テレマン: 無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア

(最終更新日2016/09/25) 所有26枚中 (済24/未2) (CD感想欄へ)

全集(18)
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
アッチソン Altamira Records1998全集
ビオンディ Glossa 2015 全集 バロックVn
デュボー Analekta 1993 全集
フィリッピChallenge Classics2015全集 バロックVn
グリュミオー Philips 1970 全集
ヘイドリッヒ NAXOS 2007 全集
ホムバーガー Maya Recordings1993全集 バロックVn
カラフス Intercord不明 全集
クリスティンスドティル自主制作不明全集バロックVn
レッシング Capriccio2000 全集
マンゼ Harmonia Mundi1994 全集 バロックVn
ヌニェス AVR 不明 全集
ポッジャー Channel Classics2001全集 バロックVn
サントス Gallo 1992 全集
サーナウ Gallo 1991? 全集
シェパード Meridian 1993? 全集
スケアヴェズ Athene 2013 全集 バロックVn
佐藤俊介 Live Notes2011 全集 バロックVn
 
選集(2曲以上)
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
カルミレッリ Da Camera Magna19741,3,8,10
ゴルツ Da Camera Magna19794,9,12
 
カップリング収録盤
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
ロザンド Audiofon 不明 4,12
寺神戸亮 Denon 2003 1,7 バロックVn
 
番外編
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
今井信子 Epson 2003 全集 ヴィオラ
スパノゲ Etcetera 2005 全集 チェロ
フェイスアイコンについては「フェイスアイコン」を,評価点については「演奏・録音 評価基準表」をご参照下さい。
「収録曲」はCDに収録されている曲番を示しています。

CD感想



演奏:
録音:

ルイジ・デ・フィリッピ Luigi De Filippi

レーベル Challenge Classics
収録曲 全集
録音データFuscaldo (CS) Italy - Suoneria Mediterranea Studios, 2, 3, 4 January 2015
使用楽器 End of 17th century, Venetian school violin (バロック仕様)
所有盤 CC72679 (P)(C)2015 Challenge Classics (輸入盤)

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 とても丁寧な演奏で,アクセントの抜き方,ロングトーンの音のふくらませ方など絶妙であり, 楽器の響き,音色が大変美しいです。 音楽の流れも軽快で楽しいです。 この単純な愛らしい曲の魅力を上手く引き出した秀演だと思います。

録音:

ものすごい残響。 残響の量が多く,残響時間も長い。 しかし,直接音もしっかりと捉えられており,残響の被りによる音色への影響も意外に少なく, 楽器の質感も残っています。 これだけの残響を取り入れながら音色の曇りを最小限に抑え,それなりの明瞭感を保っているのは立派です。 印象は悪くありません。 もちろん残響を肯定するわけではありませんが,これならぎりぎり許容範囲であり, 残響を取り入れるならせめてこんな風にして欲しいという例にはなると思います。 もう少し直接音と残響の比率を大きく取ってわとわりつきを抑えてくれればとは思いますが。

(記2016/02/28)



演奏:
録音:

ピーター・シェパード・スケアヴェズ Peter Sheppard Skaerved

レーベル Athene
収録曲 全集
録音データRecorded at the Church of St. John the Baptist, Aldbury, Hartfordshire, England, on 13th and 21st November 2013
使用楽器 Andrea Amati (1570) a=416 (バロック仕様)
所有盤 ath 23203 (P)(C)2015 Divine Art Ltd. (輸入盤)

バロック・ヴァイオリンによる演奏ですが,奏法的にはそれほどバロック的ではありません。 わざとかどうかはわかりませんが,リズムの崩しがたどたどしく,音楽に乗ることができません。 下手とまでは言いませんが,キレが良くなく素直に音楽を楽しむことができません。

録音:

わずかに残響感があるものの,背後にふわっと広がる程度であり, 直接音が支配的できわめて明瞭,高域の伸びも申し分なく, 楽器の質感がストレートに伝わってくる好録音です。 少しきつめに聴こえるかもしれませんが,私にはこれくらいがちょうど良いです。 録音の音のキレが抜群なだけに,演奏のキレが良くないのが残念でなりません。

P.S.

