憲法総論
【1.憲法と立憲主義】
1.法と権力
 ●シェイエスの憲法制定権力に関して。
  ・力は法によって規律される一方で、法は力によって作られるという見解がある。
2.憲法の意味・分類・憲法規範の特質
 ●法原としての憲法典の価値
  ・法原として憲法の表現が不完全であるとの見解について
3.立憲主義と現代国家 - 法の支配
 ●法の優位
  ・1608年ジェームス1世と民訴裁判所首席裁判官クックとの対話
  ・ジェームス1世は王権神授説により自ら裁判権を行使しようとした。
  ・しかし、クックの主張により法の優位を認めざるを得なくなる。
 ●手続保障の重要性
 ●法の支配:イギリスの現代分析法理学者ラズの見解(参照:田中成明「『法の支配』の価値
をどうみるべきか」)
  ・法の支配の内容
   ⇒人間の尊厳の尊重につながる法内在的な消極的な価値であるとする。
  ・形式的なものであるが、この基本的観念から8つの原則を提示する。
    @非遡及・公共性・明瞭性
    A相対的安定性
    B特別法は公知の安定し明晰な一般的ルールによって制定される
    C司法の独立
    D自然的正義の諸原理の遵守
    E裁判所は他の諸原理の実現に関する審査権を持つべし
    F裁判所へのアクセスの容易さ
    G犯罪防止機関が法を曲げるために裁量を行使することは許されるべきではない
 ●法の支配:欧米法系の統治原理
  ・法律に対する「法」の優位。この法は立法権をも拘束する高次の法。
  ・個人の基本的人権を保障する。
  ・法の適正手続の保障。
  ・裁判所が尊重され、違憲審査権をもつ。
 ●民主主義の概念:民衆による支配と自由主義の調和
【2.日本憲法史】
 ●法律の留保
  ・行政権への統制目的
  ・人権を制限する危険性
【3.国民主権の原理】
 ●伝統的な国会主権概念:国会万能であり一切の法的制限を受けない。
 ●国民主権と国民代表
  ・国民主権は、君主主義のみならず人民主義をも否定。
  ・国民主権に対応する国民代表制は、直接民主制を否定する。
  ・国民代表制は、直製民主制が不可能なための代替物としてではなく、エリートによる主権
行使として質的に優れたものとされる。
   ★ナシオン主権:
    ブルジョアジ⇒主観的観念的存在⇒間接民主制⇒自由委任⇒制限選挙
   ★プープル主権:
    民衆⇒具体的人民⇒直接民主制⇒命令委任⇒普通選挙
 ●皇室経費
  ・憲法第8条による国会の議決(皇室の財産授受):
   ★両議院の議決は対等である。
   ★よって、この議決を衆議院の優越が認められる法律の形で行うことはできない。
   ⇒皇室と国民間の財産の授受に関する規定である。
     cf.@皇室経費は、予算に計上されるためこの議決は不要
      A皇室内部の財産の移転は対象外
      B日常的で少額の財産授受に議決は不要(参照:皇室経済法第2条)
  ・憲法第88条による国会の議決(皇室の費用):
   ★予算の形式で行われるので、衆議院の議決が優越する。
   ⇒純然たる個人資産は、この議決の対象外。
    保有財産の運用により得た収入を生活費に充てる場合も、範囲外。
【4.平和主義の原理】
 ●交戦権の意義
  ・戦争を行う権利とする説
  ・国際法上認められた交戦者の諸権利とする説
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