また、悪夢を見た。 

下腹部の中で何かが暴れまわっている夢・・・ 

こ、これは夢なのか?・・・という所で、目が覚めた・・・・・。 

 

・・・ 

・・・・・うっ・・ 

ううっ・・・お、おしっこが・・・したい・・・ 

 

僕は激しい尿意で目を覚ました、 

気がつくと膀胱がパンパンに膨らんでいるようだ、 

苦しい・・・おしっこをしたい・・・そういえばさんざん水を飲んだから・・・ 

 

「ふ、文子ちゃん・・・いる?」 

 

・・・・・返事はない。 

天窓からは月明かりが入ってきている、 

それに目をこらすが・・・文子ちゃんはいないようだ、 

どうしよう・・・このまま出したらパンツがびしょびしょに・・・ 

と思って体を見ると・・・!服が脱がされている!? 

この時、ようやく気付いた、僕の体がいつのまにか全裸になっている!! 

 

・・・コツ・・・コツ・・・コツ・・・ 

 

「ふ、文子ちゃん?」 

 

階段を降りてくる音・・・文子ちゃんだろう・・・ 

・・・うぅ・・・はやく・・・おしっこがしたい・・・ 

こうして目で見ても膀胱が膨らんでいるのがわかる・・・うぅぅ・・・ 

 

「・・・先輩、起きたんですか」 

「う、うん、文子ちゃん、ちょっと・・・おしっこ行きたいんだ・・・」 

「おトイレ・・・ですか?」 

「うん、我慢できなくって・・・ほどいてもらえないかな」 

「・・・・・それはできません」 

 

!? 

できません、って・・・!? 

 

「ど、どうして?」 

「部長、言いましたよね、『快感を一切与えない』って・・・ 

放尿って、立派な快感なんです、先輩は禁断症状の周期の真っ最中にいます、 

もし放尿すれば、がほんの僅かな快感でもそれが起爆剤になって・・・大変なことに・・・

今は症状の潜伏期みたいですけど、放尿で一気に症状が出て、それに快感が重なって・・・ 

全てが無駄になってしまいます・・・ですから・・・我慢してください・・・」 

「そ、そ、そんな!!」 

「服も脱がせました、先輩の皮膚、禁断症状が進行すると、 

どんな些細な感覚もくすぐったく感じるから・・・服の感覚さえも・・・ 

だから、脱がせたんです・・・先輩、もうちょっとの我慢です・・・辛抱してください」 

「そんな!は、破裂しちゃうよ!助けてよ!!」 

「・・・膀胱って、思ったより膨らんでも大丈夫なんですよ、このあと3倍ぐらいは・・・ 

でも・・・確かにこれで一気に放尿したら・・・尿道が切れちゃいますね・・・わかりました」 

 

文子ちゃんはトランクの方へ行き、 

開けてごそごそと何かを取り出した・・・ 

それは・・・回線?いや・・・細い細い・・・チューブだ・・・ 

 

「これ、カテーテルっていって、尿道に刺し込むものです、 

これを差せば放尿はゆっくりゆっくりできますし、それに、これ以上膀胱に尿が溜まっても、 

カルーテルの先を塞げば・・・漏らしたくても漏らせませんから・・・」 

「ま、まさかそれを・・・」 

「全て部長のためです、大丈夫ですよ、こつさえあれば刺し込む痛みはまったくありませんから」 

 

カテーテルの先をを僕の膨らんだペニスに近づける文子ちゃん・・・ 

 

「や、やめて!やめて!!」 

「大丈夫です、信頼してください・・・入れますね・・・」 

 

僕は恐さに両手両足に力を入れる・・・ 

 

「動かないでください!元の体に戻るためです!部長!!」 

 

その文子ちゃんの思いもよらない強い口調に、 

僕は歯を食いしばりながらじっとする・・・ 

 

「いきます・・・」 

 

つぷっ!! 

ず、ず、ずずずずず・・・・・ 

 

「ひ、ひ、ひ・・・」 

「大丈夫でしょう?痛くないでしょう?」 

「う・・・うん・・・でも・・・恐い・・・」 

 

少しづつ少しづつ、カテーテルが尿道を進む・・・ 

 

「は、入ってくる・・・入ってきてる・・・」 

 

ずっ・・・ずずっ・・・ずずず・・・ 

 

「今、半分です・・・もうちょっとですから・・・」 

「ああっ・・・来る・・・中に・・・入ってくる・・・」 

 

何ともいえない冷たい物を刺し込まれる感覚・・・ 

それがペニスからその奥へ、そして膀胱へと・・・ 

ずずずずず・・・と入ってくる・・・う・・・痛くはないけど・・・膀胱が辛い・・・ 

 

「ああっ・・・うぅ・・・うっ・・・」 

「・・・・・もう・・・届いたみたいです・・・では先を・・・」 

 

文子ちゃんはカテーテルの先を固く結ぶ、 

その結び目から数センチ先でチューブは終わっている・・・ 

その先端が見える、シルエットを見るとペニスの先に剣が刺さってるみたいだ・・・ 

 

「文子ちゃん・・・苦しいよ・・・これで出したら・・・駄目なの?」 

「駄目です・・・逆に少しづつ排尿する方が気持ちいいですよ・・・」 

「おしっこしたいよ・・・どうにか・・・ならないの?」 

「・・・どうにもできませんけど・・・ただ、早く助けることはできます・・・」 

「は、早くって・・・う・・うぅぅ・・・うあああああっっ!!!」 

 

体中をまた、あの「かゆくすぐったい」感覚がしはじめた! 

