大きく跳びあがった!
あれは、捨て身の大技だ!
俺がトーナメント決勝で出したような・・・!!
「バキイィィィィィ・・・・・!!」
渾身の力で振り下ろしたレンちゃんの攻撃を間一髪よけ、
カウンター気味にレンちゃんの首へ棒を叩き込むララさん!
むごい、容赦ない・・・もし剣なら首が跳ねられていた所だろう。
「ぐぶぅぅ〜〜〜!!!」
少女とは思えない悲痛な声でひっくり返って倒れるレンちゃん・・・
「そこまで!勝者・ララ!」
即座にミルちゃんの回復魔法がかかる・・・
ララさん、かなりあせってる、手加減無しだもんな・・・
「ふう、ふう、レン、やりますわね、びっくりしましたわ」
「・・・げほっ、げほげほ・・・うぅ・・・ララ姉様ぁ・・・」
「末恐ろしいですわ、でもご主人様は譲りません事よ」
「・・私だってぇ・・・絶対ダーリンの1番になるんだからぁ」
よろよろとミルちゃんの肩を借りて立ち上がるレンちゃん、
な、何か可哀相だけど・・・ひょっとして、トーナメントで俺が経験した事を、
わざとレンちゃんが受けた?ララさんが与えた?・・ま、まさかね、でも思い出しちゃうなあ・・・
それにしても真剣勝負だった、大戦の時の模擬練習みたいな、いや、それ以上の!?
両隣のリリさん、ルルちゃんも食い入るように見ていた、少し興奮気味に言う。
「ララお姉様ー、危なかったですねー」
「びっくりしちゃったよ、大番狂わせになるとこだった」
「・・・そうなんですか?」
「はいー、お姉様も最後は本気でしたー」
「負けちゃいられないよ!レンに抜かれちゃう!!」
・・・やっぱり闘いが好きなんだなあ・・・って、リリちゃん!?
「うわ!リリちゃん何を!?胸に、手を入れないで!」
「負けちゃいられないからね、レンの愛情表現見たろ?だから私も・・・」
「ふふふーー、では私もー・・・ふーーー」
リリさんまで耳にふぅ〜〜〜っと息を吹きかけてきたぁ!
「そうですー、この闘いはー、単に強さを誇示してるんじゃなくてー、ご主人様への愛情を示しているんですー」
「ああっ!力が抜けちゃう・・・あ、あ、あれ?み、見て!あれ・・・ハプニカ様!?」
いつのまにか下では完全武装したハプニカ様がララさんと向かい合っている!
馬鹿な・・・かなう訳無いのに!いくら木の棒といえどララさん、命までも心配になっちゃう!!
涼しい顔で構えているハプニカ様とは対照的に相当緊張しているララさん、そりゃそうだ・・・
さっきの闘いぶりから想像すると本気でやるだろう、そうすればハプニカ様ならたとえ木の棒であっても、
殺してしまう事は可能・・・!!殺す訳ないはずなのに・・でも、でも・・・
「リリさん!ルルちゃん、あれ、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫ですー、きっとー」
「信じて大丈夫だよ」
「で、でも、ハプニカ様、本気の気配が!」
「ですからー、お姉様も本気ですー」
「ララ姉さんを信じようよ」
う・・・そうか、
ハプニカ様が本気で闘えるのは、
ララさんだって本気だから・・・そこまで・・・
そこまで本気!?この本気が、俺への気持ちが本気だという印なのか!?
「・・・・・決勝戦、ララ対ハプニカ・・・・・・・・・・・・・・・はじめ!!」
ミルちゃんが号令をかけるも構えたまままったく動かない2人!
これは・・・ハプニカ様にまったく隙がないゆえに、ララさんが動けない!?
「ふぇん、負けちゃったぁ・・」
「あ、レンちゃん!首、大丈夫?喉とかも」
「うん・・・あ、もう始まってるのお?」
「そうだよ、ほら、ここで見てな」
「わぁい、ダーリンの膝の上だぁ♪」
「まー」
「あっ」
一斉にリリさんとルルちゃんの視線にサンドイッチされる、
これは・・・嫉妬の目だ・・ちょっとしまったかも・・・
「見てぇ!ララ姉様がぁ」
「え?あ!」
じりじりと前へ出て間合いを詰めるララさん!
かなり緊張して汗を流しながら・・どうする気だろうか?
俺の考えるに、ハプニカ様への攻めは勝機が薄いと思うのだが・・・
もちろんこういう状態でハプニカ様が攻めに出た時は100%以上の勝てる確信での事だから、
それはすなわち勝負が決まった時なんだけど・・・かといって、
日が沈むまでの持久戦とかいう訳にはいかないか、それは意味がない?
あくまでも、真剣勝負とはいえ「闘技」だもんな、きっとこれは。
時間をいくらかけてもハプニカ様は揺るぎようにないし、よって、ララさんから仕掛けるしか・・・
でも、どうやって!?・・・・・詰める間合いが速くなった!
「やあああああああああああああああ!!」
ビュン!!
「こ、これは!!」
俺は思わず声を上げた!
ララさんはなんと持っていた棒を、
ハプニカ様へ向け一直線に投げた!!
そして真っ直ぐに飛ぶ棒よりもしゃがんで、
ハプニカ様の足元へ向けて突っ込む!こういう手で来たか!
「ハッ!」
バキッ!
ゴスッ!!
もどる |
目次へ |
めくる |