「・・・ん・・・」 ここは・・・控え室!? 気を失っていたようだ・・・ 「う・・・いたたたたた・・・」 「動かないでください」 「その声は・・・シャクナさん!?」 シャクナが俺の全身に包帯を巻いてくれている・・・ 「マリーさんは大丈夫でした、意識が戻るまでは数日かかりますが・・・」 「そう・・・」 「顔の傷はなんとか元どうりになるそうです」 「・・・いいのかい?俺の治療をして」 「はい、治癒魔法はもう解禁ですが、でもここまでひどいとかけても同じです、だからせめて包帯を・・・」 ・・・本当にありがたい、涙が出るよ・・ ・・・・・はっ!そうだ、スロトの野郎が!! 「シャクナさん!こんなことしてる場合じゃない!よく聞いてほしい!」 「な、何ですか?」 俺は手短にスロトのことを話す。 「ええーーー!?」 うしろのバニーさんも驚いている、というか、いたんだバニーさん・・・ シャクナは驚きのあまり口を大きく開けている・・・ 「早く、ハプニカ様の所へ行って・・・伝えて欲しい!急がないと!」 「は、はい!わかりました!」 慌てて出て行くシャクナさん。 外は暗い、時間は・・・6時半か。 時計の下に張ってあるトーナメント表に目がいく、 今から出れば決勝戦には間に合いそうだな・・・ そういえば、最後の闘いの相手は誰だ!? 「バニーさん、決勝の相手は?」 「は、はい!レン様ですー」 そうか、レンちゃんか・・・よかった。 という事は、もうトーナメントに暗殺部隊は勝ち残っていない事になる、 よかった・・・あとはスロトさえ取り押さえれば・・・ 「トレオさん・・・もう闘うなんて言いませんよねー?」 「いや・・・行くよ」 「どうしてですかー?」 

「レンちゃんを疑ってるわけじゃないけど・・・優勝しないと闘ってきた意味がないんだ」 「意味と申しますとー?」 そう、俺のこの闘いの意味・・・ 優勝してハプニカ様と結婚する!!! ハプニカ様は強ければ誰とでも結婚するだろう、 なら名実ともに最強になれば、ハプニカ様と胸を張って一緒になれる! 正体を気づかれていない今ならなおさらだ・・・!! 「いたた、いたいいたいいたい!!」 「起き上がらないでくださいー!」 「う・・・鎧と・・・兜を・・・」 ラストバトルだ、最後の気力を振り絞ろう! 「どうして動けるんですかー?」 「・・・愛する人のために」 「こんな怪我で動けるなんて、あの伝説の英雄でもないかぎりー・・・」 「・・・・・」 「ま、ま、まさかー!?」 「違うよ、人違いだよ」 「で、ですよねー・・・」 「・・・行くよ」

外へ出る俺・・・暗い・・・ ふらふらの俺を誘導してくれるバニーさん・・・ 意識朦朧・・・バニーさんの白く丸いしっぽだけを頼りに・・・ うーん、国王になったらバニー大臣に任命してあげよう・・・ バニー大臣・・・どんな大臣だ・・・でも、楽しそうかも・・・・・ 「つきましたよー」 「よかった・・・敵に襲われなくて・・・」 「そうですねー」 「さすがに今、襲われたら・・・何もできなかったよ」 「・・棄権しないんですかー?」 俺の顔を覗き込むバニーさん・・・ あと1回、レンちゃんを倒せば終わりなんだ・・・ これが最後の最後の最後の、本当に最後の・・・試練なんだ!! 「・・・ありがとう」 心からバニーさんに感謝し中央闘技場の控え室に入る、 豪華だ・・・やはり造りが違う・・・休もう・・・ 「トレオ様、決勝戦の時間になりました!」 休ませてくれないのね・・・ 係員に連れられ闘技場へ出る・・・ 

観客の熱気はさらに輪をかけて渦巻いている、 闘技場を取り囲む大きなたいまつも燃え盛って・・・ あ、正面2階席に一番いい所、ゴンドラにハプニカ様がいる・・・え!?あれ!? のとなりにいるのは・・・スロト!?嘘?あいつ、なんでまだいるんだ? シャクナが伝えに行ったのでは・・・ええ!?えっ、なぜだ!?

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