☆18禁裏小説7☆
「トレオさん、歩けますかー?」
「ああ、なんとか・・・」
「ふらふらじゃないですかー!」
「なぁに、あと30分・・・なんとかついてみせるよ」
「無理ですー、無茶ですー」
よろよろと進む俺・・・
あと・・・2試合・・・たった・・・2試合・・・
長い・・・長い苦痛が・・・もうあとちょっとで・・・・・
ザザザザザザザ・・・
!?
まわりを・・・囲まれた!?
今度は10人以上もの、黒い鎧をまとった奴等が・・・
「きゃー!トレオさーん」
「バニーさん、俺から離れないで!」
一斉に飛び掛かってきた!
「でやあ!でえい!どりゃ!!!」
・・・・・
ふう、敵は15人もいやがった・・・
しかも・・・ダルトギアの紋章をつけていやがった・・・
彼らはこの国の衛兵・・・いったい何人裏切り者がいるんだ!?
バニーさんは何とか無傷だ、俺が必死に守ったから・・・でも・・・
「トレオさーん・・・」
震えている・・・バニーさんが・・・
恐くて震えているのではなく・・・俺を・・・
血まみれの俺を見て・・・さっきのエリクサーの意味がなくなっちゃった・・・
「行こう」
せいいっぱいの笑顔をバニーさんに見せて進む俺、
もう考えるのはよそう、激痛もかまうのはよそう、進むだけだ・・・
剣を杖がわりに前へ前へと闘技場を目指す・・・ようやく見えてきた・・・・・
「ウッホン、待っていたぞ」
控え室にはスロトが待ち構えていた。
「そなたに良い知らせがある、ハプニカ様のことだが・・・
正式にハプニカ様から、そのたが優勝したあかつきには、
自らを優勝賞品に加えても良いとの返事が出された」
「ええっ!?」
「よって優勝すればそなたがこのダルトギアの国王だ」
・・・・・これは、俺の正体が・・・ばれている!?
後ろからバニーさんが顔を出す。
「そんなー!あの、大戦の英雄様とのお噂はー!?」
「ああ、あのお方でなくてもハプニカ様は良いそうだ、
私もその方がいい、トレオ殿が優勝すれば実力的に申し分なかろう」
やっぱり・・・でも、あらためてはっきり聞くと・・・ショックだ・・・
ハプニカ様は・・・本当に・・・名声さえあれば誰でもいいんだ・・・
いや、「トレオ」という人物は名声より罵声しかないのに・・・
うう、ハプニカ様は強ければ誰でもいいのか・・・そうか・・・
でも、もう後には引けない・・・これでますます・・・
「トレオ殿が優勝すれば悪い噂も晴れるであろう、頑張りたまえ」
「・・・・・はい」
「トレオさん、お時間です!!」
スロトとすれ違いに係員が呼びに来た、
準決勝・・・まともには闘えないけど・・・
もう俺には勝つことしか、生き残る道はない・・・
そう、あの大戦のように・・・!!
「準決勝、フレシュ対トレオ、はじめ!!」
ゴ〜〜〜〜〜ン!!!
夕焼け空に銅鑼が鳴り響き、
フレシュが空を舞い飛び掛かってきた!
直前にバニーさんから聞いた話によるとこの男、ヴェルヴィの弟子・・・!!
キィン!ガキィ!ガシャッ!
俺の装備したぼろぼろの剣と鎧がさらにひどくなっていく、
攻撃する暇をまったくあたえてくれない・・・やられっぱなしだ!
観客も喜んでいる・・・俺がやられるのは時間の問題に見えるだろう・・・
しかし・・・俺は一瞬の隙をひたすら待つ!
この体ではまともに闘ったら間違いなく負ける、
いや、それ以前にもうまともに闘える体ではない!
そこで・・・ただひたすら隙を待ち、
たった一瞬のチャンスに捨て身の一撃を与えれば・・・
相打ち覚悟の一発で敵を沈めるしか、もう俺には勝機がない!
「フフ、観念したか?師匠の仇はとらせてもらう」
「ぐう・・・お前も・・・ハプニカ様を・・・殺す気が・・・」
「当然」
ガキィ!バキィ!ギャイィン!!!
うう、隙がない・・・
「そろそろトドメを刺してやろう、大戦の英雄さんよ」
「何!?俺の正体を!?」
「ああ、ハプニカは気づいてないが、スロト様はとっくにお気づきだ」
「スロト様!?」
「そう、ハプニカを殺したあと、ダルトギアを影で支配する真の王になるのが・・・スロト様だ!」
スロトが黒幕だったなんて!!
「あんたをたきつけたのも作戦さ、今のあんたなら俺でも楽勝」
「ぐ・・・きさま!」
「しかもすっかり悪者のあんたを倒せば俺が英雄って訳さ」
許せない!
でも・・・力が・・・!!
「おっと、しゃべりすぎたようだ・・・いくぞ!!」
大きく構えた!今だ!!
「ぐぬおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーー!!」
「何ぃ!?」
ガッシイィィィィィィィィィィーーーーーーーンンンンン!!!!!
・・・
・・・・・
「・・・ぐはぁ!スロト・・・様・・・」
ドサッ
「勝者、トレオーーーーー!!!」
ドサッ・・・
勝ち名乗りを受けた直後、俺も倒れた・・・・・
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めくる |