直線上に配置

大会当日 前編

■いざ、サロマへ・・・
予定通りAM1時に起床した。割と目覚めは良かった。これまでにないくらい熟睡した気がする。目がさめると急激にお腹が空いてきたので、まずは赤飯にぎりをパクッ。まだ食べれそうなんで、バームクーヘンに手をつけるとこちらもペロッ。あんぱんは後で・・・ということにして、体中にチタンテープを貼り付け、ワセリンをあちこちに塗りまくり、アミノプロ、ビタミンC、ビタミンEなどのサプリを飲みほぼ準備完了。残すは朝の大仕事のみ? そうこうしていると恐ろしい事に食欲がムクムクと沸きあがり残っていたアンパンも食べつくしてしまった。何か今日はやたらと食欲が沸くんだけどどうなってるんだろ?と思っていたらようやく大仕事の予兆がきたのでトイレへ駆け込み、準備完了。ゼッケンの装着はスタート地点へ着いてから気温を確かめておこなうことにした。

ホテル出発は2時15分、まずはゴール地点へ車を置き、スタート地点行きの送迎バスへ乗り換え、スタート地点到着は午前4時ちょっと前。バスの中では眠ってしまい目が覚めるとまん丸の真っ赤な太陽が薄雲の隙間から見えた。良い天気になりそうな予感。これなら半そでTシャツで決定だな。

スタート地点に到着してからは結構あわただしい。何を中間地点行きの荷物袋に入れて、何をゴール地点行きの荷物袋に入れるか分別しなければいけない。前日の準備をおろそかにしていたので、そのツケがまわってきた? 一応中間地点行きの荷物には、胃薬、下痢止め、サプリなどのほか、靴下、スペアシューズ、スペアTシャツなどを預けた。できれば手をつけずに素通りしたいと思っているが、ウルトラは先が読めないので、備えあれば憂いなしということで準備だけは手堅く・・・ スペシャルドリンクを預け、小仕事を空いているトイレで済ませるとあとはスタートを待つのみ。写真撮影などを行なっていると、ケソさんとカープさん登場。ケソさんは、今回欠場だが、コースのあちこちに出没して応援して下ると言う。これは、心強い・・・(タラタラ歩いているとバレちゃう???)

