残業攻勢の中、腹が減ったので夜食をと思ってコンビニに行ったら、「
プレジデント」の別冊「新版 出世・結婚・お金は『県民性』で 9 割決まる!」ってのを置いてたので、ネタに困っている俺はすぐに手に取り、カレーパンと一緒に買ってきた。
「プレジデントが県民性ねぇ」とは思ったが、アンケートをとったもので、数字的な根拠はあるかのように書いてある。
が、一読してやっぱり「おいおい」だった。
もう断言の連続である。
「大阪はノリが勝負」「京都は閉鎖的」くらいならよく聞く話で今更だとしても、どこだか書かないけど、床上手とかいうのは一体、何を根拠に言っているのやら、と苦笑せざるをえない。
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よく読んでみるとアンケートの母数は 2,000. ということは、一県平均 40 人。これで傾向がでるものかどうかははなはだ怪しいところである。特に、各県の人に関する「悪評」については、たまたま回答者のそばにいた人がそうだったんじゃないの? って感じのが並んでいる。
というわけなので、「コンビニにあったムック」らしく気楽によむべきだ、と気持ちを切り替える。
ご当地ビジネスとか境界線に関する記事なんかは雑学的に面白かった。大阪や愛媛には、全国の売り場から宝くじを買ってきてくれる購入代行業者があるらしい。
灯油のポリタンクの色も地域差があるらしい。関東は赤だが、赤はコストがかかるので関西では青なんだとか。昔、NIFTY-SERVE (現在の
@nifty) でちょっと話題になったことがあるのだが、そのときは傾向が出なかった。緑もあるらしいぞ。俺が持ってるのは、赤とオレンジ。
ここでは言葉の話をする。
その境界線に関する記事で、絆創膏の呼び方で出身地がわかる、という話題がある。これは有名な話だが、「夜泣きの薬」もそうらしい。
ということで調べてみたら、東では「
宇津救命丸 (うづきゅうめいがん)」、西では「
樋屋奇応丸 (ひやきおうがん)」なのだそうだ。
東に属する俺は、「樋屋奇応丸」って聞いた事がなかったが、どうやら CM ソングも有名らしい。
尤も、この違いは、単に商圏が違うってことなのではないか、という気がしないこともない。絆創膏のように一般名称化しているんだろうか。尤も、これは俺に縁のない薬だからかもしれない。そもそも、それを買おうと言う人は、絆創膏に比べたら圧倒的に少ないはずで、一般名称化する機会がない、ってことなんじゃないの、って気もする。あるいは、この二つによる寡占状態だとか。
よく知らない分野なので、「気がする」にとどめておく。
各県民の「口グセ」が紹介されている。
文脈もなんもなしなのが多いのであれなのだが、揶揄でないのを取り上げていくとすると、富山の「
なーん」。「いいえ」なのだが、場所によっては「えぇ」ということにもなるらしい。これは確かにビジネスで困るだろうな。
石川の「
気の毒な」が「ありがとう」である、というのは前にも紹介した。
岐阜で「家に持って帰ってあげなければ」は「
うちにもってあげな」と言うそうで、なんとなく意味はわかる様な気がするが、「持ってって」が「
もって」であるというだけで違和感がある、というのも不思議な感じ。
島根で「
ばんじまして (こんばんは)」が「口グセ」にされてるのはどうかと思う。
「
おえりゃせんのう」は岡山だが、この「おえん」ってなんだろうな。古語辞典まで引っ張り出したが、さっぱりわからず。「負ふ」?
香川の「
なんがでっきょんな」は面白かった。直訳すると「なにができるのですか」だが、これは「こんにちは」相当の挨拶なのだそうだ。「できるのですか」ではなく「なにをしているのですか」と解釈すればわからないことはない。
Wikipedia によれば、これに対して「別に」と答える場合、「
なんちゃでっきょらん」と言うのだそうである。
宮崎の「
いもがらぼくと」は、芋の茎で作った木刀だそうで、見掛け倒しとか役立たずという意味だそうだ。が、調べてみたら、人がいいことを言う褒め言葉でもあるらしい。
県別のページには、相性のいい県というのが書かれているのだが、秋田にとって相性のいい県は青森、岩手、山形。が、その三県にとって相性のいい県には秋田が出てこないのは笑えた。
*2
中は「(同県内の)○○地方と□□地方は仲が悪い」のオンパレードで、そういう対立を別ページにまとめてあったりする。
全体に、意地の悪い見方が多い様な気がするムックだった。
血液型はよく槍玉に挙げられる。人間をたった四つに分類しようっていうのがそもそも乱暴、ということだが、じゃ 47 だったらいいのか、っていう話。
ところが今度は、都道府県から性質はなんとなく言えるとしても、その逆は難しい、ということになる。
方言の線引きが難しいように、人間を類型化しよう、ってのが間違いなんじゃないのかね。