病気になる前に読んでおく本がん論争で有名になった近藤誠の新刊『本音で語る!よくない治療だめな医者』は、がんだけでなく治療一般について書かれている。タイトルのつけかたはあまりうまくないけど、内容を忠実に反映している。 結論は、「痛くもかゆくもなければ、なるべく医療機関や検査に近づかないこと」という単純なものである。それを守らないとどうなるか、この本の中に詳しく書いてある。へたによい患者になると危ないという警告だ。 そしてアドバイスも具体的である。 いい救命救急センターに当たるかどうかは運任せその他にも、診察室での医師の観察法や、質問事項などについてもまとめている。とくに風邪をひいたときによく処方される抗生物質と解熱鎮痛剤の副作用について警告を発している。私も何年かぶりに医者にかかり、解熱鎮痛剤を飲んでかえってぐあいが悪くなったことがある。 抗生物質を使うと耐性菌を増やしてしまうというのは、もはや常識である。しかしアメリカのベテラン医師が若手の医師に抗生物質の使用をひかえるように助言しても、なかなか首を縦に振ってもらえず苦労しているのをテレビで見たことを思い出した。 本文は厳密に語ろうとするあまり、少しかたくるしい文章になっている。それにくらべ医療市民団体の女性たちとの対談部分は読みやすい。 がん治療についての近藤氏の主張は、以下の4点である。 1.がんの手術はしないそのうちの手術について書かれているのが、『がんは切ればなおるのか』である。これは有名人である逸見政孝氏、山川千秋氏を例にとって、がん手術の有効性に疑問を投げかけている本だ。 若い人が病気のことを考えることは少ないだろう。それでも自分のためでなく、家族や知り合いががんになったときのために、1冊ストックしておくことをおすすめする。お見舞いのときにでもプレゼントするといい。喜ばれるかどうかは保証の限りではないが。私が持っていったのは別の本だけど、本人が一番知りたかった情報だったようで、プレゼントしてよかったと思っている。
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