僕「それは・・・大変ですね」

 

言われてみれば服の入った紙袋とか、

トランクとか色々積み上げてある、住んでるって感じだ。

匂いも換気があるとはいえ、女性の化粧とかが篭ってる。

 

僕「でも物騒じゃないですか?レディースルームってあったと思うけど・・・」

OL風「そっちだと高くって、あと3人部屋が無いんです」

ギャル「もー住んで2ヶ月になんだけど、計算したらこっちのが1万2千円も浮いてっから」

お嬢様「あの、失礼ですが、参考にお聞きしたいのですが・・・家のお家賃はおいくらですか?」

僕「えっ、僕の?海外出張中の兄貴のを1人で借りてるから無料だけど、その兄貴は4LDKで18万とか言ってたなぁ」

 

その言葉になぜかズイッ、とこちらへ身を寄せてくる3人!

種類は違えどお姉さん3人組に迫られると、ちょっと恥ずかしい・・・

同時に良い匂いも・・・いや、ちょっと香水きつめかな?こんな場所だもんな。

 

僕「じゃあそろそろ戻ります、時間がもったいないん・・・わわ!」

 

出ようとする僕を引き戻す3人!

 

OL風「まだ話は終わってないよー」

ギャル「ゆっくりしていってねって言ったじゃん」

お嬢様「戻ると後悔いたしますよ、とっても良い話なんですから」

 

なんだ!?新手の勧誘か!?

 

僕「しゅ、宗教とかには興味ないです!無宗教っていう宗教に入ってるようなもんで・・・」

OL風「私もないわよそんなの、神様を信じる余裕が無いから」

ギャル「話だけでも聞いてってよ、話だけじゃ終わらせないけどー」

お嬢様「実は本題のご相談がありまして、少々お時間をいただきたいのです」

僕「だって僕、名前も知らないような人の相談になんか・・・」

 

抵抗むなしくずるずると部屋の中央に引っ張られ囲まれた。

 

OL風「私は元(はじめ)あい、働いてる会社がいつ潰れるかわからなくって寮も無いんだ」

ギャル「名のりゃいいん?じゃ、あたしは都築(つづき)マイ、仕事はニートやってっから」

お嬢様「申し遅れました、わたくし、尾張(おわり)みい、と申します、一応、声の仕事などを・・・」

 

うーん、突っ込みどころ満載だけど、関わるとやばい気がするぞ?

・・・ん?尾張みい・・・尾張魅衣?ひょっとしてあの、マニアに有名な眼鏡っこ声優!?

 

僕「魅衣さんって確か、ブログやってませんでした!?」

魅衣「はい、2ヶ月前で更新止まっていますが・・・最後のほうは御見苦しかったかと」

あい「まだあるか検索してみるね、パソコンも直ったし・・・あったあった」

マイ「貧乏声優・尾張魅衣の死ぬまで続けるブログ、シャレんなってねぇ〜」

僕「ファンが心配してましたよ、最新アニメに名前も出なくなって、死んじゃった?とか」

 

目の前で生きてるのが確認できて良かった。

 

魅衣「色々あって干されてしまいまして、事務所も辞めてしまったので・・・」

あい「ブログにもちゃんと書いてあるよね、今日で家も追い出される会社もクビどうしよーって」

マイ「最悪な22歳の誕生日でした、だってーホントは25歳のくせ・・・ぐふうっ!!」

 

い、いま、シュッ!て手刀が!思いっきりマイさんの喉笛にいっ!!

 

僕「眼鏡は、プライベートではかけてないんですね」

魅衣「ええ、あれは秋葉系アイドル声優として売り出したかった事務所の意向でして」

僕「・・・あ、そういえば他の2人もたまに魅衣さんのブログに出てましたよね」

マイ「けほけほっ・・・そっかー魅衣のちょっちファンの子かー、じゃーとっかかりは魅衣でいいよね」

あい「3人のうちどれか引っかかるかなーって思ったけど、やっぱり声優っていっても有名人だね!」

 

なんだなんだ?