本ディスクには,“12 Fantasies for Flute, TWV40:2-13”のヴァイオリンによる演奏も収録されています(2枚組です)。 また,本ディスクのタイトルが“THE GREAT VIOLINS volume 1: Andrea Amati, 1570”ということで, かつての名器で無伴奏ヴァイオリンの作品を録音するプロジェクトの第1弾なのかもしれません。

(記2015/11/21)


CD image
演奏:3.5
録音:3.0

今井信子 (Epson 2003) (全集) (*ヴィオラ)

ヴィオラによる演奏。 解説書の曲目リストでは原曲通りの調性で表記されていますが,実際の演奏は五度低いように思います。 ヴィオラにつきまとう重いイメージが全くなく, むしろヴァイオリンによるどんな演奏よりも軽快で引き締まった演奏です。 ヴィオラであることを忘れてしまいそうですが,一方でヴィオラ特有の柔らかく,暖かく,深い音色はそのままであり(音の立ち上がり方もやっぱりヴィオラだ), この小気味よさと渋さの同居が,良くも悪くもヴァイオリンでは得られない独特の味わいを出していると思います。 音楽への真摯な姿勢がそのまま音に,表現に滲み出ており,これはこれで心惹かれるところではありますが, 私としては,もう少し肩の力を抜いて「遊び」を織り込んで欲しかった,とも思います。

録音:

ホールの響きが多めに取り入れられた残響時間の長い録音です。 比較的近接で録音されているのか,残響量の割には明瞭感が失われていないように思いますが, 残響のまとわりつきが鬱陶しく,音色も精彩を欠いており,残念ながら私の好みとはかけ離れています。 残響が気にならない方には悪い録音ではないかもしれませんが...

所有盤:

TYMK-020 (P)2005 Manufactured by SEIKO EPSON CORP., Japan. (国内盤)
録音:2003年11月24-27日 ミュージック・シアター/スイス ラ・ショウ・ド・フォン

(記2005/04/22)


演奏:
録音:

寺神戸亮 (Denon 2003) (第1番,第7番)

バロックヴァイオリンによる演奏。 緩徐楽章はしっとりと,急速楽章は軽快に,表現の幅が広く表情豊か。 あの単純な曲がこれほどまでに味わい深いものになるとは! さすが寺神戸さんです。 粘りがあるのにキレも持ち合わせている独特の音色も冴え渡っています。 全曲でないのが本当に残念! なんで2曲だけなんだー。

録音: 残響が多めに取り入れられていますが,非常に明瞭感,解像感が高く, また,音色も自然であることに驚かされます。 これはまずまずの優秀録音と言えると思います。 しかし,やっぱりこの残響がもう少し控えめだったらもっと素晴らしい録音になっただろうに! ということで,厳しく3.5点としました。

所有盤: COCQ-83734 (P)(C)2004 COLUMBIA MUSIC ENTERTAINMENT, INC. (国内盤)
「シャコンヌへの道〜無伴奏ヴァイオリン・リサイタル」
録音:2003年12月29〜31日,ドイツ,フィアゼン,フェストハレ
カップリング曲:T. バルツァー/プレリュード ト長調,「ジョン,来て,キスして」によるディヴィジョン ト長調, J.P. ヴェストホフ/無伴奏ヴァイオリンのための組曲第一番イ短調, H.I. ビーバー/パッサカリア ト短調(「ロザリオのソナタ」より), J.G. ピゼンデル/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ イ短調, J.S. バッハ/シャコンヌ ニ短調(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第二番 ニ短調 BWV1004より),ガヴォット(無伴奏チェロ組曲第六番 ニ長調 BWV1012より)

