「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・」 「トレオさーん!待ってくださーい!」 「ぜえっ・・・はぁっ・・・ぜぇっ・・・」 ・・・・・ん?あれは道具屋・・・大きいな・・・そうだ! 「バニーさん!」 「・・・・・は、はいっ、待って・・・はぁ、はぁ・・・」 「あの、俺って治癒魔法は禁止だけど・・・治癒アイテムはいいの?」 「はい、はぁっ、あのっ、アイテムはっ、大丈夫ですがっ、はぁっ、はぁっ」 「じゃあここで回復アイテムを買って使うよ!」 そろそろ気が切れる、 アイテムでせめて傷口をちゃんと塞いで、 ほんのちょっとでも体力を回復させないと・・・ 「いらっしゃーい」 中にはじじいが一人・・・あとはがらーんとしている。 「あのー、回復アイテムを・・・」 「もうほとんど売り切れだよ、残ってるのは高価なエリクサーだけだ」 「いくらですか?」 「交渉ってとこだな・・・ん?あんた、ひょっとしてトーナメントの・・・?」 「はい、そうなんです!だから回復しないと」 「お前・・・知ってるぞ、悪魔のトレオってな」 「あ・・・悪魔!?」 「ああ、我が国の英雄を次々と殺そうとする悪魔って有名だ」 ひどい・・・何て言われようだ。 「トレオ、あんたに売る物なんてないね」 「そんな!」 「どうしてもってんなら10倍の金は取るよ、嫌ならいいんだぜ、どうせ他所じゃ売ってくれないだろうよ」 うう・・・むごい・・・ 「金は・・・あ!」 「どうした?」 そうだ、全財産、シャクナさんに渡したんだった・・・ 「バニーさん、お金貸してもらえるかな・・・」 「えー、私、今3000Gぐらいしか持ってませーん」 「じゃあ駄目だ・・・そうだ!」 俺は腰にしまっていた小袋の中から金のメダルを取り出して渡す。 「これは・・・俺の命の次に大切なものだ」 そう、このメダル・・・ 大戦に向けモアスを旅立つとき、 モアス国王様に直々さずかった、名誉の騎士メダル・・・ 今は亡きモアスの形見、俺とモアスを繋げる最後の証・・・!! 「これでエリクサーを・・・」 「金のメダルか・・・モ・・・ア・・何だ?」 「モアスの純金製メダル、希少価値も高いはずだ」 「どうせ盗んだか奪ってきた物だろう・・・まあいい」 「じいさん、これでエリクサーいくつぐらいになるんだ!?」 「希少価値よりもうちは目方だ、本物かどうか溶かさせてもらう」 「う、それは・・・待ってもらえ・・・い、いや、急いでる!早く!」 「ふん、これ1個がせいぜいだな ポンとエリクサーを1つ投げ渡すじじい。 「1個だけか!?」 「文句があるなら返せ!」 「い、いや・・・し、仕方ない!バニーさん行こう!」 「は、はいー」 「おいトレオ!このメダル、純金じゃなかったら後でひどいからなー!」 うう、命の次に大切なのに・・・ 終わったらあとで買い取ろうと思ってたのに・・・ 溶かされちゃうなんて・・・し、仕方ない・・・あきらめよう。

「う・・・うぐぐぐぐ・・・」 「トレオさん!大丈夫ですか?トレオさん!」 「き、傷が・・・そうか、もうリミットか・・・ぐぐぐ・・・」 やばい・・・ 気で無理矢理止血してたのがきれた・・・ はやくこのエリクサーで・・・んっ!?こ、これは・・・ エリクサーは透明なはずなのに・・・白く濁ってる!? あのじじい、不良品を・・・ちゃんとしたエリクサーだったら、 完治できたかもしれないが・・・ううう!もう耐えられない!使おう! 俺はエリクサーを使った!! ・・・・・・・・・・・・・・・ 「・・・ぐあっ!駄目だ!」 「トレオさん!」 「やっぱり完治しない!ましにはなったが・・・うぐう!」 「トレオさん!トレオさん!」 「それでも・・・傷口はなんとかくっついては・・・い、るみたい、だ・・・ぐふう!!」 痛さに悶える・・・ううう・・・

 

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