95年9月の様子

    

 9月は新米のおいしい季節だな〜と思いつつ、カリフォルニア米を食べている毎日です。お夕飯がマクドナルドでも違和感がないほどパナマに慣れてきたといえるでしょう。(パナマではマクドナルドはファミリーレストランなのだ)

 さて、9月の「く」は「苦しむ」の「く」と思うほど、今月は大変でした。と言っても家族はいたって元気ですし、ストライキがあったわけでもありません。苦しんだのは、(しゅふぎょうにがての)私だけだと思いますが。 

 その1    また、こわれた! 

 9月に入ってすぐ、オ−ブント−スタ−と、掃除機と洗濯機がこわれました。オ−ブント−スタ−はスイッチが切れなくなって、温めなおしていたトンカツが燃えました。掃除機はスイッチを押しつづけていないと、動かなくなりました。

 しかし、何よりシヨックを受けたのは洗濯機の故障です。毎日気温29℃、湿度80%の暑さで山のような洗濯物が出るというのに全て手洗い!汗をかきかき洗濯すれば洗濯物を減らしているのか増やしているのか???メイドのアンヘラに手伝ってくれと頼んでも「腰が痛いからだめ」と断られてしまい、孤独な洗濯物との戦いになりました。

 1日でも早く修理してほしいと、パナマ人の先生に電話をかけてもらうのですが、「今日か明日行くつもりだ。」と言う返事で、時間も分かりません。1日中待っていてついに来ないので、翌日「来なかったじゃない!」と電話をすると「今日か明日行くつもりだ。」と言う返事が返ってきます。そして次の日もやっぱり来ません。パナマでは『あてにせず、あきらめず』と言いますが、『あてにしてると、あきれます』のほうが正しいと思います。結局5日が過ぎて6日目、とうとうあきれた主人が洗濯機を分解して詰まっていたハンカチを取り出すと、やっと元通り。洗濯機の無いころの主婦のつらさを実感した6日間でした。

 何はともあれ、主人に感謝。主人はパナマの電気屋になれる素質ありです。 

 その2    また、かわった! 

 さて、腰が痛いと言っていたアンヘラですが、パタリと来なくなってしまいました。後で分かったのですが、病気のお母さんを介護するうちに自分も腰を悪くして働けなくなってしまったのだそうです。(はたらかなくてもきゅうりょうはちゃんともらいにきたぞ)

 そんなわけで、2週間にわたりあてなを背中におんぶして毎日掃除、洗濯、炊事、育児に明け暮れました。開けたままの窓からは排気ガスと工事現場からのほこりが入って真っ黒になりますし、ゴキちゃん、アリちゃんがでますし、スペイン語の先生も来るので掃除は朝晩です。おかげでモップしぼりとモップかけが上手くなりました。

 アンヘラがやめたので、3人目のメイドを探すことになったのですが、紹介されて来たのは57才のおばあちゃん。パナマの平均寿命は60才と言われているので、「大丈夫?」と思いましたが、心理が初めて会ったときに「おばあちゃ−ん!」と抱きついていったのを見たら、「他の人を紹介して」と言うわけにはいかなくなりました。

 そのマルタおばちゃんの働きぶりですが、今までの3人の中では一番の働き者です。エディ−は昼寝ばっかりしていたし、アンヘラは無断欠勤ばっかりしていたので、朝から大雨になった日に膝まで水に浸かりながら歩いてきた姿を見て即採用を決めました。パナマでは、バスで1〜2時間もかかる遠い所から通っているメイドが多く、朝雨が降るとメイドが来ないのはよくあることなのです。(てんきがすごくよくても、じぶんのいえのせんたくをするからといってやすみます)しかし、働きはじめて2週間が過ぎましたが、まだ私とあてなの名前を覚えてくれません。こんなマルタに洗濯機や電子レンジの使い方を覚えさせるのは至難の業で、結局私がやったほうが早いのでした。

 私には、パナマのメイドになれる素質ありです。 

 その3    また、こまった! 

 服の良いものがないので困っている話は何度もお知らせしましたが、仕立てを頼んでいるレイダ−さんは、パナマの相場の約3倍の値段がかかります。仕立て代がワンピ−ス$40〜60、ス−ツ$60〜80だと、既製品と変わらない値段になってしまいます。と言っても、既製品では合うサイズがない私は安い仕立屋を紹介してもらうことにしました。それがゴメスさんです。ゴメスさんの家へ行き、ワンピ−スを1着頼むと、私の頭の先から足の先までじ−っと見て「$35」と言いました。仮縫いなしで$35はべらぼうに高いと思いましたが、日本人の悲しさか「やっぱりやめる」と言えず「もう頼むもんか!」と思いつつ玄関を出ると、アンヘラに「$35は高すぎる。普通なら$10〜15で仕立ててくれる。日本人だから高い値段を言ったのだ。」と言われて、日本人って損ね、と思いました。

 そこで、アンヘラに翌日電話をしてもらい「安くして。」と言うと$25になりました。(アンヘラ に$3とられたけどね。)3日後にできたと言うので行ってみると「これと同じにして」と渡したワンピ−スに ゙どこが似てるのと? と言いたくなるくらい変。中学生の家庭科作品のほうがまだましです。しかし、布が高かったので、一念発起して自分で作りなおすことにしました。全部糸をほどいて布を切り直して縫い直しました。(なおさなかったのはボタンホ-ルだけ) できあがったワンピ−スを着て見せると主人は太って見えると言いますが、私は十分満足です。