P.S. バッハの無伴奏ヴァイオリンに至るドイツの無伴奏ヴァイオリン曲の歴史を辿るという企画盤。

(記2004/07/02)


演奏:
録音:

デヴィッド・ヌニェス(David Nunez) (AVR 録音不明) (全集)

モダン仕様の楽器での演奏。 バロック音楽を演奏している,という雰囲気はほとんどありません。 大胆に,自由気ままに表現しています。 買う前からちょっと怪しいゾと思っていましたが,まずまず期待通りです。 とはいえ,大半の楽章はまあ普通の演奏の範囲内かなと思います。

しかし!第8番の第2楽章,おいおい,その音程の取り方はねーだろー, 第12番の第3楽章,カントリーじゃねーんだから...悪ノリするのもたいがいにしなさい! ってな感じでやってくれます。 笑ってしまいました。 キワモノ好きな方はどうぞ(といってもこの部分だけなんですが...)。

技術的に巧いかというと,そうでもないんですが,かといって下手でもないような... 音色にはあんまり魅力がないです。 好きかどうかは別にして,聴かせるツボはそこそこ押さえていると思います。 結構楽しませていただきました。

録音: ちょっと残響が多めでまとわりつく感じです。 残響が被っているので音色もちょっと良くありません。

所有盤: CD 2008 (P)(C)MIMII AVR Proyecto Musical C.A. (輸入盤)
Recorded at Quasar Estudios, Caracas - Venezuela

P.S. sincopaというサイトに掲載されているのを見つけて入手しました。 解説書をきちんと読んでいませんが,演奏者に関する詳しい情報がわかりませんでした。 氏名の日本語表記も全く自信なしです。 録音場所からして南米ベネズエラ出身なんでしょうか? 蛇足ですが,解説書を開くと,"David Nunez, Piano"なんて書いてありました。こんなとこでも楽しませてくれます。(訂正の紙が挟んでありましたが...)

(記2003/12/12)


演奏:
録音:

マヤ・ホムバーガー(Maya Homburger) (Maya Recordings 1993) (全集)

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 バロック・ヴァイオリンらしい軽やかな雰囲気が魅力的ですが, 一方で,バロック・ヴァイオリン特有の奏法でしょうか,アタックを抑えノンヴィブラートのまま後押しするような弾き方が, 動感を少し損なっているような気もします。 響きの多い録音環境に合わせたような楽器の響かせ方であり,これはこれで納得出来ないこともないのですが。

演奏もうまくまとまっていますし,技術的にも全く気になるところがなく, 高いレベルでバランスが取れた好演だとは思うのですが,真面目すぎると思います。 もうひと味遊び心が欲しかったなと思います。

録音: 残響量が相当多いですが,意外にも音色はそれほど失われていない印象を受けます。 響きが豊かで,ある面気持ちよいとも言えるのですが,やっぱり鬱陶しさの方が強いです。 残念ながら私の好みではありません。

所有盤: MCD 9302 (P)(C)1993 Maya Recordings (輸入盤)
Recorded: 2. 9. 1993 in the Church of St. Michael and All Angels, Great Tew, Oxfordshire.

P.S. Maya Recordingsは,演奏者自身が興したレーベルのようです。

(記2003/10/21)


演奏:
録音:

ベッティーナ・マーク・サントス(Betina Maag Santos) (Gallo 1992) (全集)

モダン仕様の楽器による演奏。 丁寧に弾こうとしているのか,美しく歌おうとしているのか,よくわかりませんが,全体に躍動感に欠け,平板に感じます。 細かい音型の切れが悪く端折って聴こえたり,スタッカートの音の処理が良くなかったり,と,技術的にも大いに不満あり!です。 残念ながらこの演奏からは,テレマンらしい楽しさが聴こえてきません。

録音: これはまるで音響実験で使用する残響室内で録音したような感じに聴こえます。 いくらなんでもこれは残響が多すぎると思います。 明瞭感も悪く,音色もまともではありません。 この録音で聴いている人に何を伝えたいのか? 大いに疑問を感じます。

