これからはじめて造られる方を対象としたQ&Aです。
モルト缶(キット缶)と標準添付のビール酵母(上面発酵エールイースト)を使って、
専用発酵容器もしくはポリタンクで発酵させる局面が中心となります。
「ご質問が多かったもの」や「これはお伝えしておかねば〜」と感じている事柄を中心に順次アップしていきます。
なおQ&A全般に関してましては、基本的な内容を中心に、
器材・用具については、現在当店が販売している商品を主体に解説しています。

[はじめに]
●造ってみたいのですがなにをどうすりゃいいのでしょうか?
[原料と器材に関して]
●モルト缶の内容量が各社微妙に違うのはなにか意味があるのでしょうか...
●スプレーモルトの使い方がよくわからないのですが...
●専用発酵容器はエアーロックがないですが、破裂したりしないのでしょうか?
[イーストまわり]
●入れる寸前に、イーストを床にこぼしてしまいました。
●まだ冷めていない溶液にイーストを入れてしまいました。
●下面発酵用ラーガーイーストを使うときの注意点は?
●下面発酵用ラーガーイーストでの一次発酵終了の見極めは?
●下面発酵用ラーガーイーストを使用したら、モルト缶付属のイーストはどうすればよいのでしょうか?
●上面発酵用エイルイーストを使用したら、モルト缶付属のイーストはどうすればよいのでしょうか?
[一次発酵]
●エアロック内の水が吹き噴出しました どうしましょう
●一次発酵がいつ終わったかよくわからないのですが...
●あっという間に一次発酵が終わった感じです。もう瓶詰めできるのでしょうか?
●一次発酵中ですが、以前と比べて発酵がなかなか終わらないのですが...
●一次発酵中ですが,どうもカビが生えているようなのですが...
●一次発酵中に液温が下がってしまいました。失敗でしょうか?
[瓶詰め]
●発酵容器の底に、白っぽいどろ〜としたものがありますが、なんでしょうか?
●おりの色が黒っぽいのですが、異常なのでしょうか?
●ペットボトルに瓶詰めしたいのですが、ペットボトルならなんでもOKでしょうか?
●新しいペットボトルキャップをはめようとしたら、前のキャップリングが邪魔になるのですが...
●ラベルがはがれないのですが、どうすればいいでしょうか?
[二次発酵]
●二次発酵中ですが,ビンの底になにか白いものが沈殿しているのですが...
●二次発酵は終了したと思うのですが、泡が全然でませんが...
[熟 成]
●飲もうと思って栓を開けたら半分くらいビールが噴出すんですが...
●ちょっとすっぱいのですが...
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[番 外]
●ビール用のイーストでパンを焼いたらどうなるのでしょうか?

