回す、
なんだか視線のようなものを感じるんだけど・・・
僕のクラスのあたりの窓から見つめる人影・・・?
あれは・・・真雪?・・・あ、消えた!
奥に隠れた・・・??
「どうしたの、おにいちゃん?よく噛まないと駄目ですぅ」
「う、うん・・・もぐもぐ・・・」
なんだか食べづらい・・・
さっきのはやっぱり真雪なのだろうか?と思うと、
どこからか視線が僕の体に突き刺さっているような気がして、
急にお弁当の味がしなくなってきた・・・
僕は気を紛らせるために、あたりのカップルを眺めながら弁当を食べ続ける。
「おにいちゃん、はい、お茶」
「うん・・・」
それにしてもいろんなカップルがいるもんだ、
体のしっかりとした体育会系カップル、
お互いメガネをかけてて本を手にしている文系カップル、
女生徒会長と下級生カップル・・・首輪らしきものがちらっと見えたのは、見なかったことにしよう・・・
鳥人間コンテスト研究会とニポポ人形クラブのカップル、
じゃじゃ丸とぴっころのカップル、
ガンタンクとボルテスXのカップル、
阿蘇山と屈斜路湖のカップル、
ひまわり4号とソルバルウのカップル、
うずまき星人とうずまき星人のカップル・・・
・・・・・ん!?
うずまき星人!!!???
「る、瑠璃、あ、あれ・・・あれ?」
さっきまで一緒に仲良く僕と弁当を食べさせあっていた、
目の前にいるはずのルリーの姿がいつのまにか、ない!
「♪マチルダイメルダルーリルリー♪」
どこからかルリーの声がする、
また上からか?と思って見上げるが、
ルリーらしき姿はどこにもない、
それになんだかくぐもった声だ。
「じゅ〜よんさいの〜、可憐なおとめぇ〜」
この声が聞こえる先は・・・
下だ!!!
よーく地面を見ると、
ぼこぼことうずまき星人の方へ地面が少し盛り上がって進んでいる、
まるで巨大なもぐらが移動してるかのように・・・
「まほ〜〜しょ〜じょ〜〜、ルリ〜〜〜」
突き進む、地面の盛り上がりが、
仲良くナルトを食べさせあっているうずまき星人カップルの間に到達した。
「た〜だ〜い〜ま〜さ〜ん〜じょ〜お〜」
むくむくっ、と地面から土の山がふくらむ。
「なーのーだーーー!!!」
ガバッ!!と土の中からルリーが登場した!
泥だらけだが、しっかりとポーズを決めている。
「必殺!魔法のステッキで撲殺☆」
突然のことに驚いてる様子のうずまき星人を、
魔法のステッキでぼこり、ぼこりと殴るルリー、
うずまき星人はそのまま風船が割れるように消滅した。
「終了〜〜〜♪」
再び土の中へと消えていくルリー、
周りのカップルは自分たちのことで精いっぱいのようで、
誰もこの始末に気付いてはいないようだ。
「おにいちゃん♪」
ふいに後ろから声がする、
振り向くとセーラー服姿のルリーがいた、
顔にはまだ泥がついている。
「瑠璃、お前・・・」
「えへへ、おにいちゃん、お弁当おいしかった?」
「え?あ、うん、おいしかったけど・・・」
「じゃあ瑠璃はもう教室に戻るね」
「瑠璃!その・・・顔とかちゃんと洗ってから戻れよな」
「はーーーい♪」
ルリーは空の弁当箱2つを持って、
中等部の校舎へと去って行った。
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