読感06年下半期

06/7/1読了『パワーハラスメントの衝撃』
 前半は事例が紹介されているが、散漫な印象。また、表紙に「いじめ防止完全マニュアル」と
記載されていることから、客観的な分析があるものと期待したが、前半の記述は客観的とは言
い難く、どんなスタンスで読んでいいのか戸惑う。
 後半は、担当者が注意すべき事柄やヒアリングシートといった実務重視の内容となっており、
組織内での取組に参考となる。前半では、抽象的なレベルで企業にたいぶ難しい要求をして
いたが、後半は内容が具体的になっている一方で前半が要求しているレベルに達していない
ような印象である。どうも、前半と後半は違う人が書いたのではないかと疑いたくなる気もす
る。
06/8/12読了『小さな会社の労働基準法と就業規則がわかる本』
 読み終わるのに2年近くかかってます。実務書以上のことはありません。
06/8/13読了『爆笑問題の戦争論』
 なかなかチャレンジグな取組です。久しぶりに明治以降の日本の戦争を振り返りました。
06/8/13読了『ハッチとミッツの楽楽英会話』
 なかなか楽しい読み物です。わかりやすいです。
06/8/26読了『パプア・ニューギニア小紀行』
 淡々と起きた事柄が書かれています。スリや強盗への恐怖心からだと思いますが時々、黒
人蔑視の様な表現があります(例えばp.52の冒頭)。
 漢字の利用方法が一部特徴的です。以下のような点が気になります。自分が思う一般的な
用法は、→の後に書いてみました。
 ・気が勢いている(p.2)→気が急いている
 ・暢びり(p.10)→のんびり
 ・雨は一向に歇む気配をみせない(p.29)→雨は一向に止む気配をみせない
 ・視界が左右とも展け出す(p.188)→視界が左右とも開け出す
06/8/26読了『心の持ち方』
 あまり、賛同できる視点はありません。自分で自分のことを客観的に省みことは、社会生活
を営む上で必要なのではないかと考えます。
 おそらく、この本の狙いは、やや精神的にまいった人たちの救済ではないかと思います。
06/8/27読了『後藤田正晴と十二人の総理たち』
 仕事を為すということに何が必要かということを垣間見ることができます。この著者の本を読
むと、自分に喝が入ります。何ごとかを成し遂げなければという気持ちが沸々と湧いてきます。
また、自分の内側に、具体的で体系だった仕事の成果を蓄積しているのかと、省みると、薄ら
寒さを背中に感じます。自慢話が列挙されていると思うかもしれませんが、その内容の規模・
具体性・数の多さから、自分を謙虚に見つめ直すしかないと思うべきだと考えます。
06/9/1読了『森博嗣のTOOLBOX』
 毎度のことながら安定感があります。この著者の本を読むと、自分のものの見方の緩さに気
づかされます。精度が要求される仕事に、図面が必要だという視点(p.136)など、物づくりを題
材にしたエッセイです。
 「「優しい」というのは、元来、人間に向かった言葉であって、わざわざ「人に」なんてつけると
ころが胡散臭い」(p.36)
 「失敗すると、最も重要なノウハウが蓄積されるパーツ(パイロット)がもう再生できない、とい
う過酷な条件こそ飛行機の特殊性であった。」(p.146)
 「子供の僕は、「大人はなんでも知っている」と考えていたのだが、大人になってみると、「けっ
こう、なにも知らないでも生きていける」ことを知っただけだ。」(p.159)
 「合理的なり洗練されるに従って、許容範囲は狭くなる。」(p.179-180)
06/9/5読了『99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』
 冒頭から極論が続きますが、どうやら作戦のようです(そのようにあとがきに書かれていま
す)。丁寧に書いて理解しやすくしようと言う意図かとは思いますが、内容がすこしくどいような
気もします。表現方法も「下に落ちる」のようにややくどい感じがします。内容はよいですが、本
の厚さの割りに内容が乏しい気もします。論の部分が少なく例ばかりといった印象です。ちょっ
と自分の感想もくどいですが、内容はよかったです。
 「でも、よくよく考えてみると、受験会場では答えなどわからないし、社会にでてからも、たいて
いの問題の答えはだれも教えてくれないのがふつうです。」(p.251)
 「そもそも、「質問には答えがある」というのも仮説にすぎません。
  答えなどはじめからなにもない、かもしれないのです。」(p.252)
06/9/9読了『悠悠おもちゃライフ』
 少し内容が『森博嗣のTOOLBOX』と重複しているような気がします。綺麗な体裁も文章もつく
りに仕上がっています。
 「自分が楽しければ良い、というために趣味は存在するのであって、基本的に我が儘なもの
なのだ。後ろめたい気持ちがもしあるのなら、趣味以外のことでリカバしてもらいたい。」(p.4)
