ビールつくりの温度管理で使っている「ホットクッション」や「ソフトアンカ」などの器具は、電源スイッチのみか、あっても強弱の切り替えがあるものがほとんどですね。
今回は自在に可変できる電圧可変器に挑戦です。
簡単な位相制御回路で部品数も少ないですが、出力電圧を35から95%で調整できる優れものです。
なお本器は100W以下しか使えません。60W位までがちょうどいいでしょう。
この工作は、電気工事士などの資格がなくとも、どなたでもチャレンジできますが、AC100Vを扱いますので感電しないようにご注意下さい。(一応私は電気工事士の免許は持っていますが)
とはいっても多少の経験のある方にお勧めですね。

作成に必要なもの・準備するもの
電子パーツ類はパーツショップやネットにて販売されています。
今回使用のものは全て100円程度のもので、特殊なものではないですね。
トライアック
SM2D41 1個
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今回のメインパーツです。双方向サイリスタともいいます。
使ったのは東芝製のSM2D41ですが、現在は廃盤となり、SM2GZ47になっています。
出力が少し大きいSM3GZ47も使用可能です。
規格:SM2D41(200V 2A) SM2GZ47(400V
2A) SM3GZ47(400V 3A)
他メーカーの場合も規格が同程度なら使用可。
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放熱板とビス
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トライアックの放熱に使います。
ワット数が少ないので4cm×1cm 厚2mmのアルミ板程度でOK
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トリガ・ダイオード
N413 1個
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今回のメインパーツその2。 NEC製のものです。
規格:ブレークオーバー電圧26〜40V 極性なし
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バリオーム
B型 200KΩ 1個
と つまみ 1個
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可変抵抗器です。大きさはなんでもOK。
抵抗値も100KΩから250KΩの間でしたらいずれも使用可能ですが、抵抗カーブは必ずB型を選んで下さい。でないと回す角度と出力電圧が正比例しません。
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コンデンサ
0.1μF 1個
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今回使用分はshizukiのポリエステルフイルムコンデンサ 耐圧630Vを使用。
他メーカーでも耐圧が250V以上でフイルムコンデンサなら使用できます。極性なし
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スイッチ(ランプ付)
1個
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今回はランプが内蔵されているものを使用しましたが、ランプがなくても構いません。
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ヒューズとケース
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各1ケ ヒューズは1Aにて ケースも忘れずに。
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ACソケット
1個
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可変させる器具を接続する為のコンセントです。
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ACコード 1m
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本器用の電源コードです。長さは必要に応じて。
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ケース
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使用するパーツの大きさで変わりますが、今回はプラスチック製の8cm 5cm 高さ3cmのものを使いました。
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その他
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配線用リード線少々。トライアック用ブラケットはあると便利(PC用パーツで代用可)
工具として、ドリル・半田ごて(20〜30W)・ニッパ・ラジオペンチなど
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1.まずは回路図
回路の説明は下記にて。実配線図もあわせて載せておきます。

双方向サイリスタ(トライアック)は電流が流れるタイミングをコントロールするパーツです。
コンデンサの両端の電圧がトリガ・ダイオードの降伏電圧を超えたときに、コンデンサが放電し、この放電電流がトライアックのトリガ電流となり電流が流れるタイミングをコントロールします。
その結果、ACソケットにつながっている機器に流れる電流の量を変えて電力制御を行なっています。
この制御は交流電流の流れる時間を制御するので、機器に流れる電流はきれいなサイン波ではないので、蛍光灯やコンデンサ使用の同期モーターなどは制御できません。
ヒーター・白熱電球やハンダごてなどの抵抗によって動作しているものや、扇風機・ドリルなどの交流直巻モーターは制御できます。
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ネオンランプ付属のスイッチを使っていますので上記の回路図になっていますが、別々のパーツの場合にはネオンランプの位置はヒューズの後の方がよろしいでしょう。
バリオームの1末端は開放していますが、100Wまでの回路ですので問題ないかと思います。
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2.使用パーツの確認
今回の電子パーツは数が少ないですが、ちゃんとチェックしましょう。
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左よりケース・トライアック・放熱板とビス・トリガダイオード・コンデンサ・バリームとつまみ・電源スイッチ・ACコンセント・ヒューズとケース。
真中より下に、配線用コード・トライアック用ブラケット・ACコードです。
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3.トライアックに放熱板を取り付けます
パーツの取付位置を決める関係上、まずトライアックに放熱板を取り付けます。
放熱板用のアルミ板の上にトライアックを置き穴位置をマークします。
ドリルで3mm程度の穴をあけ、ビスで取り付けます。
ブラケットがあればこの段階で取付ます。
4.パーツの配置とケースの加工
ケースに仮置きして各パーツの位置を決めます。
ケースの外に出るのはスイッチ・バリオームとつまみ・ACコンセント・電源ケーブルの4つです。
おおよその位置が決まったらケースの表面に印をつけて、その部分をカットします。
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バリオームはハンダ止めする端子部分を考慮して位置を決めましょう。また本体に回転を止めるための出っ張りが出ています。邪魔な場合は切り取っても構いません。セロハンテープを使っているのは、後でその上から直接クギ止めするからですがクラフトテープでもかまいません。穴は7mm程度。
電源コード用の穴は6mm程度。
スイッチやACソケットは、最近のものはネジ止めではなく差し込み固定式が多いので、サイズはきちっと測ってからカットしないとぶかぶかになるので要注意です。
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上がカット前 下がカット後です。四角をカットするには、四隅にドリル穴をあけ、やすりでカットするか、カッターをライター等であぶって溶かしていくかします。怪我をしないよう注意しましょう。
5.ケースにバリオームとACソケットを取り付けます。
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スイッチは取り付けるとハンダづけがしにくいので後で取り付けます。ACコードは通してから結んで抜けないように処理します。
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6.ヒューズまわりの配線をします
配線用リード線を必要分より少し長めに切って、ヒューズまわりのハンダ付けをします。
7.スイッチ回りのハンダ付けをします。
今回のスイッチはランプ付のため、差し込んでしまうと、ハンダ付けがしにくくなりますので、先に処理します。
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穴にリード線を通してからハンダ付けします。
トライアックはT1側をハンダ付けします。
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8.残りのハンダ付けをします。
スイッチを差込み、残りの配線をハンダ付けします。
バリオーム・ACソケット回りはショートしないように注意しましょう。
9.完成
ハンダ付けが終わったら、再度配線のチェックをします。
ヒューズボックス内にヒューズを入れることもお忘れなく。
配線をケース内に収め、ショートなどがないかチェックしてふたを閉じましょう。
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動作確認は、ACソケットに40〜60W程度の白熱電球を使っているライトを接続し、チェックします。
バリオームのつまみを左いっぱいに回し(最小レベル)、本器の電源プラグをコンセントに差込み、スイッチを入れて下さい。
ネオンランプが点きます。バリオームを右に回していくにつれ、白熱電球が明るくなっていくのが確認できればOKです。
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