第1章造型の方法

 

1・構造篇、2・素材篇であつかって来たのは、「どうやって人形を作るか」という、要するに技術や方法の問題でした。ここで取り上げたいのは、「どんな人形を作るか、何を表したいか」という表現の問題です。
ただ、美術・造型・表現などという問題は大き過ぎるし、「人形など、好きなように作って好きなように表現すれば良い」のでもあります。
教わったり、やり方を押し付けたりするものでは、確かにありません。

ここでは、「表現の基本的な問題として、どんな事柄があるか」にだけ触れてみます。
そのあと、私自身のデザインした「5と言ったらサツマイモ」のデザインのプロセスを、参考までに載せてみましょう。

 

1、人形の造型

 

人形の造型には、四つの大きな要素があります。

・登場人物としての性格、役割、年令、性別、人種など(キャラクター)
・その演目全体を支配する様式
・舞台効果
・作者の美学

の四つ、です。

また、私達は新しい人形を創り出そうとするときに、幾つかの既製の価値に縛られます。

・現在の風俗・習慣・流行・社会状況
・日本の伝統的な美学・ヨーロッパを中心とする世界の美術史の流れ
・日常的なリアリズム・常識
・現代人形劇のスタイルと慣習

などです。

私達は、これらのパラダイムに縛られながら、少しでも新しい人形を創造して行かねばなりません。
その方法論や不断の努力は、私達一人々々が、それぞれ負うべきものです。

    

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