古代のロマンが呼んでいる歴史は好きなんだけど、テレビを見る程度ですませてきた。とくに古代史になるとトンデモ本が多くて、どうも食指が動かなかったのだ。 『古代史の謎』は、そんな歴史しりごみ人間にちょうどよい本である。邪馬台国から平安初期までの歴史を定説にとらわれずに案内してくれる。とくに聖徳太子はいなかったという説を唱える大山誠一の章はおもしろかった。マンガ『日出処の天子』のファンとしては、見落とせない。 初期大和政権の誕生の話も、今後いろんな本を読むときの道案内になりそうだ。とにかく史料が少ないだけあって、みなそれぞれに勝手なことを言ってくれるので、手引きがないと右往左往してしまいかねない。 近年、酒船石遺跡の亀形石造物や和同開珎よりも古い富本銭などの発掘があいついでいる。飛鳥って石の都だったのか、などと想像をたくましくしてしまう。考古学がさまざまな論争に決着をつけてくれることに期待したい。 うっとうしい話題の多い世の中で、古代のロマンがよりまぶしく感じられる。いつか私も珍説を唱えてみたい。
|