真犯人はだれだ



 『だれが本を殺すのか』は、2ヶ月で5万部も売れた。本書は、そのpart2である。しかし内容は続編ではなく、佐野真一というノンフィクション作家の自己PR書となっている。

 ちょっと本が売れると、すぐに講演の依頼がくるようだ。いったいどこのどいつが呼ぶんだ?いい年をした大人が、そんなに説教されたがってどうする。ちなみに収められた講演は、女子高、老人大学、日本出版学会、図書館の学校、日本書店大学、日本図書設計家協会。

 前著の書評を集めた第2部は、読むにたえない。津野海太郎でさえ本の説明で終わっている。「ダ・ヴィンチ」に言及しているのは、永江朗と斎藤美奈子だけ。著者があまりにもけなしているので、私も手にとって見た。どこがいけないの?けっこういい雑誌じゃないか。この読者をバカにするだけの出版界じゃ、将来の見込みはない。彼らがこれからの一番のお客さんだろうに。

 「本の雑誌」があって、「ダ・ヴィンチ」があって、より専門的な雑誌の書評コーナーがあって、それで売れていくのが本というもの。田口ランディがメールマガジンで紹介した本は、bk1でよく売れるそうだ。

 「売れてますよ」という情報が、売るのに一番効果的な情報である。売れる本が、さらに売れて、ベストセラーになる。私はここが問題なのだと思う。売れないことよりも。これは日本だけの現象なのだろうか。だとすると問題なのは出版界ではなく、日本人ということになるのだけど。

 それから前著では明らかにしていなかった真犯人が判明。犯人を明らかにすることで、やっとミステリーになったのかな。
(2002-09-23)
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