スタート地点の会場には、今回がワールドカップ共催ということもあって外国選手がアチコチにいた。滅茶苦茶早そうな人もいて、何か凄い大会に出ちゃった感じ??? こんな凄そうな人達と一緒のレースに出れるなんて凄いラッキーなことかもしれない。何と言ったって100kmマラソンの世界一を競う大会に出場しちゃってるんだもんね。(これって競技がゴルフだったらタイガーウッズと全米オープンに出場するみたいなもんじゃない???) すっかり場の雰囲気に舞い上がり、これから100km走ると言う現実を忘れかけていた。さらにスタート直前にはホノルルマラソンチームぴあのリーダー寛平ちゃんが紹介されていた。レース中に逢えるかもしれないという楽しみがひとつ増えた。また高石ともやさんも今回出場する予定だったそうだが直前に足を骨折しまったそうで残念ながら欠場。『私の分も走ってください』というメッセージを贈ってくれた。ゲストの紹介も終わり、いよいよスタートを待つばかり。長い、長ーい、長ーーい1日が始まろうとしている。
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■スタート
カウントダウンが始まった。これから100kmという途轍もなく長い距離を走り出そうとしているのに、このあとどんな苦難が待ち構えているのか分からないというのに、スタートラインに立つランナー達は一様に笑顔を崩さなかった。ランニングに興味の無い人がみたら、『こいつら何なんだ?』という素朴な疑問を持つんじゃないかと思う。やる前から苦しむことを分かっているのに、何故その苦しみの中に身を投ずるのか・・・ こればっかりは、やった者にしか分からないんだろうなきっと・・・ いややったことのある自分ですら、何故毎年ここに来ようという気持ちが湧き上がってくるのかうまくは説明できない。その答えを探しに今年も旅立つ。 スタートは毎度のようにあっけなく訪れる。ホノルルのような派手さは無いし、自分達がスタートする後方の位置では、意気込んでいる人もいない。ニコニコしながら前の人に続いて、スタートラインを万歳しながら超えていく。『あーぁスタートしちゃった』これが正直な感想。でもそこに悲壮感は全く無い。誰に強要された訳でもない。自分で決めた道だから。『ボチボチと行きましょう。先は長いから・・・』そんな言葉が耳に入ってきた。あせっても仕方が無い。ここまで来たら『慌てず、騒がず、落ち着いて』がイチバン。そのとき一つの言葉が思い浮かんだ。”泰然自若”この言葉を胸に秘めて走ることにした
スタートを見送る高石ともやさん
■異変(胃変)
異変はスタート直後に起きた。突然胃が張るような感覚が起き、続いてゲップが・・・ そのゲップをした時に胃酸が喉元までこみ上げてきたのだ。食道付近はヒリヒリと痛み、微かな吐き気を感じた。予兆は何となくあった。横浜駅伝、チャレンジ皇居50km、いずれもレース終了後に吐き気をもよおし横浜駅伝の時は帰宅後に嘔吐した。どうもレース後に胃の調子が悪くなる。100kmマラソンとなるとレース中に起きてもおかしくない。そんな不安を抱えてはいた。ただこんなに早い段階で胃の不調が来るとは想定外だった。胃に不安を抱えてのスタートだったので、胃酸を抑える薬を持って走ってはいた。しかし一度も試したことのない薬だった。まだ薬に頼る段階ではないと判断して、最初の給水で胃酸が薄まってくれることを祈った。その後も何度かゲップに襲われたが、吐き気はおさまり回復の傾向が感じられた。すっきりとした状態では無かったが、何とかなりそうだ。あとは胃に大きな負担を掛けないよう、気をつけて走ろう。そう心にに誓った。

■慎重に、慎重に・・・
序盤はちょっとした異変があったこともあり、おさえめに滑り出した。前に壁をつくり出来るだけ抑えた。日差しは強くサングラスをしていないと眩しいような状態だった。『きっと暑くなるなぁ』そんな予感を感じ、給水ポイントではボトルに水を補充して掛水&エイド間での給水に備えた。10kmの通過は1時間1分39秒。スタートまでのロスは2分〜3分だったと思うので、1km6分弱というまずまずの滑り出しだった。(思ったよりも速いかった。)コース取りは暑さによる消耗を考慮してできるだけ日陰を選んだ。また日陰がなくても道路の真ん中ではなく、草木が生い茂っているギリギリのラインを選んで走った。10km地点を通過して暫くすると、早くも先導車両が登場。トップ争いは、日本代表の佐々選手と外国選手1名。その後ろは少し離れていた。外国選手とすれ違うたびに拍手が沸き起こった。こういう盛り上がり方はサロマでは初めて。なんとなく興奮してきた。

15kmを過ぎると竜宮台折り返し点がやってくる。折り返す直前にでんでんむしさんと遭遇。折り返した後、恒例の?トイレ休憩をとり暫く走るとシロさんと遭遇。このあとはワッカまで折り返し地点は無いので、ひょっとすると次に会うのはゴール後かも???

20km地点がやってきた。通過タイムは1時間57分46秒。一度トイレに行っていたので2時間ちょうどくらいのタイムを想定していたが、少し速かった。でもリズムは悪くなかったし、胃の具合も落ち着いてきたので、このままならオーバーペースにはならないと判断して走り続けたが、日差しの強さがかなり強烈になってきたので、帽子を逆向きに被り、ボトルの水を首筋にかけ早めの暑さ対策を行なった。また20km地点のエイドから給食が始まるので、大嫌いな梅干を鼻をつまみながら口に放り込み、ナトリウム欠乏症に対する備えを行なった。(ちなみに梅干を食べるのはサロマと青梅の年2回のみ)お腹も空いてきていたが、まだ胃に不安があったので梅干以外のものは口に入れなかった。