●造ってみたいのですがなにをどうすりゃいいのでしょうか?
まず マイビアを楽しもう!
(初めて造られる方は必見) を見ましょう。全体の感じをつかみます。
次に入門セットかお試しセットでトライしてみましょう。案ずるより生むが安しです。
瓶やペットボトルは、最初の時点では新品にて一緒にそろえた方がトラブルもなくいいですね。
発酵温度が低い季節の場合は別売の下面発酵用ラーガーイーストを使うと簡単です。
逆に発酵温度が28℃を越してしまう時期は、温度を下げる工夫をするか、作る時期をちょっとずらすかするのが無難。
発酵温度を知るには、容器を置く場所に、コップに水を入れて温度計をさしておき、翌日その温度を見ればわかります。
温度が高いと味がすっぱくなったり、オフフレイバーがつきます。
とは言っても、全てはやってみてのお楽しみです。
まずはトライしてみましょう。
●モルト缶の内容量が各社微妙に違うのはなにか意味があるのでしょうか...
麦芽糖の内容量はマントン社のコニサーズシリーズが1800g
ブルーファーム社とマントン社のプレミアムシリーズが1500g
ブラックロック社は同じシリーズ内に1500gと1700gの2種類あります。
少ないものと多いものでは300gもの差(1500gの20%)がありますね。
内容量をどの程度にして、仕込みレシピ(仕込み量や補糖など)をどうするかは
各社の判断で決められています。
各社の判断がわかりやすいのがブルーファーム社で、内容量が同じ1500gに対し
仕込み量と補糖をいろいろ変化させることで、メーカーがイメージしている品質(味・こく・香り・苦味など)を
再現できるようにしています。
(注:内容量は同じですが各銘柄で原材料の処理の違いやホップも違いますので
ある銘柄を他の仕込みレシピにしたからといって、その銘柄にはなりません。)
なお基本的には麦芽糖としてはほぼ同じ糖度ですので、同じ量の水に溶かした場合は
1800gの方が1500gよりも300g分糖度が上がります。結果度数もその分上がる計算となります。
(麦芽の加工方法により残留糖度が高い原料もありますが)
同じ価格とすれば量の多いほうがお得といえますね。
(まあ 好みの問題ですのでお好きな銘柄をお選び下さい)
●スプレーモルトの使い方がよくわからないのですが...
ホップ無添加のモルトエキスを粉末にしたもので使い方はホップ無添加モルトエキス麦芽糖と同じです。
粉末状ですので、取り扱いやすいのが特徴。
種類はライト、ミディアム、ダークの3種類あり、見た目の濃さが違います。
用途としては、スプレーモルトでの仕込み、補糖としての使い方、
プライミング用としての使い方 の3つの使い方ができます。
1.スプレーモルトでの仕込み
モルト缶100gに対しスプレーモルト約80gとなります。(スプレーモルト100gではモルト缶125gに相当)
大体3袋1500gがモルト缶一缶に相当すると考えて下さい。
スプレーモルトを使用した場合のメリットは、少量のオールモルトレシピを
使いきりの形でできることにありますね。
またホップ無添加ですので、苦味と香り付けを好みに調整できます。
お好みにもよりますが、3袋使った場合ですと 苦味用として ノーザンブルワーを15gから30g 香り用としてファグルかゴールディングを15g程度使うのが目安です。
(苦味用は30分から1時間煮込んでください。香り用は80度のお湯に数分がベスト)
溶かし方ですが、沸騰したお湯に入れて、かき混ぜながら再沸騰させて下さい。
煮込まなくてもOKです。
2.補糖としての使い方
仕込み時に砂糖を使わず、スプレーモルトを使って手軽にオールモルトレシピができます。
とりわけ、こくを落とさずに、苦味を抑えたい場合には、スプレーモルトを使う
とに簡単ですね。
補糖(加糖)としてグラニュー糖や上白糖を使い、総量を増やした場合は、無添加のレシピに比べ、こくと苦味がその分薄くなります。
砂糖の代わりにスプレーモルトを使えば、こくはそのままに苦味だけを薄めます。
味は気に入っているが、苦味が気になる銘柄にはむいていますね。
使用量は、スプレーモルト一袋500gがグラニュー糖の350gに該当します。
(グラニュー糖500gは、スプレーモルト715gとなります)
使用方法はモルト缶を投入後に必要量を入れて、溶かし込んで下さい。
3.プライミング用としての使い方
瓶詰め時、二次発酵用にグラニュー糖などの麦芽以外の糖を使って
おられる場合で、オールモルトにこだわりたい場合にお勧め。
ただ口径の大きめのロートを使いませんとロートの部分につまりますので
その点がご注意下さい。(当店のロート大が使いやすいです)
スプレーモルトを入れた場合、底の方にぼそっと落ちて溶けてしまわない
用に見えますが問題なく溶解します。
粒子が非常に細かいですので、振ってもなかなか動きませんが
ちゃんと分解されます。
使用量は砂糖と同量か、ちょっと多めが目安。(500ccあたり4g程度)
当店の3g計量スプーンで山盛り一杯がその分量になります。
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●スプレーモルトは非常に粒子が細かいですので、1−3いずれの場合も
投入直後はだまになってかたまっている用に見えますが
親水性は非常にありますので、5分程度で全体になじんできます。
●保存について
開封後の残りはジップロックなどで密閉して冷蔵庫で保存してください。
タッパーなど水分が進入しない容器では常温保存も大丈夫です。
吸湿するとベタッと固まり、品質が落ちると共に使いにくくなります。
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●専用発酵容器はエアーロックがないですが、破裂したりしないのでしょうか?
一次発酵は発酵ですので、二酸化炭素が発生します。
発生した二酸化炭素は逃がしてやらないと容器内にどんどんたまっていきますね。
そそれに使うのは「エアーロック」という器材ですが、これは中の気体は外に出しますが、外の空気は中には入らないものです。
当店の販売の専用発酵容器25Lは「エアーロック」なしでOKとありますが、この容器はじわじわと中の気体が抜けていく構造になっていますので、容器が破裂したり、ふたがぶっとんだりはしないようになっています。(15Lと20Lはエア抜き栓がついています)
イメージとしては、「シール容器(タッパー)の若干緩めのもの」
と考えていただくとわかりやすいでしょう。
通常の発酵状態では、じわじわと中の二酸化炭素(それと空気)が抜けていきます
まれに高温時の仕込み(25度位)でマイナーズスタウトのような一気に発酵する銘柄(ブラック系の銘柄)ですと、発酵初期(2−3日目)位にふたが若干浮き上がることがあります。
(虫が混入するレベルまでは上がりませんが)
その場合は、押し戻してください。
エアーロックはなかなか楽しい装置ですが、ビールつくりのレベルで考えた場合には
雑菌の進入経路のひとつともなりますので、なくてすむならそれにこしたことはない とも考えられますが、使う人の好みでもありますね。
どうしてもエアーロックを使いたい場合は、ふたに穴をあければ市販の分を取り付け
ることは可能です。(やわらかい素材です−15Lと20Lはエア抜き栓をはずすだけでOK)
エアーロックのないことのメリットは、
より衛生的で消毒するパーツも少なくてすむということですね。
●入れる寸前に、イーストを床にこぼしてしまいました。
そんなに何度もあることではないですが、その時の回避策です。
全量はともかく、少量でしたら結構心当たりがある方もおられるかも?
おそらく最初に考えるのは、
「ほうきで集めてから、吹いたら大丈夫かな?」
「でもどちらも小さく軽いし、ほこりと分けるのはむずかしそうだな」
という思いですかね。
仮にわずかな量であったとしても、こぼれたものを使うのは雑菌対策上だめですね。常温(発酵温度)の砂糖水(ワート溶液)に入れるのだということをくれぐれもお忘れなく。
もし他の銘柄のモルト缶があれば、その添付のものを使いましょう。
ブラックロックでしたら”シードル”以外はすべて同じ”エイルイースト”です。
エドメの場合は全銘柄が同じ”エイルイースト”です。
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人気のドライラーガーですが、実は標準で添付されているイーストは”エイルイースト”だったのです。発酵温度を低く保てる時期に是非本来のラーガービールを仕込んでみましょう。下面発酵ラーガーイーストを使う場合のお勧めブランドは、ラーガー・ドライラーガー・メキシカンラーガー・ピルスナ-などです
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なければ近くのお知り合いマイビア愛好家を連想しましょう。
ご近所さんでしたら、分けてもらえる可能性がありますね。
それも思い当たらなければ、ビール酵母のドライイーストがおいてある
専門食料品店などを連想してください。
それもない場合は最後の手段です。
まだ缶詰を空けていない状況でしたら当店にでも別売のイーストを注文することで切り抜けることができますが、すでにワート溶液を作り、さらに発酵容器に入れイーストを振るかける寸前の状況ですと、菌培養液の状態となっていますので、すぐに発酵処理しないと雑菌が繁殖してしまいますね。
最後の手段、パン用のドライイーストを使うこと。
家庭においてある可能性も高く、近くのスーパー・食料品店にはまず売っていますね。
「パン用を使ってできるのか?」
仕上がりの味は変わってきますが発酵はします。
全量を廃棄するのをよしとしない場合は思い切って入れましょう。
分量は小さじ2杯分(約6g)でOKです
さてさて どんなビールができるのか?
当店の実験工房の結果は以下の通りです。
同一銘柄同一総量での比較実験をしました。
銘柄は イーストインディア ペイルエイル
砂糖の追加はしていません。
初期比重は1.036(19.3℃)
片方には添付しているイースト。
もう片方は日清のスーパーカメリヤ ドライイーストを使いました。
21℃で9日間の一次発酵。
最終比重は、ビール酵母の方が、1.012(19.4℃)
パン酵母の方は1.010(19.5℃)でした。
瓶詰め後、二次発酵/熟成におよそ3週間かけ試飲。
まず色から
パン酵母の方が心持ちクリアです。
あわ立ちは両者とも同じ
味は、ビール酵母は、通常の仕上がり。
まろやかな口当たりとすらっとした味わい。若干のフルーティさ。
これに対する パン酵母は
ちょっぴりピリッとした下触り。
酵母っぽいにおいが鼻につきます。
評価としては、ビール酵母で造ったほうが飲みやすくおいしく感じました。(人によって違うかもしれませんが)
というわけでいざというときパン酵母でも一応はできます。
万一の時には思い出していただければ急場をしのげるかもしれません。
●まだ冷めていない溶液にイーストを入れてしまいました
通常はモルト缶の中身を煮沸湯で溶かしたワート溶液を冷ましてから、イーストの投入となるのですが
イーストを「生きている酵母」と認識していなければ、十分に冷めていない溶液に入れてしまうミスも結構考えられますね。
はたしてイーストは何度の温度まで耐えられるのでしょうか。
ビール造り関係の本のほとんどは、「発酵温度まで下げてから投入」という記述で具体的な耐熱温度には触れていません。
唯一「自分でビールを造る本」のP108に「たいていは49℃を超える温度でイーストは死にます。」とあります。
イーストを卵の白身のタンパク質と同等と考えた場合、その変質する温度となりますので 50℃以上で問題ありと考えるのは妥当かと思います。
さて50℃は一体どれくらいの温度なのでしょうか。
通常お風呂の温度帯は39℃から42℃程度ですので、風呂より熱い湯ですね。
個人差があると思いますが、私の場合ですと指を入れた瞬間熱いと思える温度ですが
そのまま少なくとも30秒は入れたままにできる温度です。
おそらくや、やけどを起こすちょっと手前の温度に近いかもしれませんね。
ではその処置ですが、確実に50℃以上の溶液に入れたと確信できる場合は、前述の「入れる寸前に、イーストを床にこぼしてしまいました。」を参考にして下さい。
もし投入した温度がよく判断できない場合でしたら、イーストを投与してから48時間後でもまだ発酵が始まっていなければ
死滅していると判断してよろしいかと思います。
(液の表面に耳をあててみれば、発酵している場合は、小さな泡がはじけるぷちぷち音が出ますのでそれで判断できるかと思います)
その場合は速やかにイーストを加えてやる必要がありますね。
さもないと、ワート溶液の糖分でカビ等が発生してきますのでご注意を。

