☆18禁裏小説7☆
「うう・・・シャクナさん・・・」
「・・・・・・・・・・」
口をきいてくれない・・・
怒っているかのように無言のまま、
前よりさらにひどくなった傷口を応急処置する、
・・・きっと何を言っていいのかわからないのだろう、
もしくは何を言ってもきかないからなのか・・・どっちにしても、
ボロボロの俺の唯一の身方である事には変わらない、とてもありがたい・・・
シャクナさんがそっと俺の兜を脱がせようとした時、
またあの不愉快にさせる顔がやってきた・・・スロトだ。
「ムッホン、おぬし、その体で見上げたものだな」
傷だらけ痣だらけの俺のからだを見下ろしながら、
スロトはまるで見下すように喋り続ける。
「さきほどの対戦相手・・・ジェフェニを取り調べたが、
何も疑わしい事はなかったぞ?まあ、あやつが暗殺など考えるはずはないが・・・」
当たり前だ、あんな弱い奴・・・
「もうベスト8だ、残った7名は全て疑わしい者などいない、
それでも心配なら・・・・・優勝する事だな」
またそうやってたきつける・・・
「ハプニカ様には一応、報告はしておいた、
我々は全力で守る、あとはおぬし、自分の身を心配するのだな」
自分の身・・・
確かにこのまま棄権してしまえば、
もう苦しまなくてすむ・・・しかし、
残り7人・・・ヴェルヴィでさえ裏切ったんだ、
まさかとは思うが残り7人全員暗殺部隊とは限らない!!
「・・・・・」
無言のシャクナが目で「やめて」と訴えている、
でも俺には前に進むしか・・・優勝してハプニカ様を守ってこそ、
ついに、俺は・・・憧れのハプニカ様と結婚する事ができるのだ!!
「行こう」
準々決勝の舞台・東闘技場へ向けて立ち上がる!
「ぐあ・・・ががが・・・ぐぐぐ・・・」
もう「痛い」とか「苦しい」とか言えない、
歯を食いしばってうなるしか・・・でも行かなくては!
「うっ・・・」
くらっ、とよろめく俺を、
ちいさなシャクナさんが必死に支えてくれる、
ありがたい・・・本当に心から感謝する・・・
「・・・・・ありがとう」
ボコボコになった頑丈な鎧を再度つけ、
走り出したいところだが早足がせいいっぱいだ、
それでも着実に闘技場に向かう・・・はぁ、はぁ・・・
人影少ない路地に出た、
ここを抜ければもうすぐだ・・・
とシャクナさんが急に立ち止まった、どうしたんだろう?
「きゃ、きゃあああ〜〜〜!!!」
う・・・い、いつのまにか・・・
まわりを黒づくめの男が取り囲んでいる!
ひい、ふう・・・は、8人も・・・
「だ、誰だ!!」
俺が問い掛けた瞬間、
8方向からいっせいにそいつらは飛び掛かってきた!
「シャクナ、あぶない!!」
ガキィーーーン!!!
「ぐはぁ!!」
血を吐く俺・・・
シャクナをかばい・・・
背中に3本の剣が鎧を貫いて刺さった・・・
「トレオさん!!」
「ふんぬ!!!」
俺は振り返ると同時に敵に斬りかかる!!
「どりゃ!おりゃ!そりゃあああああ!!!」
・・・
「はぁ・・・はぁ・・・勝った・・・」
「トレオさんっ!!」
膝から崩れ落ちる・・・
剣を抜いて背中に治癒魔法をかけてもらう・・・
傷は・・・浅かったようだが・・・さすがにこのダメージはきつい・・・
「動かないで・・・んっ・・・」
さっきの8人・・・逃げていったが・・・
一体・・・何者・・・・・はっ!
急がなくっちゃ
「動かないでと言ってるでしょう!」
かまわず歩く・・・
歩くしかない・・・
俺に出来るせいいっぱいのハプニカ様への求愛・・・
それは・・・ハプニカ様を生涯、守れる事を証明する・・・
今はまさにそれにうってつけの舞台だ・・・あと3回勝てば・・・・・
シャクナさんも歩きながら魔法をかけてくれる・・・
やがて、東闘技場にようやくついた・・・・・
「トレオさん、お久しぶりで・・・きゃあ!どうなされたんですか!!」
「あ、バニーさん・・・久しぶり・・・少し休ませて・・・」
「・・・・・」
ドサッ、とシャクナが突然倒れた。
「シャクナ?シャクナ?」
「きゃあ!きゃあ!どうしましょう」
「バニーさん、シャクナさんを・・・休ませてあげてください!」
医務室の方へ連れて行かれるシャクナ・・・
そういえばずっと強い回復魔法をかけ続けてもらっていた、
そのうえさっきの事件だ、疲れ果てて気絶するのも無理あるまい・・・
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めくる |