20kmを過ぎ30km地点に近づくと、広大な畑や牧草地が広がるのどかなところがコースの主体となる。当然のことながら日陰はない。まだ朝7時〜8時という時間帯なのだが、直射日光による暑さを頭や腕で感じるようになってきた。また汗の量もかなり増えてきたので、エイドでは必ず、帽子を濡らし、また腕や脚、首に水をかけ、オーバーヒートしないように気をつけた。給水に関しては、一度に多くの水を含むと胃に負担がかかりそうなんで、口に入れるのはコップ半分程度に留め、あとは手持ちのボトルを満タンにしてエイドステーション間でこまめに給水するよう心がけた。ということで、暑さ対策はかなり慎重に行なってきたが、一方で走るペースのほうは無理に落とさず、リズムに乗って走り続けた。30km通過は2時間53分34秒。エイドでのロスを考えれば実質1km5分20秒程度で走っていたんじゃないかと思われる。ペースをみるとちょっと速い気もしたが、楽な感じで走れていたので、敢えて落とそうとは思わなかった。
30kmのスペシャルドリンクステーションでは、預けておいたアセロラドリンクを飲んだ。アセロラの酸味が口の中を少しだけ爽やかにしてくれた。過去3回の出場ではこのあたりで最初の疲労感を感じていたのだが、今回はまだ疲れは感じていなかった。『いい具合かも?』なんて思っていたら応援に来てくださったケソさんと遭遇。『めっちゃイイペースですよ〜!!』という掛け声に笑顔で応え、益々調子にのった。暑さに対する備えは万全に!走りは大胆に!がこのあたりでのキーワードだったような気がする。
■どうなんだろ?
35km地点を越えると、農道から離れて国道に出る。農道は片側通行止めだったが、国道に入ると、歩道や路肩部分が走行帯となる。その為、横に並べるのは2人〜3人が限度だ。国道を走っていく車はかなりのスピードで走り去っていくので、はみ出て走るのはちょっと怖い。前のランナーについて走るのが一番良い走り方なんだろうが、どうもペースがあわなかった。自分のストライドで気分よく走っていると前のランナーにおいついてしまう。前のランナーのペースに合わせるとストライドが狭まり、なんか気持ち悪い。仕方が無いので、あまり良くはないなぁと思いながら、車道ギリギリを走って追い越しをかける。走りのリズムはかなり良かった。上り坂も苦にせず上れたし、下り坂も気分よく下れた。エイドでの作業も慣れてきた。40kmの通過タイムは3時間51分01秒。国道に出てから上りが現れ若干ペースは落ちているが、依然として疲労はそれほど感じず、引き続き快調だった。もっとも、ぬか喜びしていたわけではなく内心は、今年はどうなっちゃってるんだ。いつ、ガクッと来るんだろ?という不安も多少抱えてはいた。それでも、いまのリズムを出来るだけ長く持続させることを最優先させ、行けるところまでは行っちゃおうという開き直りも芽生えつつあった。
40km地点を過ぎて、暫くすると国道を一時的に離れて月見が浜道路に入る。この道路の途中に42.195km地点がある。もしかしてサブフォー?と思い時計を覗き込むと4時間3分だった。ネットならほぼサブフォーペースという状況に思わずニンマリ。サロマに初挑戦するとき、自分に課した条件はフルマラソンでサブ4だった。それが今、100kmマラソンのレース中にクリアできている。おまけに初挑戦の時はこの時点で既にかなりマイッていて、54kmの緑館レストステーションをとりあえずのゴールと決めて苦走していた。でも今年は、レストステーションを素通りしてしまおうかと思えるほどの余裕がある。どこまで行けるんだろ?などど思っていると、応援バスの観戦ポイントに到着、K枝に調子を聞かれ『絶好調!』と言いたいのを1ランク謙虚にして、『まぁまぁ!』と答えて通り過ぎた。このとき目にしたサロマ湖はどこまでも青く鮮やかに輝いていた。
月見が浜道路からサロマを眺めると
こんな感じ
42.195km地点にある常設のプレート
大会期間の臨時看板ではありません
(続く)
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