●下面発酵用ラーガーイーストを使うときの注意点は?
寒い季節は、モルト缶に付属のイーストで仕込むのは、ちょっと発酵温度が心配です。
でも別売のラーガーイーストを使えばこの季節ならではの本格ラーガーが楽しめます。
モルト缶に標準添付のイーストは、ブラックロック社 エドメ社 ブルーファーム社ともにエイルビール用の上面発酵用エイルイーストです。
つまり、ラーガーモルトの銘柄の場合でも、仕込みはエイルイーストになっています。
(注:マックスのレイトホップラーガーのみラーガーイーストが標準添付)
その理由は、メーカーサイドでの理論ではありますが、誰にでもわかるような共通の作成方法と、温度管理の柔軟さからなのですが、だからこそ寒い季節に、銘柄本来の味を堪能するのは楽しいですね。
基本的なこととしては発酵温度が低いことと発酵期間がエイルイーストより長めになるということです。
下面発酵用ラーガーイースト(11.5g)の発酵温度は12℃から20℃で、ベストな温度は15度前後です。(10-14日程度の発酵)
発酵温度が高くなるにつれ、発酵日数が短くなります。
9度でも発酵しますが、その分日数がかかります。
いつ発酵が終了したのか気になる方は比重計を使うとわかりやすいでしょう。
7日目くらいから計ってみて、比重の値に変化がなくなれば、ほぼ終了時期と判断できます。
使用しない標準添付のイーストは、通常の時期の仕込みに追加するか、スプレーモルトを使っての仕込みに使われるといいですね。
熟成は低温で4-6週間かけるとベスト。(好みによりますが)
「ラーガー」とは、「発酵終了後に低温で熟成させたビール」がもともとの意味です。
(なおラーガーイーストは1仕込に一袋全量お使い下さい。)
出来上がりは、今までのエイルイーストとは味わいが全く違ってきます。
共通しているのは、非常にクリアな味 そしてクリアな色ですね。
低温仕込みですからエステル臭もほとんどなく、クリアな香りです。
「おおっ」と思わす感嘆してしまうかもしれません。
ラーガーイーストを使ってのお勧め銘柄は、ラーガー系・ピルスナー系やボック・ドラフトなどがベストマッチします。
なお「エンザイム」が添付されている銘柄(ドライラーガー・メキシカンラーガー)では、低温での発酵時はほとんど活動しません。
ですので、通常用季節に別銘柄に使われるとまた別な味が楽しめてよろしいですね。
(きりっと辛口に仕上がります。)
●下面発酵用ラーガーイーストでの一次発酵終了の見極めは?
下面発酵用ラーガーイーストもビール酵母には変わりないので
基本的なところは前記の「一次発酵がいつ終わったかよくわからないのですが...」
と考え方は同じです。
ざくっとは、仕込み日からの日数で考えましょう。
それと平均の発酵温度で変わります。
下面発酵イーストは10度から20度までOKの酵母ですが
温度が高いほど発酵日数は短くなります。
砂糖追加なしで14度発酵の場合ですと10-12日位ですね。
もし18度位で発酵させていた場合は6-7日位でもOKです。
10度前後で発酵させていた場合は14-20日程度で考えてください。
一次発酵がまだ終わっていないかのテストは前記の(裏技)を参考にしてください。
そうそう一次発酵の期間をかけすぎた場合はどうなるかと申しますと
1.おりの酵母くささがよりつく
2.産膜化などのかび状のものが生じやすくなる
これはエイルイーストでも同じです。
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比重計でチェックするのがわりと確実なのですが、銘柄や発酵率によって最終比重も変化しますので、過去のいくつかのマイデータがあったほうが判断しやすいですね。
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●下面発酵用ラーガーイーストを使用したら、モルト缶付属のイーストはどうすればよいのでしょうか?
方法は2つあります。
1.次回に追加して使用する
−−−モルト缶に標準添付されているビール酵母は5gですが、一般的に10g程度のほうが立ち上がり(発酵が本格的に始まるまでの時間)が早くなりよろしい と言われています。
立ち上がりが早ければ発酵期間も短くはなりますので、雑菌等の繁殖の面から考えてもいいですね。
では5gだったらいけないのか−といえばそうでもなく、酵母は倍倍ゲームで増えていきますので5gと10gの違いは倍というような違いではありません。
2.下面発酵用ラーガーイーストと一緒に入れる
これは下面も上面も行うという意味ではなく、エール用の酵母は低温ではほとんどあまり発酵しませんので(注)、もっぱら下面発酵用ラーガーイーストの餌となります。
これも立ち上がりに関係してきますが、いきなり糖を分解してアルコールと二酸化炭素にする工程に入る前に、まずはエールイーストを食べて活性化するという意味がありますね。ただし、20度に近い発酵温度になりますと、付属の上面発酵イーストも活動してきますので、そのあたりは注意が必要ですね。
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(注)エール用酵母の発酵が気になる場合は、酵母をわかし湯に10分程度浸けてから投入して下さい。酵母の発酵はほぼなくなります。
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さてどちらを選んで頂いてもよろしいですが、まあいろいろ試されると楽しいですよ。
あと、下面発酵用ラーガーイーストの使用上のポイント&特徴は
1.上面発酵エイルイーストの倍の時間を見込む。
(12−13℃位の温度だったら一次発酵に1ケ月程度は必要)
2.エイルイーストと比べておりの量は少ない。
3.二次発酵及び熟成もじっくり時間をかける
(最低1−2ケ月はかけたほうがよろしいですね)
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(注)ドライラーガーとメキシカンラーガーに添付されている「エンザイム」は低温時には十分に働きません。よって最終比重は、若干高めに仕上がります。
(注)上記理由により、ラーガーイースト仕込み時に、添付エンザイムは使用されないことをお勧めします。(他の銘柄のエイルイースト仕込み時で使えます)
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●上面発酵用エイルイーストを使用したら、モルト缶付属のイーストはどうすればよいのでしょうか?
下面発酵用ではなく、上面発酵用イーストの別売分を購入された場合ですね。
酵母の特性を引き出すには、下面発酵用の酵母でも同じですが、その酵母のみを使うことです。
上面発酵用のエイルイーストの場合は、活動温度帯がモルト缶添付のイーストと同じため、両方投入すると両方のイーストで発酵してしまいます。
ブラックロックに添付のイーストが悪いとは言いませんが、せっかく評判がいいDCL社のイーストを使いますのでそのクリアな特質を100%生かしていただいた方がよろしいかと思います。
(とは言っても、一緒に入れても出来上がりがまずくなるということでは、けっしてありません)
なお、入れる量は、2回分として分けて使うことも可能です。
その場合の一回分の量は、ほぼ添付されているイーストの量と同じになります。
ふところに余裕がある場合は、1仕込みに全量入れていただいてもOKです。
その場合は、下記の、添付のイーストを次回に付け足した場合と同じ形になります。
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付属のイーストは、次回添付のイーストを使って仕込みを行う時に使用するのがよろしいでしょう。
−−−モルト缶に標準添付されているビール酵母は5gですが、一般的に10g程度のほうが立ち上がり(発酵が本格的に始まるまでの時間)が早くなりよろしい と言われています。
立ち上がりが早ければ発酵期間も短くはなりますので、雑菌等の繁殖の面から考えてもいいですね。
では5gだったらいけないのか−といえばそうでもなく、酵母は倍倍ゲームで増えていきますので5gと10gの違いは倍というような違いではありません。
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●モルト缶の中身が引っ付いて残ります。なにかいい方法は?