 「ゴミっていうのは、分別しただけで良いことをした気にさせる、そのしたたかさが嫌いだ。」
(p.21)
06/10/20読了『ツチヤ学部長の弁明』
 いつも書いてある内容が同じのようなきがしますが、名調子が続きます。
2006/10/30読了『ダール、デモクラシーを語る』
 大学時代にダールの存在をしってから、読みたいと思いつつダールの著書は後回しになって
ました。すこし、軽そうだったので読んでみましたが、様々な論点がちりばめられて、読むのに
時間がかかりました。
 論点の中で気になったのは、@政治とお金の関係A政治運営と社会の規模の関係B国際
政治における民主主義の存立の可能性CEUのような国家統合と個人の影響力の低下につ
いてD労働の流動性と安定性の価値についてE政治的平等の必要性と許容される不平等に
ついてF権力追求欲と政治的平等的装置による枠組みGフォーカスグループによる熟議な
ど、多岐にわたりますが、これを突き詰めていこうとすると大変なことになりそうです。
2006/10/31読了『絵とき コンクリート 改訂版』
 いろいろわからないこともありましたが、全体的にはわかりやすかったです。
【よく分からなかったところ】
●水セメント比と圧縮強度の数式(p.64)
●水量や空気量の決定方法(p.69)
 (p.26)
 誤:…補修
 正:…捕集
 (p.78)
 誤:…1.08/0.45=400
 正:…180/0.45=400
2006/11/1読了『美しい国へ』
 軽い読み物といった感じです。この程度の読み物は各党の党首や主要な政治はもっと出版
しても良いのではないかと思います。
 教育の再生についての議論の中では、教育機会が均等でないと高所得者層と低所得者層
が固定するといった点が指摘されていますが、自分はこの点を非常に危惧します。こうした点
をフォローする仕組みが日本にはあまりないように思います。もっと教育にお金がかからない
仕組みが必要だと思います。
2006/11/9読了『強国論』
 なかなか面白かったです。
 ・ 天才がいかにしてその天才に気がつくか→生活と大事業を企てることによる精神的緊張
(p.47)
 ・ 新に自由な発展→独立の自己感情、政治は文化の基盤によって立つ(p.54-55)
 ・ 国家の威信はその発展の度合いに制約される(p.63)
 ・ 軍隊と金によった国は早くに滅びる→その国独自の原理を確立する必要がある(p.77)、
道徳的エネルギーを開花させる(p.78)
 ・ 「真の調和は分離と純粋な展開から生まれるのである。」(p.81)
2006/11/12読了『STAR SALAD 星の玉子さま+2』
 絵本として適度な内容だと思います。絵が特によいです。
2006/11/12読了『自民党改造プロジェクト650日』
 自民党の近年取組がよくわかります。本の中でも記されていますが、地道な取組はなかなか
メディアではとりあげられません。政治改革の成果を知りたいという気持ちと同様に、その手順
がどうであったかということも有権者の関心事であろうと思います。
 カリスマ的存在による政治というものは、その人間の政治生命や寿命に依存しますが、それ
にかわるものとして制度が重要であるとの認識が示されています。「今は小泉総理の個性の下
で官邸によるリーダーシップが保てれている。これを一過性のものにしないためには、システ
ムを構築して組織として定着させる。」(p.198)
2006/12/10読了『善光寺絵詞伝』
 善光寺の由来がわかります。非常に簡易です。
2006/12/11読了『2004年〜2005年版 イラスト解説 社会保険実務がわかる本』
 実用書としてわかりやすいですが、後半は駆け足といった感じもします。
2006/12/15読了『迷ううちにクマは…ち』
 軽い読み物です。
2006/12/16読了『算法少女』
 これも軽い読み物です。ところどころ数学の話がでてきますが、数学の問題がメインになるこ
とはないので気軽に読めます。
2006/12/23読了『善光寺法話』
 数珠をどうして数えるかということは、高校で夏目漱石の「こころ」を読んだときに授業で話題
になりましたが、そのまま調べないままでした。この本の中にそれがふれられています。
 全体的に軽い読み物といった感じです。法話が一般の信者向けの話である性質上、小難し
い話はありません。
2006/12/24読了『よくわかる善光寺参り』
 気軽に読めます。それだけですが。
2006/12/24読了『簡単に断れない。』
 小気味よく笑えます。
2006/12/26読了『飛びすぎる教室』
 すこしくどいところもありますが、エッセイとして面白いと思います。

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