「ハプニカ様だって不安よ、アナタと同じように・・アナタをあんな目に合わせたんだもの、 ワタシが言うのも変だけど、アナタを殺しかけたハプニカ様も不安でたまらなかったはずよ、 アナタが去ってしまわないかどうか・・今ならアナタがスバランの木の上に戻ってきてくれるかどうかね」 「でも!俺には力がない!ハプニカ様を守れない!」 「ハプニカ様は完璧で最高なんでしょ?その女性が誰かに守ってもらう必要あるの? 少なくともハプニカ様の心は完璧ではないわ・・そしてその心を補えるのがアナタ・・・ どうしてそれに気づかないの?それを認めようとしないの?ハプニカ様、言ってなかったの?」   そういえば・・・ そ、そうだ!スバランの木の上での、 あの闘技トーナメントの真似事・・・ あれの意味がようやく今、たった今、 わかったような気がする、あの5人での闘い・・・ 高い位置から彼女たちの闘いを見ていて、ハラハラドキドキ心配したけれども、 彼女たちは結果、かすり傷一つ残していない、あれだけやっても・・ミルちゃんの回復魔法の素晴らしさもあるけど、 そのミルちゃんも含めて6人、あれだけの強さをあらためて見ると、守ろうという気が失せる、 それはすなわち、ハプニカ様達には力で敵う者はいない、力でハプニカ様を守るのは無理、なぜなら自分達で完璧に守れるから、 という事になる!元からハプニカ様を力で守ろうだなんて、間違いだった、たとえ俺に力があったとしても・・・ でも本気でやりあっていたのは、俺が見守っていたから?俺のための闘いだったから?そういうメッセージに思える・・・ ハプニカ様を一番心強く守る事、それは、俺がハプニカ様を、見守る事・・・!?   「・・・もういいわ、アナタにこれ以上言っても無駄のようね、 ならもう遠慮しないわ、ワタシがアナタの全てをいただく事にしましょう、 もっともワタシは奴隷だからハプニカ様とでも誰とでも私に気を使わず付き合ってもいいのよ、 でも・・・ワタシしか見えなくなっちゃうわよぉ、完全にワタシだけのものに、 ワタシだけのご主人様にね・・・そうなったら今度は、アナタを苦しめたハプニカ様に復讐しましょう」 「ふく・・・しゅ・・う?」 「そうよ、アナタの心と体をボロボロにしたハプニカ様を虐めるのよ、 ワタシと結ばれたアナタはたまにワタシの白竜でスバランの木の上まで行って、 ハプニカ様に2人の仲を見せ付けるの、ハッキリと『ハプニカ様よりマリーの方が好きだ』ってね。 ハプニカ様はきっと、その場では『そうか、よかった』って言うでしょうけど、私達が去ってから・・」 「やめろ!!俺は、そんな悪趣味で残酷な事は、しない!!」 「あら?だってアナタが今までしてる事って、そういう事じゃないの?そんな風にしか見えないんだけれど・・違うかしら?」   「!!!」   「ハプニカ様を一生責め続ければいいのよ、一生虐め続ければ・・・ それでアナタの心が少しでもまぎれるなら、ハプニカ様は喜んで虐められるわ、 一生、ハプニカ様を恨み続ければいい・・・愛する人にまったく何もさせてもらえないよりは幸せよ、 一生責め続けられた方が生きる目標ができる・・ねえ、私達の仲をハプニカ様に見せつけて一緒に虐めましょうよお、 ワタシと愛し合って・・奴隷に愛する人を奪われた元女王・・最高に良い仕返しになるわ」 「嫌だ!!!」 「なぜ?これはハプニカ様を救う事にもなるのよ? さあ、もっともっと、許さずに虐めて・・ハプニカ様の所へ行かなくなっても、 木の上でやつれ果ててるのを想像して・・何十年も嫉妬を蓄積させて最後の最後で発狂しちゃうかもしれないわね」 「そんな酷い事、絶対にできない!!」 「そんな酷い事、もうしてるじゃないの!もう結ばれない以上、ハプニカ様はそうやって償うしかないのよ? ボロボロなのはアナタだけじゃないの、ハプニカ様達も・・だからこそ、もっとボロボロに虐めぬいて、 償わせるべきなのよ、一生・・・アナタに笑顔で気を使いながら心で号泣してる姿を想像してみて・・・ ゾクゾクしちゃうでしょう?それがアナタが本当に心から望んでいる事なのよ、素直にそうしましょうよ」 「ちがうちがうちがうちがうちがう!!!」   涙が止まらない俺・・ あくまでも冷静に語り続けるマリー・・・   「違わないわ・・じゃあ勝負しましょう、アナタがこれから媚薬の実に負けずワタシの手に落ちなかったら、 アナタのその『ちがう』っていうのを信じてあげる・・でも愛よりも快感に負けて、ワタシの虜になったら・・・ 言ってた通りに一生、ハプニカ様達を虐めて楽しみましょう、愛する人に愛されず責められる苦しみを一生味あわせて楽しむのよ」

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