●エアロック内の水が吹き噴出しました どうしましょう
エアロックは、一次発酵の容器に取り付け、密閉状態の中で発酵時に発生する炭酸ガス(二酸化炭素)を排出するのに使います。
発酵の途中にはエアロックから「ポコッ ポコッ」と音が聞こえなかなか楽しいものです。
(当店販売分の角丸容器には発酵栓が標準装備で、エアロックはオプションで取り付けることができます。)
使用時の状態
エアロック内の水が吹きこぼれる状況は、主発酵が非常に盛んな時に起こります。
ビアイーストのライフサイクルは、「呼吸・発酵・沈殿」の3段階に分かれますが、呼吸期と発酵期に分裂を繰り返して1ミリリットルあたりに5千万個に達するまで増殖します。
発酵の激しさは、モルト缶の銘柄や初期比重の値、イーストの活性度、発酵の温度帯によって違いがでてきます。
非常に盛んな場合ですと発酵栓のついていないふたがふっとんでしまうほど激しい場合があります。
主発酵は通常、イースト投入から1−2日後から始まり1−2日間ほど続きます。
発酵が盛んになるにつれ発酵熱でさらに液温が上昇し(2−4度程度)より発酵が激しくなります。
この発酵熱による液温の上昇時に、エアロックの中の水が吹き出たり、ふたが浮き上がってしまうことが多いです。
ワート溶液まで噴出している状態
この状態の場合には、たとえ水を入れ替えたとしてもまた同じように噴出してきますので、発酵が少し収まるまでは、水を入れない状態でエアロックを取り付けられるのがよろしいかもしれません。
(吹きこぼれた水分はよくふき取ってから、エタノール等で消毒しておいて下さい。)
発酵が少し静まったら、エアロックと取り付け部分をよく洗って消毒してから再度取り付けて下さい。
発酵が盛んな状態では、ずっと二酸化炭素が出ている状態ですから、その期間には外気の進入はほぼないと考えられます。
ただ急激に温度が下がるような環境ですと外気を吸引しますので注意しましょう。
そして次が重要なことなのですが、噴出している時の液温が25度を越えているような状況でしたら
発酵容器の上に冷凍パックなどを置き21〜22度程度になるまでじんわりと冷やして下さい。
収まりも早くなりますし、なによりもオフフレーバー等の余分な香りや雑菌の繁殖を防ぎます。
(溶液に直接氷などを入れる等の急冷は発酵にはよくないので注意下さい)