 私は、パナマだったら仕立屋になれる素質ありです。 

日本人は損だなと思うことの1つに、「チーノ、チーノ」と呼ばれることがあります。「チーノ」というのは、中国人のことなのですが、ばかにした意味合いを含んでいて、お店などでは『ふん!』って感じで態度が非常に悪いのです。ところが、「日本人だよ」と言ったとたん態度が変わりあれやこれやと品物を売りつけようとしてきます。日本では分からなかった人種差別される側の不愉快さが良く分かります。

 NOTICIAS     

 9月7日(木)

 心理と侑理が同じアパ−トに住む3姉妹と一緒に水泳を習いはじめました。45分くらい教えてもらって、1人$3です。日本でスイミングスク−ルに通っていたときは、1回の授業で泳いでいる時間は10分くらい。それでも1人¥1200くらいかかりましたから、すご〜く得をした気がします。2人とも犬かきのようなへび泳ぎのような泳ぎ方で頑張っています。背の立たない所でも平気でぷかぷか浮かんでいますが、なかなか前に進まないのが悩みです。10月に後期水泳大会で14m競泳があるので、親は心配しているのですが、本人たちは一向に気にせず、「疲れたら学校のプ−ルは足が立つから大丈夫。」なんて言ってるので、クラクラです。

 9月9日(日)

 日本の夏祭をまねた納涼祭がありました。PTAがお金を出し合ってお店を開き、子供たちは¢25玉を持って自由に遊ぶという行事です。魚釣り、バスケットボ−ル投げ、福笑いのパナマ版、輪投げなどのゲ−ムのなかで心理と侑理はス−パ−ボ−ルすくいに夢中になって、山ほどボ−ルをすくって帰りました。$や¢の感覚に慣れてきた心理と侑理は、何だかだんだん計算が遅くなってきたようで、「100 円で75円のお菓子を買うと、お釣りはいくら?」と聞いてみると、「う〜ん、100 円て何$だっけ?」「75円っていくら?」「あ、わかった!¢25だ。」という答えにクラクラです。 

 9月15日(金)

 日本人学校全員でパナマ運河を通る日本の自衛艦『かしま』『せとゆき』を見学に行きました。船のなかで音楽演奏を聞いたり、カレーライスをごちそうになったり、お茶づけや羊かんのおみやげまでもらったりして帰ってきました。 

 9月23日(土)

 前日の夜から大雨でした。朝になっても大雨は止まず、6回目の大水になりました。1階はイスやテーブルがぷかぷか浮かんでいるし、車は屋根しか見えません。パナマ人の先生の話によると、海岸近くにビルがたくさん造られた時に捨てられたコンクリートのごみが、排水口を詰まらせているそうです。 

 9月29日(金)

 『カラバナ』というパナマにある各国の大使館がお店を出すお祭りがありました。ドイツの大使館はソーセージとジャーマンポテト、フランス大使館はフランスパン、韓国は電気製品が当たるくじ。コロンビアは麻薬、ではなく宝石や天然石、ロシアはピロシキにキャビア、と30カ国以上の大使館が特産物を並べてお店を出します。日本大使館のお店に並んだものは、ちらし寿司、桜もち、どら焼き、日本画、文房具などでした。アメリカは特産物はありませんが、金持ちらしく豪華な景品の当たるくじで人気を集めていました。ちなみに私は$2のくじで、バナナとジュース4本をもらいました。 

 9月30日(土)

 学習発表会がありました。学習発表会といっても、内容は昔の学芸会で、各学年が劇をします。心理は『おむすびころりん』のねずみ役、侑理は『ごきぶりのマルティ−ナ』(パナマ のおはなし) の女の子にふられる犬の役でした。

 しかし、問題はスペイン語劇です。2日前の公開練習を見に行ったときのことです。1〜3年生の子供たちが『白雪姫』のせりふを次々に言っているとき、心理と侑理は、りすとかえるのお面をつけてカーテンの陰から顔を出しては私に手を振っていますが、なかなかせりふの出番になりません。いつ出てくるのかな〜と思っているうちに、劇が終わって全員のあいさつになりました。さては、せりふがないのだな。と、思っていると、スペイン語の先生が、「今、出番を抜かされた人!」とたずね、「は〜い。」と手を挙げた子供が5〜6人。心理と侑理も2人そろって手を挙げています。他のお母様方から、「2人そろって、やっぱり双子ね。」なんて言われてクラクラです。家に帰って特訓!と思いましたが、私もせりふのスペイン語の意味が分からないのでどうにもなりません。結局、りす歩きとかえる跳びを練習して当日を迎えると、カーテンの陰にせりふの順番表を持った先生がいて子供たちを押し出していました。おかげで、心理と侑理はせりふを言えただけでなく、りす歩きとかえる跳びを披露して一躍スターになってしまいました。(ちょっとオーバーだね)

 2年担任の主人は、「今どき学芸会をやってる学校があるなんて。」と言っていましたが、次第に演技指導に熱が入り、当日は子供たちにメーキャップまでほどこす念の入れよう。終わった後も、ビデオを見ながら来年の構想を練っているようです。 

先日、主人の友人が送ってくれたラーメンやおかしが3か月の長旅を経てパナマに届きました。送ってくださった方に電話をしたら、あんまり連絡がないから途中で盗まれたと思っていたそうです。この手紙も日本に届くまで半月かかってしまうので、今はすっかり秋でしょうね。パナマはこれからさらに暑い夏(乾期)に向かいます。