軸のあるドラマ



「のだめカンタービレ」は、おもしろかった。見ていると、原作の良さもしのばれる。

ヒット作のドラマ化では、穴のない配役、手際のよいアレンジが決め手だ。その両方をクリアしていた。

だらしのない高校生をやらせればピカ一の上野樹里が、そのままだらしのない音大生になっているし、千秋役の玉木宏は高飛車で自信家にぴったりだし、先行きを心配していた瑛太も居場所を見つけた。シュトレーゼマン役の竹中直人はいつもながらくさい演技で言うことなし。上野と竹中のコンビだから、「スウィングガールズ」の延長戦みたいなもの。

アレンジでは、のだめが飛ぶのは1話につき1回に制限する、シュトレーゼマンが出過ぎなどの細かい注文はあるが、おおむね良好。とくにコタツのシーンは、記憶に残る。

演奏場面で時間がとられるので、全体的にむだな話が少なくなり、ひきしまったドラマとなった。それはクラシック音楽という軸があったからだ。

「タイガー&ドラゴン」には落語という軸があり、毎回高座のシーンがあった。ここがおろそかになると、ドラマが中途半端になる。できのよかった「結婚できない男」の不満な点はそこ。主役が建築家なんだから、もっと住宅設計の話をきっちりと盛り込まないと。

そういえば、のだめはおなら体操を完成させた。体操なら私だって負けない。

07年にはドラマを卒業しようともくろんでいたのに、このドラマのおかげで遠大なる計画はついえた。あーあ。

(2007-01-12)