●一次発酵がいつ終わったかよくわからないのですが...
当店の造り方では、一次発酵の期間は「7〜10日間」と案内していますが、日にちに差があるのはなぜでしょうか。
一次発酵期間中に行われることは、アルコール発酵で、これは糖がアルコールと二酸化炭素に分解される工程をいいます。
発酵が終了するということは、イーストがその溶液中に分解できる糖がなくなったことを意味します。
それまでに関る要因は3つあります。
1.糖の量−−とりわけ加糖(砂糖など加えた場合)はその分時間がかかります。 2.造る銘柄−−ドライラーガーやメキシカンラーガーには糖を分解するエンザイムが添付されています。
その分他の銘柄より1−2日余分に発酵期間が必要となります。 3.発酵時の温度−−当店の説明では18℃から26℃の間で発酵となっていますが、
温度が高いほど、発酵期間は短くなります。
25〜26℃だと場合によっては4−5日で発酵が終了する場合もあります。
ただ出来上がりの味と香りから言えば高い温度より低い温度の方がいいですね。
お勧めは20−21℃です。この温度だと10日から14日間程度ですね。 ではどうやってその時期を判断すればいいでしょうか。
一次発酵の始まりは、イースト菌を添加してから10〜48時間後に発酵容器内で「ぷちぷち」と二酸化炭素が発生してきてその音で始まりがわかります。
私がビールつくりをはじめた時の本には「その音が聞こえなくなったときが発酵の終わりである」と書いてありました。
耳をすまして毎夜その音を確認した記憶があります。
ただこの音はモルト缶のメーカーや銘柄によってずいぶんと違ってきますし、そこそこ耳がよくないとこのかすかな音を聞き取るのは大変です。私なんかは最後には聴診器を買ってきてそれで聞いていたくらいですから。
そこで頼りになるのは比重計です。初期比重は水の量や加糖の量でずいぶん開きがありますが、最終比重は銘柄でほぼある一定の範囲に限られてきますので、比重の値をもとに判断するのが一番いいですね。(当店の工房の比重計データは比重計を活用しよう!
アルコール度数計算プログラム の2.初期比重でわかる銘柄別の予想度数にあります)
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(裏技)一次発酵が終了したものと考え、瓶詰めしプライミングシュガーを入れてみると、栓をする間もなく、瓶の口から泡が吹き出してくる場合があります。これはあきらかに一次発酵がまだ終了していません。この場合は、再度溶液を発酵容器に戻してもう2−3日時間をおいて下さい。
この現象を利用して一次発酵の見極めをする方法があります。ワート溶液を容器の中ほどから50cc程お玉で取り出し、細長い円筒形の容器に入れます。そこにスプーン1杯のグラニュー糖を加え細い棒などでかき回してみてください。噴出してきた場合は発酵はまだ終了していません。噴出しがない場合は発酵が終わっている確率が大です。
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●あっという間に一次発酵が終わった感じです。もう瓶詰めできるのでしょうか?
夏場近くの気温が高い季節になりますと、極端な話ですが、仕込んだ翌日にはもう発酵が終わっている
ように見えることもあります。
一次発酵期間は銘柄や補糖の量、総量やイーストの種類やその活性度によってもかなり違ってはきますが
基本的な構図をおさらいしておきましょう。
ポイント:
1.温度が高い程よく発酵する(注:発酵温度範囲内にて)
2.分解する糖の量が多いほど時間がかかる
3.イーストは活性化させると投入後すぐに活動をはじめる。
4.一次発酵は、主発酵の後に後発酵がある。
5.発酵すると発酵熱で温度が3ー4度上がる
とある夜に仕込んだとしましょう。
26度のワート溶液に事前に活性化させたイーストを投入した場合、
翌日の日中は気温と発酵熱の影響で、4−5日目位の主発酵が1−2日目で行われます。
(液温は気温と発酵熱で30度を超えている可能性が大ですね。)
スタウト系などホップの含有量が多い銘柄は容器のふちに茶褐色の泡がつきますので
盛んな発酵があったことが判別できますが、ホップの少ない銘柄や、シードルや
フランボアーズのようにホップが入っていない銘柄ではほとんど泡がつかず
気がつかないことも多々ありますのでご注意を。
(もし本当に発酵していないのであれば2−3日もすればカビてきます。
臭いも味もカビくさくなりますのですぐにわかりますよ)
翌日の夜にはもう発酵が終わったかのような状況のこともあります。
見た目ワート溶液の底から泡が上がってくるようでもなく、エアーロックも全く反応せず
シュワシュワと泡の音もしません。もう瓶詰めできるのでしょうか?
主発酵はすでに終わっていても実は、じわじわと発酵する後発酵はまだしています。
後発酵は非常に微量な量で、見ている状態で泡がでるという感じではありません。
ですので見た目での炭酸ガスの排出による一次発酵の見極めはかなり困難ですね。
(比重計で計ればある程度発酵の進行状況をつかむことができます)
これは分解しにくい糖の影響がおおきいですが、補糖など分解する量が多い場合や、
ドライラーガーなどより糖を分解するエンザイムを投入した場合もその影響がでます。
後発酵が終わっていない状態で瓶詰めした場合には、ビンにプライミングシュガーを入れたらすぐに
吹いてくるので手軽に判断できるかと思います。
(もしくは小さなコップに溶液を入れた場合にふちに小さな泡がいっぱい付くなど)
基本的には液温が高い状態での発酵時も最低5日ほどは発酵期間を見たほうがよろしいですね。
ただし液温が高いと雑菌が繁殖しやすく、また乳酸菌の活動も盛んになり
雑味や酸味が付きやすくなります。また臭いもオフフレーバーがついてきますので
できるだけ21−22度に近い温度での発酵がお勧めです。
(市販のクーラーボックスなど使えば真夏でも仕込みは可能ですね)
なお 温度が高い発酵では、状況によってはエアーロックが吹っ飛んだり
容器のふたが吹っ飛ぶことも実際ありますのでご注意下さい。
●一次発酵中ですが、以前と比べて発酵がなかなか終わらないのですが...
室温で発酵させていますと、発酵時の液温は気温に左右されます。
気温も下がってきますと一次発酵終了までの期間がどの程度が
妥当なのか判断しにくくなりますね。
一次発酵終了までの要因はどうなっているのでしょうか。
一次発酵終了までの期間で影響する要因は、
糖の量・液温・イーストの活性・増殖などがあります。
○糖の量
総仕込み量ではなく、モルトエキス・追加の糖の量により変化します。
つまり同じ一缶を使うのなら、総量が12リットルでも、17リットルでも
ほぼ同じ期間となります。
スプレーモルト等の補糖を追加した場合はその分時間がかかります。
また、エンザイムなどの糖を分解する酵素を入れていた場合
(ドライラーガーやメキシカンラーガーの銘柄が該当)は
分解する糖の種類が増えますので、使用しない場合より
2日程度余分にかかります。
○液温
ヒーターなどで暖める手段などでほぼ一定の温度を保っている環境ですと
前回のデータで判断しやすくなりますが、室温の場合は昼と夜の
気温差があるのでなかなか難しいですね。
ポイントは、夜間での液温を18前後より下げないようにすることですね。
温度が18度を下回りますと極端に発酵が遅くなります。
15度を下回りますとほとんど発酵が休止状態に近くなります。
下がっている状態はやや冬眠状態ですので、それ自体は大丈夫ですが、
発酵期間中に上がったり下がったりするのは、イーストにストレスがかかり
発酵自体がやや不安定になります。
結構手軽な夜間の対策としましては、ホームセンターなどで売っている
薄手のあんかやイス用のホットカーペット(20W位)が便利です。
液漏れ対策用にレジャーシートを上に敷き、その上に発酵容器を乗せ
放熱対策としてダンボールを被せれば、簡易温室が完成です。
雑菌やアルコール臭の対策としては、昼間の温度が24度を越さないのがベスト。
紫外線を避けるため、黒い袋など被せ、ベストな場所に置かれるとよろしいでしょ
う。
○イーストの活性・増殖
夏場での仕込みでは、翌日には盛んに泡だっていたのが、秋の仕込みでは
2日経っても発酵しているように見えないことがままありますね。
これは初期状態でのイーストの活性と増殖が関係します。
イーストを予備発酵させてから投入しますと、立ち上がりの発酵が
スムーズになります。
もちろん溶液の液温に大きく左右されます。
初期発酵で、酵母が増殖を繰り返している状態に液温が低いと、
主発酵が始まるまでの時間が長くなります。
ここでの注意は、主発酵(盛んに発酵している状態)では液温が
3度程度上昇します。
それまでの感じで保温していますと、液温が上がり過ぎる可能性が
でてきますので要注意ですね。
一次発酵終了の見分け方は、比重計でも判断できますが、比重計のケース
のような細長い筒を使って確認することもできます。
ケースに20cmほどワート溶液を入れ、上からグラニュー糖を一掴み
ふりかけます。(液温は20ー24度位がわかりやすいです)
すぐに泡だってくるようでしたら一次発酵はまだ終了していません。
少し程度のあわ立ちで、吹き出してくるようでなければ、
ほぼ発酵終了と考えていいですね。
さて一次発酵終了後に、そのままの状態で置いた場合にどうなるかですが、
理屈的には、その状態で熟成が始まるので、問題ないともいえますが
現実的には次の問題が考えられます。
発酵溶液内での液面と空気の触れる面積及び体積が、瓶詰めの状態よりも
多いので、表面にカビなどの雑菌が増える可能性が多くなります。
一次発酵終了後はなるべく早く瓶詰めしたほうがいいでしょう。
ただ2−3日レベルですとその影響はほとんどないです。
なお上記の説明は、ほとんどのモルト缶に標準添付されているエイルイーストのものです。
寒い時期には、ラーガーやピルスナーなどの銘柄は、ラーガーイーストで低温発酵させると
温度管理も手軽ですよ。
●一次発酵中ですが,どうもカビが生えているようなのですが...
ビールやワインの病気としては次のものがあります。
1.産膜化
症状:表面に白い膜ができ、ひどくなると沈殿物が生じる
対策:コーヒー用のろ紙などでこし、新しい容器に移し変える
2.酢酸敗
症状:半透明の膜を作り沈殿する。発酵容器中に酢の臭いがする。
対策:料理用として使うこともできるが、ビールとして飲むのは不向き
3.酒石酸発酵
症状:容器内が曇り、溶液が絹糸状に揺れているように見える。鼠尿臭がする
対策:捨てる以外なし
とはいっても、実際おこったら、その原因やそれそのものが何なのかなかなか判別できません。
私の経験からですと、春先の比較的寒い時期で発酵温度が20度程度、仕込み10日後位(主発酵終了後)に産膜化することが多いようでした。
銘柄ではブラウン系が比較的多かったと思いますが、淡色銘柄でもおこります。
ワート溶液をどうするかですが、まず臭いを嗅いでみましょう。
すっぱい臭いや異臭がどの程度あるかみてみます。
次に溶液の中ほどをすくってみて、味見してみます。
腐敗しているような味でしたら廃棄したほうがよろしいでしょう。
この判断には、問題ない時の味を知っていると非常にわかりやすいです。
そのためにも、発酵途中の味見を何度かされることをお薦めします。
さて原因ですが、次のことが考えられます。
発酵容器の消毒不足:前回の仕込時にもカビ等が発生するなど、続けて問題が発生するときはかなり疑わしいです。
専用発酵容器の場合は洗いやすいので本体からの雑菌の進入は少ないと思われますが、コックは要注意です。
本体からコックの閉開までの部分はワート溶液に触れますので、気をつけて下さい。
ポリタンクの場合は、取っ手の中とかキャップの回りなどの細かい部分を、仕込み前に洗浄して熱湯をかけて消毒されるといいですね。
仕込みに使う水そのものの雑菌:塩素消毒の水道といえど雑菌は0ではありません。
もし全量を殺菌させて使っていないようでしたら低温殺菌でよろしいので、総量全量を殺菌されて使われることをおすすめします。
70度を30分ほど保ってやればOKです。水道の場合は、お風呂用のお湯を高温にして使うのもいいですね。これをしますと年間を通じて品質が安定します。
一次発酵中の攪拌時:発酵途中に1−2日に一回攪拌されている方もおられるかと思います。
この場合の注意点は攪拌棒と外気の進入です。一次発酵途中は、ワート溶液表面から二酸化炭素がでています。
二酸化炭素は空気より重いのでふたを開けた程度では飛んではいきませんので外気の進入は少ないですが、風が吹いている場所で行う場合は要注意です。
二酸化炭素があるかは火のついた短いローソクを容器内に入れれば消えるので簡単に実験できますよ。
攪拌棒は事前によく洗ってアルコールスプレーなどで消毒するのが原則。素材も熱湯消毒しやすいステンレス製が優れものですね。(当店のロングスプーンなど)
さて、問題のありそうなワート溶液を瓶詰めしてよいか迷うところですが、臭いと味で判断するのが、初心者では確実ですね。疑わしい場合は思い切って廃棄してください。
表面上の異変でも、溶液中にも菌が発生していると思われます。
ただ実験用に1−2本瓶詰めされるのはお勧めです。
二次発酵&熟成後に味見されると後学の為にも役に立ちます。