所有盤: CD-718 (P)(C)1993 VDE-GALLO (輸入盤)
Fondation Pierre Gianadda, Martigny, 31 mai, 1-2 juin et 20 juillet 1992

(記2003/07/17)


演奏:
録音:

アンジェル・デュボー(Angele Dubeau) (Analekta 1993) (全集)

モダン仕様の楽器による演奏。 力強くはきはきとした演奏です。 特に個性的というわけではありませんが,モダン楽器らしい素直な表現であり,充実感もあって,何度も聴き返したくなります。

録音: やや残響感があって,ほんのわずかに音色の変化を感じますが,明瞭感,解像感が高く聴きやすい好録音です。

所有盤: FL 2 3048 Made in France by MPO (輸入盤)
Recorded in January & February, 1993 at Chapelle Historique du Bon-Pasteur, Montreal

P.S. 公式ホームページがあります。 1962年生まれ,カナダ出身。

(記2003/04/18)


演奏:
録音:

アンドリュー・マンゼ(Andrew Manze) (Harmonia Mundi 1994) (全集)

バロックヴァイオリンによる演奏。 穏やかに演奏される曲,小気味よくスピーディに演奏される曲のコントラストが強く,メリハリが効いています。 優しく演奏されているかと思うと,突如として激しく突進してきて面食らうこともあります。 かなり感情的,情緒的です。 蛇足ですが,第12曲の最終楽章で,一瞬,まるでケルティック(カントリー?)フィドルを聴いているかのように錯覚する瞬間があって, バロックでもこんな奏法をするのかと思わずニヤッとし,何度も聴き返してしまいました。

録音: 響きが多く,心地よく響く一方で,音色への影響も大きく,かなり煩わしく感じます。

所有盤: HMU 907137 (P)(C)1995 Harmonia mundi usa (輸入盤)
Recording: December 14-17, 1994, St. Martin's Church, West Woodhay, U.K.
カップリング曲:Gulliver Suite for two violins

(記2003/04/14)


演奏:
録音:

フリーデマン・サーナウ(Friedemann Sarnau) (Gallo 1991?) (全集)

モダン仕様の楽器による演奏。時折思い出したかのようにバロック的な装飾が入ります。 全体的にはオーソドックスで真面目な印象を受ける演奏で,軽快に楽しく演奏されている曲もあるのですが, ゆったりと演奏されている曲も多く,私にとっては間延びして聴こえてしまい,ちょっと残念です。

録音: 解像感はそれ程悪くないと思いますが,やや残響が多めで音色への影響が感じられ,すっきりとしない音質です。

所有盤: GALLO CD-687 (P)(C)1992 VDE-GALLO (輸入盤)

P.S. サーナウは,西ドイツ,カールスルーエ出身のヴァイオリニスト。 現在(当時),スイスのフランス語圏に在住とのこと。 1985年にジェラール・プーレ氏に会い,大きな影響を受けたとあります。 録音日時のような記載があるのですが,英語でないためよくわかりませんでした。

(記2003/04/09)


演奏:
録音:

ピーター・シェパード(Peter Sheppard) (Meridian 1993?) (全集)

モダン仕様の楽器による演奏。バロックを意識した奏法や装飾などはほとんど見られません。 全体として鋭角的な印象を受けますが,アクセントがうまく処理されており,荒くなることがありません。 冷たい音色で透明感のある響きが,聴いていて心地よいです。 曲によっては,快活に音楽が流れて欲しいのに沈滞してしまっているところもあり,ちょっと残念に思います。

録音: 残響の多い録音です。 解像感はそこそこあり,残響の質としても悪くないと思うのですが,なんせ量が多くやはり音色を損なっていると感じます。

所有盤: CDE 84266 (P)(C)1994 Meridian Records (輸入盤)
Digitally recorded in St. Edward the Confessor's Church, Mottingham, London.