ちゃんとしたくすぐったさではない、体が「くすぐってほしくて違うくすぐったさをする」とでもいうか、

皮膚がくすぐったさを欲して乾いているというか・・・形容しがたい耐えられないもどかしい感覚・・・!!!

 

「うわっ!うわぁ!うわあああああああああ!!!」 

「禁断症状ですね?はい、タオルを噛んで!」 

「ぐわあああ!はぬ!むううううううううううううーーー!!!」 

「手を握っててあげますから!我慢して!!」 

「むぬうううううう!うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」 

 

僕は必死で耐える! 

喉が潰れるぐらいのうめき声を、噛んでいるタオルに染み込ませて! 

く、くすぐってほしい!くすぐったさが欲しい!くすぐったくなりたい!! 

体中の血が逆流しているようだ、はやくくすぐって血を元の流れにしてほしい、 

そんな感覚に僕は必死で全身をのたうつ!ロープがぎりぎりと手首・足首に食い込む! 

 

「ぐがぁ!ぎぃぃぃぃぃ・・・むぅーーーーー!!!!!」 

「部長!耐えて!耐えてください!!」 

「ぐむうううううううううううーーー!!!ぎがぁぁぁぁぁぁ・・・」 

 

地獄の苦悶・・・ 

全身から脳を襲う禁断症状に油汗が止まらない・・・ 

目をつぶって必死に耐える僕・・・排尿したい膀胱の圧迫感も苦しい・・・ 

助けて!はやく助けて!このたまらない「くすぐって欲しい感覚」から助けて! 

でないと、し、死んじゃう!気が・・・気が狂っちゃうよぉぉぉぉぉ・・・・・ 

 

「ぎひいぃぃぃぃ・・・・・」 

 

・・・・・ 

・・・・・・・・・・ 

・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

夢を見ずに目を覚ました・・・ 

僕は・・・気絶していたのか? 

苦しんでいたのは何時間だろう、そして寝ていたのも何時間だろうか、 

僕は汗だくのままだ・・・いつのまにかタオルが外されている・・・ 

叫びすぎて喉が渇いたが・・・膀胱もよりいっそう痛い・・・さっきより膨らんでいる・・・ 

そういえば天窓からの明かりが・・・朝の光の感じになっている・・・ 

あれ?文子ちゃんは?と思った直後、僕の頭上からペットボトルが降りてきた!! 

 

「!?・・・ごく・・・ごくごく・・・ごくごくごく・・・!!」 

「先輩、たっぷり飲んでくださいね・・・」 

「ごくんっ・・・ごく、ごく、ごく・・・ぶあっ!やめ・・・がぼがぼがぼ・・・」 

「次の禁断症状のときのためです!膀胱はまだまだ大丈夫ですから・・・」 

「や、やめ・・・ごぼごぼごぼぉ・・・!!!」 

 

文子ちゃんに水をさらに大量に飲まされる僕、 

かなり荒っぽく無理矢理・・・の、飲まなきゃ溺れる! 

口を閉じると鼻に入ってくる!首を振っても口にペットボトルを入れられて・・・!! 

 

「ごぼっ!ごぼごぼぉっ・・・げふぉげふぉ!ごくごくごく・・・」 

「・・・・・2リットル、全部飲んじゃった・・・」 

「・・・げぼおっ!ぐはっ!はあっ!はあっ!はあっ・・・こ、殺す気!?」 

「でも・・・いっぱい飲ませないと・・・」 

「飲ませすぎだよ!怒るよこれじゃあ!!」 

 

僕は本気で怒った、 

ひどすぎる・・・いくら文子ちゃんでもひどすぎる! 

