「私たちが残した者のせいで、迷惑をかけた」 「父と私は今、地獄で罪を償っているところだ」 「じゃあここは・・・地獄!?」 俺は地獄に落ちたのか!? 「いや、違う・・・とにかく今すぐ引き返してくれ」 「こちらに来られては・・・もう誰も償えなくなってしまう!」 「償うって!?」 闇を自然と進もうとする俺。 「お願いだ!このままでは・・・娘まで・・・地獄に落ちてしまう!」 「妹だけは・・・妹のハプニカだけは助けたいのだ!!」 「ハプニカ・・・様?」 うーん、引き返そうにも足が勝手に・・・ 「頼むっ・・・頼むっ・・・!!」 「ハプニカのために・・・ハプニカのためなのだっ!!」 「・・・引き返せば、ハプニカ様が助かるんですか?」 「そうだっ!だから、すぐっ!!」 「早く!はやくっっ!!」 ・・・・・足が重いけど・・・引き返そう。 う・・・ほんとに重い・・・あ、光だ・・・ 「・・・ハプニカよ、あとは頼んだぞ・・・父の最後の詫びだ」 「ハプニカ・・・これで兄を少しは許してくれ・・・ あとはお前の・・・愛だけだ・・・」 ・・・・・光に吸い込まれる・・・・・

「・・・・・」 「・・・・・・・・・」 何か会話が聞こえるぞ? 「・・・な・・・って・・・・ですか」 「ええ・・・・・だ・・・も・・・・・」 話しているのは女性2人の声だ・・・1人はシャクナさん? 「ミル様の診断では間違いないですわね」 「はい・・・おにいちゃんが意識を取り戻すのは1割もないです・・・」 シャクナさんとミルちゃんだ。 「もし意識を取り戻しても・・・残酷ですわね」 「私ぐらいの・・・ううん、もっと下の、か弱い少女ぐらいの力しか、 もう出せない体に・・・一生・・・おにいちゃんは・・・」 「でもそれも意識が戻ったらですから・・・」 「おにいちゃん・・・おにいちゃん・・・おにいちゃん・・・」 「大事な筋肉がズタズタなまま、とうとう治癒しませんでしたものね・・・」 「あれから2週間も回復魔法し続けてるのに・・・まだなのぉ?」 「・・・私は一生続けるつもりでいますが・・・」 「わたしもそうするぅ・・・おにぃちゃぁん・・・」 そうか・・・あれから2週間か・・・  か弱い少女ぐらいの力しかもう出せないのか・・・ 情けない・・・ハプニカ様に合せる顔がない・・・あれ、ハプニカ様は・・・!?

・・・・・ ん・・・・・ んん・・・・・・・ 目がさめた・・・真っ暗だ・・・ ここは・・・どこだ・・・体が・・・起こせられない・・・ 誰か・・・俺の胸に顔をのせて寝てる・・・誰だこれは・・・ 目がなれてきた・・・今は夜みたいだ・・・寝てるのは・・・ミルちゃん!? 「・・・・・ミルちゃん」 「・・・・・・・」 「ミルちゃん、寝てる?」 「・・・・・・・・・・」 「そうか、寝てるか・・・」 そっとしてあげといておこう。 「・・・・・・・!おにいちゃん?」 「ごめん、起こしちゃった?」 「おにいちゃーーーん!!!」 泣きながら飛びつくミルちゃん。 「おにいちゃん!おにいちゃん!おにいちゃん!」 「ミルちゃん、おはよう」 「よかったぁ・・・もう起きないと思ってたぁ!!」 「はは、そんなに眠ってた?」 「もう3ヶ月もぉ」 「嘘?そんなに?」 身動きとれないはずだ・・・ 「・・・また夢ぇ?」 「え?」 「何度も何度もおにぃちゃんが起きる夢を見たからぁ」 「夢じゃないよ」 「ほんとにぃ?」 「うん・・・お待たせ」 「えーーーーーーーーーーーーん!!!」 俺の胸で泣くミルちゃん、 しばらくしてその声が届いたのか部屋のドアが開いた。 「何かありましたか?」 「ミルさまー」 「恐い夢でも見たのか?」 「あ・・・あれっ・・・ああっ・・・!!」 4姉妹だ、レンちゃんが最初に気づいて驚いている。 続けて他の姉妹も・・・ 「きゃあ!お・・・起きられ・・・たの・・・ですね」 「・・・夢のようですー」 「・・・・・嘘じゃ・・・ないよな」 「ん・・・ぐす・・・えーーーーーん!!」 レンちゃんまで泣き出しちゃった・・・ よく見ると他の3人も涙をこぼしている・・・ 「ハプニカ様をお呼びしてまいります!!」 ララさんが慌てて出ていった・・・ ハプニカ様・・・どんな顔で会えばいいのだろうか・・・ 「私ね、ミルね、おにいちゃんが起きるまではってケーキ食べなかったんだよぉ」 「そう、えらいえらい、もう起きたから食べていいよ」 「おにいちゃぁん、おにいちゃぁん・・・」 バタッ、とドアが開いた、 そこにはほとんど下着姿の、 K懐かしいハプニカ様の姿が・・・!! 「・・・・・・・・・・」 黙ったままこちらを見ている・・・ 目からは涙をぼろぼろとこぼしながら・・・ そして・・・・・・・・・・・・・・・ 「えぐっ・・・えぐっ・・・う・・・うう・・・うあーーーーーーーー!!」 俺の横になってる足元に飛びついて号泣するハプニカ様・・・ まるでミルちゃんやレンちゃんと同い年かのように・・・・・ 幼い子供のように泣きじゃくっている・・・俺の胸の中で・・・ 手を伸ばしたかったが腕をピクリとさえ動かせられない、 感覚が無い訳ではないが痺れて・・・これが3ヶ月の月日なのだろう。 「うぐっ・・・うああああっ・・・」 あとはもうみんな泣いてばかり・・・ なぜか俺までもらい泣き、涙が出てきた・・・ その頬を伝う涙をぬぐいたいが、腕に力が入らず動かせない・・・ 俺は涙をあふれさせながら、たった数分目を覚まして会話しただけなのに、 その疲労感から再び眠くなり、そのまま静かに目を閉じた・・・・・

もどる 目次へ めくる