バニーさんがハンカチを衛兵に渡し、シャクナさんを横目に見ながら話す。   「私についてくださる参謀は、シャクナさんをお願いしました、 私がそういう理由で国王になるのであれば、同じようにトレオ様を救ったシャクナさんにも、 同等の地位が必要だと・・私が国王になる条件としてお願いしました。 そしてこの国を、バニー国王による一大娯楽都市にしようということになり、 たくさんあった闘技場はそのままバニーガールショーのステージに、また、 天馬や飛竜も闘いのためではなく、ショーの踊りを教えたり観光客の空輸大増便に・・ 宣伝効果もあって1ヶ月で噂は広まり、今では観光客の熱気でこの国の雪が全て解けてしまいそうですわ」   シャクナさんもバニーガールの耳をつける・・・   「シグリーヌさんのバニー国王によりダルトギアは闘いを捨てました、 とはいっても国が豊になれば将来、狙う国が出ないとも限りません、 それに観光客には、がらの悪い方もいます、普通の方でもお酒が入ると・・ 闘いを捨てたからといって武力を無くした訳ではありません、ステージのショーはご覧になられました? ああ見えて結構ハードなダンスなんですよ、しかもあの踊りの基礎にはこの国で昔から教えられる、 武術が隠されていますから・・飛竜や天馬との舞いも同じです、飛竜での闘いの特訓、また天馬そのものを鍛える事にも・・ いざとなればもう立派な戦力になります、まったく全て力を無に帰した訳ではないのです」   なるほど、ショーのダンスも立派な戦闘訓練を兼ねてるんだ、意識してなくても。   「すごいやバニーさん・・確かにこういう国にすれば華やかさが国全体に溢れて、 嫌な過去を忘れさせられる・・・争そいごとは起きないね、起こす気になれないや、 さらに万が一、戦争が起こってもバニーさんや飛竜・天馬はたっぷりと鍛えられている・・本当にすごいよ、 よく思いついたね、とても普通の国民とかでは考え付かない・・・バニーさんが考えたの?」   「いえ、私ではありません」 「じゃあ・・シャクナさん?」 「と、とんでもありません・・・」 「じゃあ、大臣?・・わかった!ハプニカ様か、俺と地上で別れた後の4姉妹が・・」 「いえ、大臣はあくまでもシグリーヌさんの命令に動くだけですし、 ハプニカ様は何も残さず去って行かれ、親衛隊の皆さんは戻られてからは、 トレオ様を追いかけるために、ずっと白竜に乗ろうと格闘なさって、私達の相手はまったくしてもらえませんでした、 助言を求めたのですが、もう関係無いと、お城にも入らずただ白竜に夢中で・・・」 「じゃ、じゃあ、この筋書きは一体誰が!?」   「それはワタシよ!!!」   玉座の後ろ、奥から張りのある女性の声が! 聞き覚えのある声だ・・奥から出てくる人影、体が細い・・ まさか・・でも、間違いなく、彼女は・・トーナメントで対戦した、あの!!   「マリー!F・マリーじゃないか!」 「久しぶりね、トレオさん」   マリー・・白く簡素な服にしなやかな身を包んでいる・・ うぅ、色っぽい声・・あの控え室での変態色仕掛け調教を思い出して勃起しちゃった・・ 首には鎖付きの首輪をはめている・・鎖の先は繋がれてないんだけど・・   「マリーがなぜここに!?」 「償うためよ、この国と、アナタにね」 「私が説明させていただきます・・」   微笑むマリーの横からシャクナさんが語りはじめる。   「マリーさんはトーナメントが終わった数日後、トレオ様と闘った怪我からようやく意識を取り戻しました、 本来なら謀反の罪で死刑なのですが、実はマリーさんはハプニカ様と遠くない血の繋がりがある、王族の1人なんです」 「ええっ!?マリーさんが、このダルトギアの王族!?」 「はい、実は先の大戦中も、もし城が焼け落ちた場合に備え、この国を滅ぼさず血脈を守るために隠れてらっしゃったそうです」   マリーさん・・ただのあぶない人じゃなかったんだ。   「しかし、マリーさんはいつのまにかスロト等の暗殺部隊に洗脳されてしまっていて・・・ それでハプニカ様の命を狙ってしまったそうです、今ではすっかり洗脳も解け、改心なさっています」 「そうだったんだ・・よかった」 「普通なら死刑でもこの国では王族は全ての罪が免除される掟になっています、ですからマリーさんも、 罪に問われる事はありません、それでも極刑にするならば実行できるのはハプニカ様かミル様のみ・・ しかしハプニカ様は、マリーを許す、と・・マリーはその地位をスロトにただ利用されただけで、 立ち直れば必ずこの国に必要な人間となる、それよりもハプニカ様自身がトレオ様に許していただけるかが一番重要だと」   ハプニカ様、そんなに俺の事を・・!?   「とはいえマリーさんは重罪を起こした事に変わりありません、スロト等、首謀者はハプニカ様の精神が元に戻られた直後、 すぐにギロチンにかけられましたが、マリーさんだってトレオ様を瀕死にさせた・・まったく無罪放免にはできません、 城内でもマリーさんを生かす事に反発が強く、国民だって決して許さないでしょう、そこで・・」   シャクナさんを遮るように前に出るマリー。   「そこでワタシのコレって訳よ」   じゃらっ、と首輪に付いた鎖を持ち上げる。   「ワタシの今の地位はね・・・奴隷なのよ」

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