P.S. 録音日時の記載がありませんが,演奏者が解説書のコメントを書いた1993年頃に録音したものと想像しています。

(記2003/04/01)


演奏:
録音:

ロバート・アッチソン(Robert Atchison) (Altamira Records 1998) (全集)

現代楽器による演奏。バロックを意識した奏法や装飾などはほとんどみられません。 全体的に比較的速めのテンポできびきびと演奏されています。 この点では好きな演奏のはずなのですが,どことなくテンポ感が肌に合わず,落ち着きなく感じてしまいます。 技術的には特に不満もないのですが,重音がやや汚く響く点がちょっと残念なところです。 録音が良くないせいかもしれません。

録音: かなり残響が多く明瞭感がかなり悪いです。 細かい音の動きがはっきり聞こえません。 残響が空間の再現に全く寄与しておらず,主音を汚しているだけという,良くない録音の典型です。 また,音色もかなり失われているように思います。 残念です。

所有盤: BE06498 (P)(C)1998 Altamira Records (輸入盤)

(記2003/02/12)


演奏:
録音:

コーリャ・レッシング(Kolja Lessing) (Capriccio 2000) (全集)

極めて緩急強弱の激しい癖の強い演奏です。 速めの弓使いの中で自由自在に操って表情を付けています。 じっくり弾くという感じはほとんどなく,フレージングが即興的,断片的で,一瞬バロック調かと思いきや,実は全く違った現代的な味を出していると思います。 聴いていて面白い(「愉快」ということではなく)のは確かですが,長く聴いているとちょっと疲れます。

録音: わずかに残響を伴っているものの,極めて解像感が高く,高域の伸び感も申し分のない透明感のある好録音です。 ほんのわずかに音色に色づけを感じますが,さほど気になるものではありません。

所有盤: 10 852 (C)2002 Delta Music GmbH (輸入盤)
Recording: Koln, WDR, Funkhanus, Klaus-von-Bismarck-Saal, 3.1., 17., 18.2.2000

(記2003/02/07)


演奏:
録音:

ハンス・カラフス(Hans Kalafusz) (Intercord 録音不明) (全集)

現代楽器による素直なアプローチの演奏です。 真正面から小細工なしでぶつかっているという感じですが,決して重々しくなく,シャープで歯切れが良くはきはきしており, 「楽しい演奏」とはちょっと違いますが,聴いていて清々しい気分になります。 重音も大変美しく決まっていて気持ちよいです。

録音: 多少の残響を伴っているものの,明瞭感,解像感ともそこそこあり,高域の伸び感もまずまず,音色も自然な好録音です。

所有盤: INT820.740 (P)1981 Intercord (C)1988 Intercord (輸入盤)

P.S. ハンス・カラフスは,ドイツ弦楽三重奏団のヴァイオリン奏者ということです。 こちらに紹介記事が掲載されていました。

(記2003/02/06)


演奏:
録音:

ピーナ・カルミレッリ(Pina Carmirelli) (Da Camera Magna 1974) (第1番,第3番,第8番,第10番)

現代楽器による素直で生真面目な演奏です。 楽曲に真正面から取り組んでいるといった感じで,カチッと決まっているところはさすがで,確かに聴き応え十分なのですが,ちょっと真面目すぎると思います。 程良く力の抜けた気楽さが欲しいところです。

録音: 基本的な傾向はゴルツの録音と同じです。 ディスク全体として音色が一貫していて確かに統一感はあるのですが... せっかくの演奏が台無しで残念です。

所有盤: DaCa 77 050 Da Camera Magna (輸入盤)

P.S. ゴルツ,カルミレッリ,合わせて1枚のディスクに収められています。

(記2003/02/04)


演奏:
録音:

コンラッド・フォン・デア・ゴルツ(Conrad von der Goltz) (Da Camera Magna 1979) (第4番,第9番,第12番)