●一次発酵中に液温が下がってしまいました。失敗でしょうか?
季節の変わり目の気温は結構上下することがありますね。
定温装置などを使っておられる方は別として、室内でつくっておられる方は多いでしょう。
発酵温度は一定なのが、イースト自体にストレスを与えませんので理想的なのですが、
夜中の冷え込みで、朝見たら液温が10℃を下回っていたということもあるかもしれません。
モルト缶に添付されているイーストの多くはエイルイーストですが、発酵温度の記載は18〜28℃(20〜24℃が最適)と書かれています。
18℃を下回った場合は、発酵スピードが遅くなります。
とりわけ15℃を下回りますと、ほとんど休眠状態に近くなります。
液温が低い場合は、雑菌や乳酸菌の繁殖も少ないため、数日程度の低温状態でしたらリカバリーが可能です。
少なくとも、温度が上がってしまうよりも、下がってしまった場合の方がリカバリーできますね。
まずは、消毒したスプーン等で発酵途中のワート溶液をなめてみて下さい。
雑味や強い酸味が感じられなかったらリカバリーしてみましょう。
ホットカーペットの上に発酵容器を乗せてゆっくりと温度を上げていきます。
ストーブの前など、局部的に強い温度が出る装置を使うのは、容器の変形はもとより
ワート溶液内の温度差が生じますので、使わないほうが無難でしょう。
また窓の側において太陽光で暖める場合は、上に黒い布を被せるなどして、直射日光を避けるようにして下さい。(紫外線でイーストがやられてしまいます)
さて、上げる温度は20℃程度を目安にして下さい。
くれぐれも温度を上げすぎないように何時間かおきにチェックされたほうがいいかもしれませんね。
(液温が25℃を越しますと、雑菌や乳酸菌などの繁殖を促してしまいます。)
発酵期間としては、休眠状態になっていた分は差し引いて考えて下さい。
(銘柄や状態などにもよりますが、休眠期間分は追加の発酵期間が必要ですね)
補足:
発酵が盛んにおこなわれている場合には液温は2−3℃発酵熱で上がります。
ちょっと頭の隅におかれたらよろしいでしょう。
発酵中の温度の上下をできるだけ少なくするには、ダンボール箱などを被せておくとよろしいです。それだけでもかなり違ってきます。
さらなる定温化を目指される場合は、発酵容器よりふた回り位大きな水槽に入れて
温度調整付きのヒーターで保温する手もあります。(大体2℃程度のぶれで収まります)

