夕食を終えて部屋に戻ってきた、 すごいごちそうだった・・・あんなに食べたのは、 戦争が終わった記念の、アバンスでのパーティー以来だ。 あの4姉妹、料理を作るチームワークも抜群のようだ、 戦闘のときもあの4姉妹は抜群のチームワークで作戦や攻撃を実行してきた、 ハプニカ様が策士なぶん、あの4姉妹は最高の駒なのである、もちろん個々の能力も優れている。 それにしても食べ過ぎた・・・ふぅ・・・ 幸せだ・・・あんなにおいしい料理をいっぱい食べて、 ハプニカ様をはじめとする美女や美少女に囲まれて・・・ これで国王になったら、さらにどんなに良い事があるのだろう? 想像するだけでゾクゾクしてくる・・・まさにいたれりつくせりだ・・・ こんなに歓迎されてしまって、良いのだろうか・・・ 俺はベットに横になりながら考え込む・・・・・ ハプニカ様に相応しい男になるにはどうしたらいいのだろうか? この国に住むには・・・国王になるには、本来ならもっと全てに秀た人間でなくてはならない、 そう、ハプニカ様ぐらい完璧な人間に・・・でもそこまでの男に俺がなるには、 かなりの年月がかかるだろう、いや、どんなに頑張ってもそこまでは行けないかも。 でも、だからといって何もしない訳にはいけない・・・たとえこのまま「いるだけ」の形の王様になるにしても、 何か命を賭けて、胸を張ってハプニカ様に誇れる物がなくては・・・ 今はちやほやされているが、平和が安定してしまえばこのままの自分だと捨てられかねない。 じゃあ俺に何が出来るというのか? ハプニカ様はこの国の平和を願い、国民のために、 突然、好きでもない俺と結婚すると言い出したのだろう、 かといって俺が国王になることが本当に平和のためになるのか? たまたま俺が便利に来たからつかまっただけで、俺でなくても名前さえ有名なら誰でもいいんだろう、 それこそセルフ様に恋人がいなかったら、間違いなくセルフ様に・・・って、こういう考えはみじめだ、やめよう。 ではどうすればハプニカ様と結婚する事を俺は納得できるのだ、ハプニカ様を支えられる自信・・・強くなること・・・

コンコン 「失礼します」 「は、はい、どうぞ」 開いたドアからまた4姉妹が入ってきた、 またそれぞれいろんな物を持ってきている。 「お風呂の準備が整いました、こちらタオルです、どうぞ」 「食後のフルーツをお持ちしましたー、盛り合わせをどうぞー」 「これ、お香、とってもいい香りだから、置いておくね」 「これはぁ、食べ過ぎによくきく胃腸薬ですぅ、つらくなったら使ってねぇ」 「・・・みんなありがとう、じゃあお風呂に入るよ」 タオルを受け取り立ち上がる。 「それではご案内さしあげます」 「では果物はこちらに置いておきますねー」 「お香も置いておいたから」 「お薬も机の上にぃ」 なぜか4人がかりで俺を風呂場まで案内してくれる、 そんなにぞろぞろついてこなくても・・・ 「こちらでございます」 「さ、入ってくださいねー」 「服、脱がせてやるよ」 「お体も洗わせてもらいますぅ」 おっ、おいおい、4人がかりで・・・む、むかれるっ!! 「やめ、やめろってっ!いいよ、自分でできるからっ!!」 あやうく素っ裸にされそうだったのを、 なんとか食い止めて4姉妹から離れる。 「い、いいよ、着替えも洗うのも、自分でやるからっ!」 「恥ずかしがることはないですよ、私たちにできることはこんなことぐらいしか・・・」 「ハプニカ様から言われていますー、丁重にお世話するようにってー」 「私たち、ハプニカ様にいつもしてることと同じ事をしようとしてるだけだよ」 「お体洗わせてくださぁい」 俺は恥ずかしくなって4姉妹を締め出した。 「も、もういいから!ほっといてっ!」 「残念ですが・・・失礼させていただきます」 「王様になられたらー、今度はお世話させてくださいなー」 「あーあ、一緒にお風呂入りたかったなー」 「ハプニカ様に怒られちゃいますぅ、くすん」 4姉妹の足跡が遠のいていった。

