カーペンターズを再発見



 先日NHKの「伝説のポップス&ロック」と題した番組で、カーペンターズを取り上げていた。ラジオではよく聞いていたけど、映像で見るのは初めてだ。いくつもの新発見があった。

 初期のころのカーペンターズはなんとジャズトリオだったのだ。知らなかったなあ。そしてヒットチャートに入るようになってからも、カレンはドラムを叩きながら歌っていた。しかもデビュー曲が、あのビートルズの「涙の乗車券」(1969)。聞いてみると、ビートルズよりも当時無名のカーペンターズのほうがいいくらいだ。

 カーペンターズをメジャーに引っ張り出したのがハープ・アルバートで、途中からバート・バカラックもかんでいるそうな。売れるわけだよな。あらためて彼らの曲をまとめて聞いてみて、リチャードは天才アレンジャーだと実感した。それにカレンの声は、「聞いただけで彼女だとわかる」というほめ言葉にふさわしい。

 拒食症という当時としては聞きなれない病で亡くなったカレンだが、その直前の映像は見るのも痛々しい。自分の天分を生かしてこれだけの仕事をしていても、他人には分からない悩みを持っていたのだろうか。コミュニケーション不全症候群なんていうわかりやすい言葉もなかった時代ゆえ、深刻だったのかもしれない。

 「カーペンターズ シングルズ 1969-1973」(ポリドール)には、代表曲「イエスタデイ・ワンス・モア」、パンナムのCMソングみたいな「トップ・オブ・ザ・ワールド」、ラブソングの名曲「遥かなる影」などが収録されている。あるときは教会のコーラス、あるときはジャズっぽく、またあるときは映画音楽風にきめてくれる。英語の教科書に載るような歌詞の連続だけど、それでもやはり良いものは良い。

(1999-09-06)