ア ピ ー ル
 
ユーゴにおける出来事に関する客観的な報道のために、
日本の公的な報道に携わる報道機関の皆様へ

 
 
 私達、在日ユーゴスラビア市民は日本の報道機関による客観的な報道に慣れひたしんでおりますが、ユーゴスラビアに対するNATOの攻撃に関する報道は不公平かつ歪曲的であり驚き、困惑しております。例えば下記の報道にそれをみることが出来ます。

  1. NATOによる攻撃はアルバニア系避難民に対する懸念から、という事で常に正当化されているがNATOは当初、このアルバニア系避難民保護のためにユーゴスラビアに対する攻撃を始めたわけではなかったし、攻撃開始前までは避難民は存在しなかった。今回の攻撃はフランスにおいて米国側より最後通牒として提示されたコソボ和平合意文書への調印をユーゴスラビアが拒んだためである。
  2. プリシュティナのスタジアムに十万人のアルバニア系住民を収容可能な強制収容所(ラーゲリ)がつくられたの報道。実際に記者が事実確認に行ったところ、そのような事実はなくスタジアムの警備員が驚いた。
  3. アルバニア系の指導者(複数)が銃殺の犠牲となったとの報道。しかし、生きている本人達がその後、プリシュティナ、スコピエ、チラナに現れた。
  4. アレクシーナツ、プリシュティナにおける家屋への空爆、そして列車への空爆はセルビア人が自作自演したものであるとの報道。しかし分析の結果、70名以上が犠牲となったこれらの惨事はNATOの犯罪的誤りによるものである事を彼らが認めた。
  5. プリズレン近効においてトラクターにより2列で移動中のアルバニア系避難民に対する空爆はNATOではなくセルビア側によるものであると断言された。しかしNATOは再び自らの誤りによるものであることを認めた。3月24日よりアルバニア系住民に対する「人道的援助」にあたっているNATOではあるが、既に彼らの誤爆の為に70名以上のアルバニア系住民が命を落としている。
  6. アルバニア系住民に対する強姦行為、アルバニア系住民の男性に対する死刑執行に関して、これまで一度たりともその証拠がしめされていない。コソボのある寒村の初等学校。教師が一人だけ赴任する学校である。その学校で20名の教師が子供の前で銃殺されたとの報道は誰の目にも嘘であることが明確である。
  7. コソボにおける複数の集合墓地はモンタージュ衛星写真によるものである。このうちの一つを報道陣が確認すべく訪ねたが何もみつからなかった。
 これらの事例から見えてくるのは、この戦争における最初の犠牲者はNATOのプロパガンダの媒介によりネジ曲げられた 事実 ではないでしょうか。

 しかしながら、なおも次のことが繰り返されています。

(1)NATOによるユーゴ軍にたいする誤った、でっちあげ非難。

(2)NATOの出した証拠に対してそれに真向から対立する証拠を提出して始めて、その出来事の分析、審査が本格的に開始される。

(3)自らの誤りを認める際にそれを釈明するために再び嘘をつく。

 NATOによる巧妙な情報操作が行われているとの実感は日本の情報関係の皆さんにはそれ程ないと思います。彼らは空爆という蛮行と平行して強力な宣伝戦争を進めています。よって、更に今後、ラジオ、テレビ、そして新聞を通じ、日本におけるユーゴ、セルビアの名声、そして私達ユーゴスラビア人の名声を失墜させるところのNATOの誤った非難を目の当たりにすることでしょう。

 私達、在日ユーゴスラビア市民は日本の報道関係者の皆さんにベオグラード発の情報のみを盲目的に信じて欲しいとは全く思っていません。ただ唯一お願いしたいことはベオグラード発のニュースを客観的に批評して頂きたいということです。

 最後に、ユーゴにおけるNATOの攻撃、侵略についての真実の姿を理解するという目的のために推薦できるところの幾つかのインターネット、ホームページのアドレスを御案内したいと思います。(別紙)

 私達は皆さんが、これら指摘してきた事柄をきっと理解されることと信じております。心より感謝いたします。

 
平成11年4月25日                     
在日ユーゴスラビア市民

東 京



 
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