趣味は読書、かな趣味は何ですか、と聞かれると困ってしまう。読書と答えるのも気がひける。だって、読書は生活習慣病なんだもの。 斎藤美奈子『趣味は読書。』では、いきなり読書する人の分類をはじめる。偏食型読者、読書原理主義者、過食型読者(もしくは読書依存症)、ビギナーである善良な読者の4区分。私は過食型読者に近いが、旅行中に本がなくても困らないので、依存症ではない。 本書は、ベストセラーを取り上げて解説するというよくあるパターンの本である。類書とちょっと違うのは、徹底しておちょくっていることである。 新書の読者はお金はないが勉強はしたい若者だろうなんて思ったら大まちがい。年齢層の下限はせいぜい40代、中心は50代、60代、70代....まあそのへんで、しかもそのほとんどが男性だという。岩波新書はいまや「じっちゃん本」なのである。どうりで永六輔『大往生』(1994)なんていうのが大売れしたはずである。人生の落ち返し地点をすぎたら、行き着く先はそりゃ「大往生」しかあるまい。こんな調子で話が進んでいく。本を開いてまっさきにチェックしたのは、大平光代『だから、あなたも生きぬいて』だ。この本が中学生向けの児童書として企画されたことを知り、おおいに納得。これで疑問がひとつ解けた。そんな裏事情も教えてくれる本である。
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