「お前、シードか?」 「いや、違うけど・・・」 「あのなぁ、お前参加するのは初めてだろ?」 「そうだけど」 「じゃあ教えてやるけど、おれたち普通の人間が闘うのは7回戦までだ、 そこまでが俺達の闘いの場、8回戦になると棄権した方がいい、 そこからシード選手が参加するんだ、本選のシードに漏れた者たちだが、 みんなプロだけあって極端に強い、その頃には1回戦から勝ち抜いた人間は4人だ、 予選トーナメントの8回戦シード選手は124人・・・な?勝ち抜けないだろ? そこからもし勝ち抜いたとしても、さらに8人まで残ったら今度は12回戦シードとして、 本選トーナメント出場者の補欠になっている8人が入る、そして16人のトーナメントで、 やっと15回戦を勝ち抜いた2人だけが本選に出場できるんだ、な? 1回戦から参加した人間が本選に出るのは計算上は可能でも物理上は無理だ、 朝7時から夜9時まで休みなく闘い続けられる訳がねえ、本選だって出ても、 予選からの出場枠は2つ、本選参加人数は80人、半分以上が国の兵士だって話だ、 しかも本選3回戦シードの顔ぶれといったら・・・うぅ、チケット買いてぇ」 「無理だよとっつぁん、本選のチケットはもう値段が50倍になってらぁ、 予選を夕方見られるだけでありがたく思おうぜ」 「とにかくそういうことだ!まぁ5回戦目指してがんばれ! 対戦することになったらお手柔らかにな!じゃあなあ!!」

うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん・・・・・・・・・・ と、とりあえず防具を買おう・・・ 「すいません、鎧をください」 「はいよ、どんなのだい?」 「えーっと、体がすっぽり入る・・・兜も顔をかくせるのが・・・」 「ちょっと待ってくれよ、すっかり売れちゃってねえ・・・」 「外から顔とか体つきが隠せれば何だっていいです」 奥でごそごそする武器屋のおやじ。 「今はこれしかないな、立派な鎧だ、頭が丸ごと隠せる兜付き」 ゴトッ、と重そうな銀色の鎧がテーブルに置かれる。 「いくらですか?」 「7500Gだが・・・買えるか?6800Gにしてやるが」 「7000Gでいいです、あと剣もください」 「お、気に入った!ほらよ、闘技用にちゃんと刃を殺してある、まとめて10000Gにしてやるよ」 「ありがと、はい、1万・・・と」 まだまだお金は余っている。 「お客さん金持ちだねぇ」 「それで参加するにはどうすれば?」 「うちで受け付けてるよ、参加料50G、登録するか?」 「はい、お願いします」 「じゃあ、まず名前を言ってくれ」 名前・・・どうしよう、 考えてもいなかった・・・ええい、適当でいいや 「モリモ・トレオです」 「トレオだな、性別は男、あとは・・・・・いいや、名前だけで、どうせ本選行く訳じゃないし」 「それで闘技場はどこですか?大きく分けて5つあるみたいだけど・・・」 「うちの庭だ」 「えええっ!?」 なんてお手軽な・・・ 「3回戦まではうちの庭、4回戦からは近くの公園だ」 「わ、わかりました・・・」 「そろそろはじめるから、庭で待ってな」

庭に出ると、広い庭の土に線で桝がたくさん描かれている、 なんか・・・子供の遊びみたいだ、いる連中もただの普通の人たちだし・・・ こ、これで本当に勝ち続ければ本選まで行けるのか!? しばらくして武器屋のオヤジが庭にやってきた、 そろそろはじまるのか・・・しかし緊張感はない。 「おーーーい、そろそろはじめるから、適当な桝目で適当な相手を選んでくれー」 適当・・・言われた通り適当なオヤジと、 適当な桝目に入った・・・本当にこれでいいの?」 「おいおい、そこ!早くはじめるな!時間だけは決められた通りにやんなきゃいけねえんだよ!」 「まだかよー」 「あと5分待て!」 あと5分か・・・ そうだ、さっき買ったの身につけなくっちゃ・・・ 「お、にいちゃん、本気だね?」 目の前のおやじがニヤニヤ喋っている、 こんなただの変なサルマタオヤジが闘技トーナメントの相手・・・ 無視してとっとと装備をしよう。 「なんだよ、顔を隠して・・・男の価値は顔じゃねえ、強さだよ!」 「はいはい、まぁ、フェアにいきましょう」 「おうよ!」

・・・そろそろ朝7時だ、 あれ?本当にこれでいいのか? 「なあ、審判は?」 「そんなのいるか!いくぞ!!」 ゴーーーーーーーン!!! 銅鑼の音が鳴り響き、 いよいよ試合が始まった。 「きえーーーーーっ!とあーーーーーっ!!」 うるさいオヤジだなあ。 「さあこい、このやろ、さあこい!」 さてと・・・伝説を始めよう。 ポカッ 「あうーーーーーっ!!」 オヤジは1撃でのびてしまった、 ちなみに剣は持ってない、そこまで装備の必要がないのは明らかだったからだ。 ・・・さ、次の対戦相手はどこだ?

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