「すみません、トレオ様のお考えが変わられてないか確かめただけです」 「そうなんだ・・」 「でも、これだけはわかってください、この国は、トレオ様のためなら何でもする、と・・ いつでもどこでも、この国はトレオ様のためなら力になりますし、故郷だと思っていただきたいのです、 その気にさえなっていただければいつでも国王になれますし、望む物は何でも・・・」 「もう何も望まないよ、あえて言うなら放っておいて、かな?」 「はい、かしこまりました・・・」   ガチャ、と扉を開けて出ようとするシャクナさん・・   「ま、待って!その・・」 「はい?」 「その・・・怒ってない?」 「・・・とんでもありません・・・ごゆるりとどうぞ」   バタン、とやさしく閉まるドア・・・ 静かになる部屋・・あ、まだ香の匂いが残ってる、 看病してもらってた時に置かれていた、リラックスできるあのお香が・・・ 3ヶ月もたったのに、染み付いているんだろうな・・ベットに横になる・・ ふぅ、と一息つく・・こうしていると横にララさんか誰かがいるような気がする。   それにしてもシャクナさん、言いたい事言って出て行ったな・・ この国・・ここまでがらっと変わったのなら、俺なんかもう関わらない方がいいや・・ 過去の事件を掘り起こす必要はもうない・・少し休ませてもらったら借りた服を返して、 山を降りよう・・海が懐かしい・・・潮の匂いが恋しい・・・スバランの木の上では思わなかったけど・・ ・・・・・静かだ、本当に静か・・・窓の外では天馬や飛竜が寒い中、行き来している・・・・・   ・・・・・・・・・・みんなどうしているのだろうか? ハプニカ様やみんな、心配しているのかな・・何も言わずに来たから・・ 白竜がいなくなってるから気づいてはいると思うんだけど・・・うーん・・ ・・・今、ハプニカ様が俺を追ってここへ来たら、どうしようか・・ 木の上に戻って欲しいと言われたら・・やっぱり断るよ、せっかく脱出できたんだ、監禁されに戻る必要はない。   たった3ヶ月だったけど、あの木の上での出来事・・ 本当に楽園だった、力もみなぎっていたし・・それに毎夜・・・ もうすっかりふぬけにされていたもんな・・監禁されてた実感が湧かなかった。   何はともあれ、もうやっと、本当に自由になったんだ! 今度こそ誰にも邪魔されないうちに、そうだな、明日の夜明け前にはもう出よう!!   ハプニカ様に手紙ぐらいは残していきたいけど、ね・・・       豪華な夕食を終え、お風呂に入ってきた。 シャクナさんがマッサージしたいだとか、 バニーさんがお風呂で体を流したいだとか、 4姉妹がいなくてもあいかわらずだったけど、 ちゃんと全て断った・・木の上ではなすがままだったけど、 ここではしっかり自分の意志で行動できる、何だか嬉しい、 と同時にスバランの木が恐く感じる・・あそこの空気は危険すぎる。   さあ、寝よう。明日は早い。 借りた服をちゃんとあの家に返しに行って・・ それにしても無一文だと思ってた俺だけど、まだお金があったんだ、 アバンスのセルフ様が俺に各国を回ったお礼として、あらためてダルトギアへ、 お金を送ってくれていた・・ハプニカ様は黙っていたようだけど、さっきバニーさんから貰った。 おかげでこの山を降りるための服も買ってきてもらえたし、あの奥さんにも謝礼が出せる。 どこへ行くにしてもこれでとうぶんは生きていけそうだ・・アバンスかどこかで仕事探さなきゃ。   ・・・・・目を閉じる、 いつもなら複数の寝息が聞こえてくるんだけど・・ 昨日までだったら激しい運動の後で疲れきってすぐにぐっすり眠れるんだけど・・・ 今夜は静かすぎる、あまりにも静かだ・・・俺1人の夜・・お、落着かないなあ・・ 心もモヤモヤしている・・・何だろう?締め付けられるような切なさが俺を苦しめてる・・・   ハプニカ様たちの事が心配、なのか? それともハプニカ様たちが来やしないか心配なのか・・・ うーん・・眠れない・・でも寝なきゃ・・・落ち着いて、落ち着いて・・・・・   すー・・・ はー・・・ すぅー・・・ はぁー・・・ ・・・・・はぁ。

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