「はい、いらっしゃい、いらっしゃい、伝説の英雄・御用達の道具屋はこちらだよー」
ここって、あの・・・あの道具屋だよな!?
「この国の救世主・英雄トレオが使ったのと同じエリクサーもあるよー、いらっしゃいー」
間違いない・・・
すごい人の多さ、混み合っている、店も建て増し中みたいだ、
奥には・・あのおやじがいる!それと、エリクサーが展示されている?
「これがあの英雄・トレオが使ったエリクサーと同じ物だよー、
英雄様には10分の1の値段で売ったけど、みんなは定価で買うんだぞー」
綺麗なエリクサーだなー・・・
あの時、これを使っていれば俺の体は完治していたろうに・・
10分の1で売った?10倍だった記憶が・・しかも今の表示価格も普通のレートの倍だし・・
でも売れてる・・すごい勢いで・・あ、売り切れた・・店のおやじも相当儲けてるみたいだなー・・・
白く濁ったエリクサーが不良特売品としてクズみたいにしてワゴンにある・・
「はいはい、見るだけの奴は邪魔だ!出てけ出てけ!」
うーん、このおやじ、どうしてやろうか・・・
・・・・・・・・・・うーん・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・決めた!!
どうもしない!!!
今ここで正体を明かしてどうこうしても仕方ないし、
よくよく考えれば回復アイテムを売ってもらえた事実はあるんだ、
他の店じゃ売ってもらえなかったかもしれないし・・何よりあの時、俺は悪役に見られてたんだ、
そう思われても仕方ない立場だったし、正体も明かせなかった・・・
この店のおやじが取った行動を攻められやしない、仕方がない事だ。
さ、東闘技場へ急ごう。
それにしても町中、きらびやかすぎる・・・
何かのお祭り?そういえば上空から見ても賑わっていたっけ、
闘技場も全部埋まっていた・・そうか、闘技トーナメントか何かの真っ最中なんだなきっと。
この国の人はつくづく闘いが好きなんだろうな・・俺が像になったのも闘ったから・・・
弱くなった俺を見たらさぞかし幻滅する事だろう、とっととこの国から去らないと。
・・・やっとついた、東闘技場・・入場券は昼の部はまだ売ってるみたいだ、
夕方と夜の部は売り切れ・・昼の部?2回戦とか3回戦じゃなく?
ま、どっちにしろお金持ってないし・・通用口へ・・確かこっちだ。
「あのー・・お弁当を届けてくれと言われたんですが、第3ステージへこれを・・」
守衛の向こうからバニーガールが出てきた。
「あら、そのお弁当はティドさんのですね?」
「は・・はい・・・」
ティドさんって言うんだ、
逃げるように出てきたから名前聞き忘れてた・・助かった。
と思っていたら奥から男の声が・・・
「おーいミームちゃん、時間だよー」
「はーい!じゃああなた、ティドさんに届けていただけます?」
「え、入っちゃっていいんですか?」
「もちろん!守衛さんもこの場所を離れる訳にはいかないでしょ?だから・・駄目?」
「いえ、いいですけれど・・」
「ついでに見ていくといいわ、ティドさんも始まったら控え室に戻ると思うから」
「はい・・では失礼して・・・」
「ミームちゃん早く早く!」
「はーーーーーい!!」
このバニーガールはミームちゃん・・
かあいいなあ・・そうそう、お弁当を届けないと、
ティドさんって闘うのかな?でもはじまったら戻るって審判?いや違う、
守衛かな?うーん・・ま、行けばわかるか、と控え室から会場を見ると・・・
「な、な、なんだこりゃあああああーーー!!!」
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めくる |