僕に向かい合って座る魅衣さん、

そっと僕の手を取った、ちょっと役者っぽい微笑みだ。

 

魅衣「実は私達、大ピンチですの」

僕「う、うん、マンションだかアパートだか追い出されてネカフェ暮らし、ピンチだね」

魅衣「もっと切羽詰ったピンチですの、このお店、24時間毎に会計がありまして」

 

ああ、そんなルールあるのか、踏み倒されちゃたまらないだろうからなぁ。

 

魅衣「ところが今、私のお財布には800円少々しかございません」

あい「ちなみに私は175円、会社の引き出しにあと300円あるけど来週まで閉鎖だって」

マイ「あたしさっき稼いだ600円〜、店員から貰ったお菓子売った〜」

 

そんな稼ぎ方したんだ・・・ってそれ僕が買ったやつか!?

 

僕「1600円前後でどうするの」

魅衣「支払いまではあと6時間です、どうすれば良いか私達、必死に考えましたわ」

マイ「パチンコかスピードくじか〜って資金にしちゃ少なすぎるしぃ〜」

あい「あ、クレジットカードはもう上限いっぱいで出せないのね」

僕「ひょっとして・・・僕に・・・・・貸せ、と?」

 

他の2人もクレジットとかキャッシング無理そうだもんな、

事務所クビになった声優にニートを仕事と言い張るギャルじゃ・・・

でもこの手のって貸したら絶対に返ってこない、いくら大学生の僕だってそれくらいわかるぞ。

 

魅衣「いえ、貸してくださらないと思います」

僕「はは、よくわかってるね」

魅衣「借りるのではなく、稼がせていただきたいのです」

 

ほんっとに綺麗な声・・・聞き惚れちゃう、腐っても声優・・・いや、全然錆び付いてない。

 

僕「稼ぐって・・・どうやって」

魅衣「幸い、こちらのブースは一番奥にあるおかげで、静かにしていれば覗かれるような事はありませんから・・・」

マイ「ここまできたらわかんでしょ?か・ら・だ・で、稼ごうっつーの」

あい「行為に見合った料金をね・・・マイちゃんから聞いたけど、結構持ってるのよね?」

僕「た、確かにそうだけど・・・ま、待って!それって、え、えんこ・・・」

 

シーッ、と指を僕の唇にあててくる魅衣さん。

 

魅衣「なりふり構っていられませんの、急場を凌ぐ緊急行動ですわ」

マイ「そそ、モラルとか犯罪とかそんなの今はカンケーねーって!」

あい「これも社会勉強だと思って!ね?気持ち良い思いできるよ?」

 

気持ちいい社会勉強・・・いや、これは、罠では!?

 

僕「やっぱりやめと・・・こんな所じゃ・・・」

魅衣「でしたらホテルへ行きましょうか?でもそのホテル代を節約すれば、より多く楽しめるかと・・・」

マイ「それにあたしらが、ホテルいくためって言ってここの料金だけ払わせて逃げたらどーすんのさ?」

あい「怖がる事は無いからー、そうね、手で5千円、口で1万円、胸でしたら1万5千円、そして2万円なら・・・」

僕「ちょ、ちょちょ!そんなみんなして、迫らないで!く、食われるみたいっ!だめ、あああああっっ!!」

 

服に手が!首筋や頬に手が絡んでくるっ!

 

僕「そんな、お、お金で買うみたいなこと、い、いやっ・・・」

魅衣「違いますよ〜、お姉さんが手ほどきしてあげて、その授業料をいただこうと・・・」

マイ「男ならうだうだ言わない!ほらほら、静かにしないと人が来ちゃうけどいいの?」

あい「監視カメラも通路だけだったから安心して!言う事きかないと襲われたって叫ぶけど?」

僕「お、脅しだ!脅迫だっ!む、むかれるっ!むかないでっ!あ、ああっ、だめええええええ!!」

 

逃げようにもさすがに年上の女性3人がかりじゃ解けない!

それどころかマイさんが後ろから羽交い絞めみたいにしてきて、 

その正面にあいさんがアゴをなでてくる!そして耳元で魅衣さんが囁く・・・!

 

魅衣「さあ、最初は誰と・・・キスしますか?」

 

あああ・・・僕は・・・僕はあああああ!!!

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