英語病



鳥飼玖美子『危うし!小学校英語』(文春新書)は、目次を見るだけで内容がわかってしまう。とくに目新しいことが書いてあるわけではないが、「異文化理解」が「異質なものへの開かれた心」を育てることだ、と言われてピンとこない人には必要な本だ。

近年、計算力の低下だとか日本語の学習があやしいと耳にする。そんな小学生に英語をやらせようなんて、どこからそんな発想が生まれるのだろう。バイリンガル信仰がはびこっているのか。

2言語を自由に操ることのできる子どもを育てたい、と親が願うのは止められない。しかし、小学校で英語を勉強すると、そうでない子よりも優れた英語使いになれるというデータがあるわけでもない。なにも自分の子どもで実験することもないと思うのだが。

ことばについてあまり考えたことがない人が、いきなり英語教育について考えても、ろくなアイデアが浮かばないだろう。まずは、金川欣二『おいしい日本語』あたりで、日本語のことから勉強してみてはいかが。

もう少し、多言語使用ということについて考えてみたい方には、多和田葉子『エクソフォニー』(岩波書店)をおすすめしたい。こちらは、日本語とドイツ語の2言語で作品を書く作家のエッセイ。

(2007-11-27)