●発酵容器の底に、白っぽいどろ〜としたものがありますが、なんでしょうか?
瓶詰めも終りごろになりますと、なにやら白っぽいどろっとしたものがでてきます。
底に1−2cm程度沈んでいますね。
とりわけ、捕糖としてスプレーモルトを使っていた場合は、
「うまく溶けずに沈殿してしまったのだろうか?」と考えてしまいます。
実はこれは、溶液中のタンパクや発酵を終了したイースト、ホップの粕などです。
量としては発酵を終了したイーストがほとんどを占めます。
また、おりの色はスタウトなどのブラック系ですと黒っぽくなります。
「自分でビールを造る本」によりますと、一次発酵時に最大1cc中5千万個まで増殖するとのことですので、10リッターですとその数5000億個にもなりますね。
おりの味を好まれる方もおられますが、出来上がりの味がちょっと酵母くさい感じになりますので瓶詰め時には出来るだけ入れないように注意しましょう。
コックの取付位置が底面からちょっと上に取り付けられているのは、おりの混入を防ぐためです。
おりは、捨てられる場合が多いですが、パンや料理などいろいろ使えますので、タッパ-などに保存して使うと楽しいですね。冷蔵庫で保存すれば1−2ヶ月は大丈夫ですよ。

このおりは、二次発酵をビン内にて行なった場合にも沈殿します。
「二次発酵中ですが,ビンの底になにか白いものが沈殿しているのですが....」を参照下さい。

●おりの色が黒っぽいのですが、異常なのでしょうか?
前の項でおりは「白っぽい」としか表現しませんでしたが、実はおりの色は白っぽいだけではなくいろいろあります。
スタウト系の銘柄を使いますと黒っぽくなります。
木イチゴのフランボアーズでしたらピンクっぽくなりますし、赤ワインは紫っぽくなりますね。
その他黄土色や茶褐色などいろいろあります。
おりの色はもっぱら使う銘柄の色にかなり左右されます。
ですから仕込まれた銘柄に添うような色でしたら異常ではないですね。

(左から BFフランボアーズ・BMワインレッド・BRラーガー)

(左からBFフランボアーズ・ワインレッド・BFピルス・BRイーストインディアペイルエイル)
またイーストの種類でおりの質感が違ってきます。
おりを使って料理などをする場合は、その質感によって変わってきますので臨機応変に対応するのがいいですね。

●ペットボトルに瓶詰めしたいのですが、ペットボトルならなんでもOKでしょうか?
さて現在日本で生産されている飲料用のペットボトルの種類はいくつあるでしょうか?
特殊なものを除き、飲料の充填方法によって4種類に分けられます。
もし使ってはいけない容器に瓶詰めしますとおぞましいことになりますのでご注意を。さてその種類とは、
1.耐圧ボトル−炭酸飲料用
底部分が花びら形状(ぺタロイド形状といいいます)になっているのが特徴です。
口部分は本体と同じ素材で、透明です。胴部分は円柱状です。

炭酸ガスを含む飲料(コーラやビールなど)は、飲料からガスが発生しますので、密封した場合にボトルがガスにより膨れます(内圧)。
その圧力に耐えられるようになっているのがこの「耐圧ボトル」です。
口部分に切れ目が入っていて、内圧が上がりすぎた場合には抜けるように加工されているものもあります。
充填は低温充填(5度前後)です。
ちなみにコーラやビールの内圧はおよそ2気圧。
水深10mの圧力に相当しますね。
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水深10mにもぐってビールを飲んだ場合炭酸はでるでしょうか?
実際に潜って飲んでみましたが、炭酸は感じなかったですね。
これは、水圧とビールの内圧が同じだったため、泡が出なかったのですね。
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2.耐熱ボトル−高温充填飲料用
特徴は口部分が白いこと。底部分は平らな形状になっています。

果汁入り飲料や、スポーツ飲料、お茶類、コーヒー飲料などの炭酸ガスを含まない飲料に使われています。
85度前後の高温充填をするため、口部分の樹脂を結晶化することによって硬さを増し、充填時の熱による変形に耐えられるようになっています。
高温充填後に、内容物が常温に戻る時に負圧(減圧)がかかりますので、胴部分に減圧吸収の加工がしてあります。
3.耐熱圧ボトル−低温充填後殺菌飲料用
底が花びら形状で、口部分が白いのが特徴。胴部分は円柱状です。

低温充填(5度前後)後、キャップを締めた後に温水シャワーで殺菌する飲料向けです。
微炭酸の果汁入り飲料や乳性飲料に使われています。
後殺菌時の熱および内圧に耐えられるのが特徴。
ファンタなんかはこれですね。
4.非耐熱ボトル−無菌充填用
底は平らで、口部分は透明なのが特徴。
 