と思って睨むと、文子ちゃんのメガネの奥から涙が溢れていた。 

 

「ぐすっ・・・本当にごめんなさい・・・で、でも、これで最後にしようと思って・・・」 

「さ、最後って!?」 

「・・・かなりきついんですが、あと一回の禁断症状で済ませる方法があるんです・・・」 

 

文子ちゃんは泣きながら震えた声で話を続ける。 

 

「・・・このまま禁断症状を続けても先輩の体力と精神力が心配です、 

でも、私が持ってきた薬を注射すれば・・・あと一回の禁断症状で済むんです、 

そのかわり、苦しさはとんでもない強さですが・・・短い時間ですみます」 

「・・・そんな薬があるんだ」 

「はい、元々麻薬中毒患者用のなんですが・・・たまたまトランクに入ってて」 

「じゃあ、それを打てば・・・あと一回でいいんだね?」 

「間違いありません、これで先輩は乗り切れば普通のからだに・・・」 

 

どうしよう・・・ 

これを打てばあと一回の苦しみだけになるというけど、 

これまでのあの苦しさを考えると・・・でも、これ以上何度も苦しむのも嫌だ、 

何より膀胱が・・・文子ちゃんは大丈夫と言っているけどもう限界だ!破裂する! 

でも、苦しさのあまり・・・発狂してしまうかも・・・どうしよう・・・どうしよう・・・ 

 

「部長、部長ならきっと耐えられます、それに・・・ 

私・・・私、もうこれ以上、先輩の苦しむ姿、見たくない・・・ひっく・・・ひっく・・・」 

 

またぼろぼろと涙を流す文子ちゃん・・・ 

ここまで・・・ここまで僕のことを思ってくれて・・・!! 

・・・・・・・・・・よし・・・・・決めた!!! 

 

「文子ちゃん・・・わかった、文子ちゃんを信じるよ・・・」 

「・・・・・部長!?」 

「早く楽になって・・・文子ちゃんと一緒に山を降りよう」 

「・・・部長・・・部長・・・私・・・」 

「その薬・・・注射して・・・お願いするよ」 

 

僕のその決心に、 

嬉しそうな文子ちゃん・・・ 

こんなに僕のことを想ってくれてたんだ・・・僕も涙が一筋流れた。 

 

「・・・では、注射します・・・いいですね・・・」 

「うん・・・恐いけど・・・これが最後だから・・・」 

「ええ、苦しむのはこれが最後です、間違いなく・・・」 

 

透明な液体の入った注射器・・・ 

ぴゅっ、と滴が飛ぶ・・・針の先が光る・・・ 

文子ちゃんは僕の腕に消毒液を塗って・・・狙いを定めて・・・ 

 

ぷすっ・・・ちゅーーー・・・ 

 

軽い痛みとともに血液に薬が入っていく・・・ 

文子ちゃん・・・決めた・・・この山から出たら・・・ 

僕は・・・文子ちゃんに「つきあってほしい」とお願いしよう・・・ 

もうすっかり僕の心は文子ちゃんに奪われている・・・文子ちゃんを恋人にしたい・・・ 

この後の苦しみも、文子ちゃんのために乗り切ろう!と闘志が湧いてくる・・・!!! 

 

「・・・はい、これでしばらくすれば、きいてくるはずです・・・」 

「・・・・・ありがとう」 

「部長・・・もうちょっとお水・・・飲んでください・・・」 

「ど、どうして?」 

「これが最後ですし・・・今の薬、水分がいっぱい体にあるほど、苦しみがやわらぐんですよ・・・」 

「・・・そうなんだ・・・わかった・・・飲めるだけ飲んでみるよ・・・」 

「次の苦しみの後には出せますから・・・はい、どうぞ・・・」 

 

また水を流し込まれる・・・ 

 

ごくっ、ごくっ、ごくごくごくごくごく・・・ 

ごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごく・・・・・ 

ぐぷっ・・・ごくっ・・・ごくごく・・・ごく・・・・・ごく・・・ごく・・・ 

 

「・・・・・すごい・・こんなに・・・」 

「・・・ぶはぁ・・・ん・・・体中・・・水のタンクみたいだよ・・・」 

「これだけ飲めばもう大丈夫だと思います・・・」 

「・・・あれ・・・眠く・・・眠く・・・なって・・・きたよ・・・」 

「薬がきいてきたみたいですね・・・起きた時が・・・いよいよ最後の山ですから・・・」 

 

そうか・・・ 

やっと最後の試練か・・・ 

でも、これでくすぐったさからサヨナラできるんだ・・・ 

やっと・・・やっとまともな体に・・・普通の健全な、正常な・・・ 

そして・・・文子ちゃんと・・・ん・・・ぐ・・・ぐう・・・ふ・・・みこ・・・ちゃ・・・ん・・・・・ 

 

「部長・・・」 

「・・・ぐー・・・ぐー・・・ごぽっ・・・」 

「部長・・・部長・・・許してください・・・愛しているんです・・・」

「ぐぅ・・・ぐー・・ぐうー・・・」 

「ごめんなさい・・・部長・・・でも・・・でも・・・・・」 

 

そのまま僕は眠りに落ちた・・・ 

あとから考えれば不自然な事も多かったはずなのに、 

僕は完全に文子ちゃんに・・そして、僕は・・・・・ 

本当に、真の悪夢を見ることになるのだった・・・ 

そう、一生さめる事のない、絶望的な悪夢に・・・・・・・・ 

 

もどる めくる