隼別王子の叛乱



田辺聖子『隼別王子の叛乱』は、古代倭の王族のものがたりだ。全部独白でできていて、戯曲を読んでるみたい。宮崎アニメのような活劇シーンはほとんどないけど、『日出処の天子』と並ぶできばえだ。田辺聖子って、こういう作品を書いていたんだ。

ロミオとジュリエットのような純愛ものなのに、中高年の大王や大后のこころの動きまでを描きこんでいる。読んでいると、どうしても里中満智子のものたりなさを思い起こしまう。どこが違うのだろうか。

(2004-06-10)