飲料を高温充填するのは殺菌するためですが、充填前に飲料とボトルを別々に殺菌し、無菌室内にて常温で充填後
殺菌したキャップで密閉すれば、ボトル自体には耐熱性を持たせる必要はありませんね。
ミルク入り紅茶や栄養豊富なドリンクに使われています。
具体名で恐縮ですが
、「午後の紅茶」のミルク入りなどがそうですね。
ちなみに「午後の紅茶」のストレートは 2.の口が白い耐熱ボトルを使っています。
マイビアに使えるのは1の耐圧ボトルか 3の耐熱圧ボトルです。
底の形状で見分けられますね。花びら形状ならOKですよ。
でももし間違って四角いお茶のボトルに入れてしまったらどうなるでしょうか?
中の圧力で、四角いボトルが丸くなりますね。
つかんだらそのとたんに破裂するのではないかというくらい ぷう と膨らみます。
(ただし 今までの実験では破裂までに至ったことはありませんが)
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ボトルキャップも種類はあるのでしょうか?
ありますね。ペットボトルの種類に応じて分かれます。大きく分けて3つ。
内容物からの圧力の違いによって内部のパッキン部分に違いがあります。
1.炭酸飲料用−内部の炭酸圧力を封じ込めるような構造になっています。
2.ホットパック(高温充填)用−内容物が常温に戻る時の負圧(減圧)つまり中から外に吸い込もうとする圧力を考慮した構造になっています。
3.単なるキャップ−内圧も減圧も考慮していないキャップです。パッキンがなく一体構造となっている場合が多いですね。
マイビアに使えるのは、1の炭酸飲料用ですね。もちろん当店販売分もそれ。
では口径サイズに種類はあるのでしょうか?
現在では外径28ミリでほぼ統一されています。
ただ一昔前までは38ミリのため以前のボトルが残っている場合もあります。
(38-28への移行は、口部分の材料を節約してコストを下げるためだったらしい。)
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●新しいペットボトルキャップをはめようとしたら、前のキャップリングが邪魔になるのですが...
市販のペットボトルにもそのタイプは結構多いのですが、当店販売のペットボトルに付属のキャップ及び別売のペットボトルキャップには初回キャップリングがついています。
これはキャップを開けたのかが一目でわかるように、開栓後はキャップとリングのつなぎ部分ががちぎれて、リング部分がボトルの口のところに残る仕組みになっています。
リングの取れたキャップをこのまま使いまわしする場合は、このままでも締めれます。
が、キャップリングのついたさらのキャップを使う場合は、リングがあたってうまく締めることができません。(キャップが最後まで締められない)
ですのでこの場合はボトルについているリングを取り除いてから新しいキャップをはめて下さい。
カッターはすべると危ないので、小型のニッパーで取り除くのがベストですね。

●ラベルがはがれないのですが、どうすればいいでしょうか?
ボトルよりもラベルの収集が目的の場合は、専用の粘着シールなどがありますね。
ここではボトルの再利用のための剥がし方をおさらいします。
剥がすラベルは大雑把には4種類あります。
材質の違いによる:紙のもの・紙にコーティングしてあるものか、ラミネート材そのもの
接着剤の違い:水性糊のもの・ゴム系などの粘着剤のもの
材質と接着剤の組合せの4パターンですが、材質が紙のもの、もしくは接着剤が水性糊
の場合はぬるま湯に1日(ものによっては2−3日)つければほぼはがれます。
厄介なのが、ビールビンなどのラベルのように、紙に金メッキやコーティングしてあるものです。そのためお湯につけてもなかなか浸透してゆきません。
糊も日本酒などのラベルのように簡単にはがれるものではないものが多いですね。
この場合は、ぬるま湯に3日程度つけたあと、木へらなどでラベルをこすりとってください。
洗いながらこするとうまくとれますね。
さてここで裏技の紹介
この裏技は表面にビニルコーティングしていないラベルなら何でも使えます。
まず100cc程度の灯油をコップに入れておきます。
指先を灯油コップに入れ灯油を若干量付けた後、剥がしたいラベルの上を指でなぞって
灯油を付けていきます。
1-2分後に静かに剥がしてください。きれに剥がれます。

(再剥離といえど途中でビリ〜) (指先に灯油をつけなぞる) (数分後にはとろリ)
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再剥離用紙は、通常のものより糊が弱くなっていますが、時間が経つにつれ剥がれにくくなります。このような場合には、上記を参照してください。
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●二次発酵中ですが,ビンの底になにか白いものが沈殿しているのですが....
何回か経験のある方はともかく、はじめて造った方はこう思われるでしょう。
「何か手順を間違ったのだろうか?」
「失敗したのだろうか?」
「瓶詰め時になにか入ったのだろうか?」
結論からいいますとこれはビール酵母です。
一次発酵溶液は、まだ完全におりと溶液が分離しておらず上澄み溶液中にもビール酵母が点在しています。
二次発酵&熟成期間中により分離されますので、下に酵母が沈んできます。
銘柄によっても程度の差はありますね。
酵母の種類によっても変わってきます。
別売の下面ラーガーイーストを使用した場合はおり自体の量が少ないのと発酵期間が長いのとで瓶詰め後に下に沈む酵母の量は少ないです。
エイルイースト(添付のイーストもそうです)は発酵期間が短いこともあって多少のおりは沈んできますね。
また二次発酵の炭酸用に少量の砂糖を入れますが、それによっても酵母の増殖がおこりますので多少の沈殿はあります。
(ちなみに一般で売られているものは、瓶詰め時に炭酸ガスを入れるのでそのおりはないですが-生きたビール酵母がいないとその方法しかとれないとも言えますが)
これぞ生ビールという証明でもありますね。
量的には、通常では厚さ5mm以内だと思います。
ただ瓶詰め時に下のおりを巻き込んで一緒に瓶詰めしたり、発酵タンクを振り回しするなどして白濁状態の溶液を瓶詰めしてしまった場合には数センチものおりが沈んでしまいます。
なお瓶詰め時に、二次発酵用として若干のおりを混ぜ込む方法もありますが、通常は上澄み溶液内に混在しているビール酵母で十分に発酵できます。
沈殿を一番少なくする方法としては、ダブルステージ発酵(おりびきとも言います)といって一次発酵5日目くらいに、一度別のタンクに上澄みだけ移し変える手法があります。
これをしますとより沈殿する酵母の量が少なくなります。
(多少めんどくさいですが、酵母臭の移りも減りよりクリアな仕上がりになります)
味に関しては、この味を好まれる方もおられますが、ビール自体の味として考えた場合は悪くなりますね。(酵母臭がつく)
おりの混入を少なくする方法は一度瓶を傾けたら一気に注いでしまうことですね。
500ccでコップ2−3杯程度の用意をすればいいですね。
透明度は1ケ月までどんどん上がっていきます。
ほぼ透明(クリア)になります。(白濁状態ではなくなります)
●二次発酵は終了したと思うのですが、泡が全然でませんが...
通常泡が出ない場合は2つの原因が考えられます。
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