珍説



私はずっと「国力が下り坂になると、少し遅れて文化のピークがやってくる」という珍説を唱えている。

今年は鉄腕アトムが生まれた年だとかで、「アストロボーイ」というアニメも放送されている。まずはアトムを手がかりに時代をさかのぼってみよう。

63年:アトムの放送開始、高度成長真っ盛り。
 東京ではドーナツ化現象がはじまり、江戸の良さがなくなる。
73年:オイルショック。
 このころから音楽が変わっていく。その代表が井上陽水
83年:経済が復調し、文化の停滞がはじまる。
 やがてバブルに突入し、映画、音楽、マンガ、テレビが枯渇していく。
93年:バブルの反省、「高校教師」によりトレンディ・ドラマの終焉。
03年:あいかわらず経済減速中。銀行の膿みだしがはじまる。

70年代のオイルショックにより高度成長は終わりを告げた。それと同じ時期に音楽は隆盛期を迎える。陽水、荒井由美、中島みゆきがでそろい、やがてサザンが登場する。経済が底を打ったあとの70年代半ばから80年ころが文化のピークじゃないだろうか。マンガでは24年組が名作を送り出し、テレビも「8時だョ!全員集合」(1969-85)や「オレたちひょうきん族」(1981-82)など、パワー全開だった。

不況が常態となり、ドラマの視聴率も下がり、ミリオン・ヒットも少なくなった今。そろそろ2度目のピークを迎える時期なのかもしれない。前回は音楽が先行した。今回も同じであるなら、引っ張っていくのは誰か。鬼束ちひろや沖縄出身のアーティストなのだろうか。

(2003-06-04)