・・・・・はぁ、これでやっとゆっくりお湯に浸かれる・・・ 広くて豪華なお風呂・・・まさに王様風呂といった感じだ、 ちゃぷっ、とお湯をすくいながら考える・・・ どうやったらハプニカ様に認めて貰える真の英雄になれるのか・・・ そして、どうやったら俺が国王としてやっていける自信がつくのか・・・ あれだけ闘技場があるということは、 やはり強い男が好きなのだろう・・・俺の実力は、大したことはない、 運良くとどめを刺す機会が多かっただけ・・・敵将をセルフ様と一緒に倒したといっても、 たまたま運良く目の前に現われただけで、ダメージをほとんど奪ったといっても、 こっちだって死に掛けだった・・・セルフ様がトドメを刺してくれなければ死んでいた。 闘技場・・・そういえば、闘技トーナメントがあるといっていた・・・ 明日、予選で明後日が本選・・・ハプニカ様も見ると言っていた・・・ これに出て優勝すれば、ひょっとしたら認めてもらえるかも・・・ この国で開かれる、最も強い者を決めるトーナメント、そこで優勝することができれば、 ダルトギア最強の男となる、そこまでいけば国王にも相応しく、ハプニカ様にも相応しい・・・ 何より自分にも納得がいく、そこまでして勝ち抜いて優勝してこそ、胸を張ってハプニカ様と・・・ これならもしまぐれで優勝しても、いつかハプニカ様に愛してもらえるかもという希望も胸に置ける。

「よし、決めた!!!」 ザバッ、と立ち上がる俺、 明日の闘技トーナメントの予選に参加して、 明後日の決勝で優勝して、ハプニカ様と結婚する・・・これでいこう!! 決意に満ちた俺・・・ もし負けたら潔くこの国を去ろう、 優勝できなければ、どんなことがあってもハプニカ様はあきらめる、 ただし、優勝さえすれば、どんなことがあってもハプニカ様と結婚して、この国、ハプニカ様、 そしてみんなを全力で守る国王になって・・・いつか名実ともにハプニカ様にふさわしい男になってみせる!< ・・・熱くなるのはいいけど、のぼせる前に風呂を出よう・・・・・

一夜が明けた。 さっき傭兵に聞いたら予選は朝7時からだという、 朝飯を食べる余裕なんてない!俺は書き置きを残す、 「今日1日、自分が国王に相応しいか街を見て考えたいと思います、 純粋に1人で決めたいので、決して探さないでください、自分の身は守れます、 夜には帰りますが、夕食は待っていただかなくて結構です」と。 顔を隠すフードを纏い、あまっていたお金を手に、 お城から抜け出す・・・国宝の剣は持たなかった、正体がばれてしまう。 そう、正体がばれればちゃんとした参加はさせてもらえないだろう、 ハプニカ様のことだから、変にシードとか対戦に仕掛けをしかねない、 本当に自分がハプニカ様と結ばれるほどの実力があるかどうか公平に計りたい。

真っ先に武器屋に飛び込む、 闘技トーナメント開催日とあって早朝にもかかわらず開いていた、 中はお客で繁盛している、みんなトーナメントの話題でもちきりだ。 「お前、何人勝ち抜くつもりだ?」 「俺はこう見えても強いぜ、3人は勝ち抜くな!お前は?」 「俺か?じゃあ俺は4人でどうだ」 みんな楽しそうだなあ、 話しているのはほとんどが普通の国民だ、 特に武術にたけているという訳ではなさそうな・・・ どうやら文化としてみんなこのトーナメントに参加しているのだろう、 まさにお祭りムード、何人勝ち抜けるかがこの国での男の価値になるような感じだ。 「4人は言い過ぎだろう、おい、そこのお前!」 俺に話が振られた。 「お前は何人勝ち抜くつもりだ?」 「お、俺は・・・決勝トーナメントまで・・・」 それを聞いた男たちが笑う。

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