何とも緊迫感のある演奏です。 一音一音緊張感のある弾きっぷりで「楽しい」とは全く方向性が異なっています。 まるでバッハの無伴奏ヴァイオリンを聴いているような気分になってきます。 さらに,もったいぶった重々しい弾き方が音楽の流れを阻害しており,曲調とマッチしていないようにも感じます。

録音: 響きが音色を汚している典型的な録音です。 響きが多い割に解像感がある方なので,この音色には本当に苛々させられます。

所有盤: DaCa 77 050 Da Camera Magna (輸入盤)

(記2003/02/04)


演奏:
録音:

レイチェル・ポッジャー(Rachel Podger) (Channel Classics 2001) (全集)

バロックヴァイオリンらしい緩急強弱の変化に富んだ躍動的な演奏です。 時折入る装飾音も違和感無く決まっています。 ヴィブラートを抑えた伸びやかで澄んだ音色も魅力的です。 ただ,非常に完成度の高い演奏であることは認めつつも,聴いていて今ひとつ愉快な気分にならないのはなぜか? あまりにもバロックヴァイオリンらしすぎるためかもしれません。

録音: 響きが主音に被って明らかに音色が変化しているように聴こえます。 解像感はそこそこあるように感じるのですが,高域の伸び感,透明感に乏しく,せっかくの伸びやかな音色が台無しになっているのが残念です。 確かに,録音された環境,その場の雰囲気が伝わってくる録音ではあるのですが,主音が汚れていては何にもなりません。

所有盤: CCS 18298 (C)(P)2002 Channel Classics Records (輸入盤)
Recording date: November 2001
Recording location: St. Michaels's Church, West Compton, Dorset, UK

(記2003/01/31)


演奏:
録音:

アーロン・ロザンド(Aaron Rosand) (Audiofon 録音不明) (第4番,第12番)

力強く,勢いのある演奏です。 バロックを意識しているふしはみじんもなく,思うがまま自由奔放に弾いている感じですが, これが結構はまっていてグイグイと引き込まれます。 音色も明るく伸びやかで魅力的です。

録音: わずかに残響を感じますが,近接でのかなり生々しい好録音です。 ライヴかと思うような質感です。 音色も自然で私好みの音の捉え方です。 低周波数のバックグラウンドノイズがやや大きく,また少しプチプチ音が入っていて,オーディオ的に良いとは言えないのが残念です。 バッハ/無伴奏ヴァイオリンと同じCDで録音の傾向も似ていますが, こちらの方がマスターの劣化具合はひどくないようです。 ただ,よく聞くと曲間で転写が聞こえます。

所有盤: Audiofon CD 72012 (P)(C)1983,1987 PM & J Productions, Inc. (輸入盤)
カップリング曲:Ysaye/Sonata No.2, No.6, Bach/Sonata No.1, Partita No.2

(記2003/01/27)


演奏:
録音:

アルテュール・グリュミオー(Arthur Grumiaux) (Philips 1970) (全集)

現代楽器によるオーソドックスな演奏です。 快活ですが,少々堅く,いかにも生真面目です。 もう少し楽しさがあれば良かったのですが,これはちょっと贅沢な希望かもしれません。 録音されたのがもう30年以上も前ということで,最近のバロック演奏の流れからすると, ちょっとスタイルの古さを感じてしまいますが,これは仕方ないと思います。 ちょっと甘美で粘りのあるグリュミオー独特のトーンが美しいです。 また,重音もきれいに決まって気持ちがよいです。

録音: 残響が少しあるものの,比較的近接で明瞭感のある好録音です。 高域の伸び感もそこそこあり,音色も自然です。 さすがにちょっと古さを感じさせる音質ではあります。

所有盤: PHCP-613(432 540-2) (C)1990 Philips Classics Productions (国内盤)
録音:1970年2月3-7日,スイス,ラ・ショードフォン

P.S. LP時代から,長い間同曲の唯一の国内盤であったと記憶しています。 曲の配列が曲番通りでなく,ちょっと戸惑います。トラック分割は曲毎で楽章間は分割されていません。

(記2003/01/27)