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ホットニュース

JT研究員、JR高槻駅構内で放射性物質ばらまき
2000/12/25掲載

赤軍派幹部・重信房子逮捕に続いて、またまた高槻市内での事故が夕刊のトップニュースに。事件発生と同時に、役所内に激震が走りました。

今回は、JT(日本たばこ)医薬研究所の研究員(40歳)が、12月20日(水)午前、JR高槻駅コンコースに放射性物質である「ヨウ素125」等をばらまいたという事件です。幸い、現段階で人体に影響は出ていませんが、JT医薬研究所所蔵の放射性物質等が容易に外部に出されるというJT側の危機管理、セキュリティ対策の欠如が明らかになりました。




事件の概要(高槻市消防本部発表)

日時 2000(H12)年12月20日(水)10時19分

場所 JR高槻駅コンコース上

内容 JT職員(医薬総合研究所職員)が、放射性同位元素である下記3種類を故意に投げつけ、破損させ放出させた。
1. ヨウカグルドン(ヨウ素125)…ガラス瓶容器 5cc減確認
2. PTH(パラサイドホルモン)1-34AMIDE(リンP32)…プラステイック容器 1cc減確認
3. RIK(リック)-Y6101…チューブ容器 1cc減確認
よって、7ccが漏れ出た可能性。容器については、約10〜20cc入り。

対応 JR職員、消防職員等で通行制限および広報に従事しつつ、JT職員による放射能測定を実施し、人体に直接異常はないことを確認し、JT職員により撤収作業。

(科学技術庁の対応)
11時48分、日本たばこ産業(株)医薬総合研究所より連絡を受け、対策チーム(リーダー:今村原子力局長)を設置して、情報収集および現場への担当者の派遣等の対応を実施。

科学技術庁より職員3名、日本原子力研究所の専門家2名、(社)日本アイトソープ協会の専門家1名を派遣し、現地にて安全確認を行うと共に、除染作業の指揮にあたり、18時58分、安全上問題がないことが確認され、立ち入り制限が解除された。

翌12月21日(木)、日本たばこ産業(株)医薬総合研究所への立ち入り調査を実施。


安全協定に基づく専門者会議報告の信憑性が問われる

JT医薬研究所が旧日本たばこ工場跡地(高槻市紫町)に開設したのは、93年9月。遺伝子組み替え実験施設でもあり、住民の反対運動もあって、高槻市はJTとの間で「組換えDNA実験等にかかる環境安全に関する協定」を締結し、第3条で「安全対策調査検討専門者会議の設置」を義務づけました。

専門者会議は、大学教授など学識経験者5名、JTから3名、高槻市から環境部環境保全課長・建設部(下水道)業務課長・消防本部予防課長から3名の計11名で構成され、年1回定例会が開催されています。

専門者会議報告では、組み換えDNA実験および病原微生物取り扱い実験の状況、保管状況、教育訓練状況、職員の検診実施と結果状況、安全管理組織体制等が報告され、「協定に基づいて適正に管理が行われ、建築面・設備面からも問題がない事が確認された」としています。

今回の事件で、JTは「研究員が無断で持ち出すことは想定外」(杉森・JT医薬研副所長)としていますが、職員の健康管理体制は施設建設時から問題になっていたことであり、結果として、専門者会議がこれらの問題も含めてチェックできていなかったことが今後問われることになります。


高槻市もJTに抗議申し入れ

なお、高槻市は、事件の翌日の21日、JTへ抗議の申し入れを行いました。以下、申し入れ書の内容です

平成12年12月21日
日本たばこ産業株式会社 
 代表取締役 本田 勝彦殿
高槻市長 奥本 務

申し入れ書

昨日、午前10時過ぎ、JR高槻駅コンコースにおいて、貴社医薬総合研究所研究員によりRI管理区域から持ち出された放射性同位元素が、ばらまかれるという事件が発生し、駅利用者をはじめとして、多くの市民を不安と混乱におとしいれた。

幸い、人命に係るような大きな被害をもたらすには至らなかったものの、一歩間違えば、大きな人的被害をも招来しかねない由々しい事態であったと考えている。また、今回はRI物質の「持ち出し、ばらまき」というものであったが、同研究所で実施されている組み換えDNA実験による組換体や取り扱われている病原体の持ち出し・ばらまき等の事態をも招来する高い蓋然性も懸念される。

ついては、係る事態を招来した貴社医薬総合研究所の管理体制、研究者をはじめとする職員の健康管理体制等の不十分さ、認識の欠如について、厳重に抗議するとともに、住民の不安を解消し、再び係る事態を招来しないよう、次のような措置を早急に講じられるよう強く申し入れる。
 

1. RI物質を始め、組換体、病原体等を厳重に保管・管理すること
2. 実験室内での実験体制のあり方を検討すること
3. 研究員をはじめとして、研究所職員のメンタルケアーを含めた健康診査、健康管理に万全を期すこと
4. 緊急時における危機管理体制ならびに関係機関への連絡体制の確立・周知を図ること
5. 今回の事態を地元住民等に、速やかにかつ十分説明するとともに、今後、市と連携を図り、適切な対応に努めること
6. 1から5について、速やかに、具体的な対応策をとりまとめ、市に提出すること

以上



(12/20読売新聞夕刊)
   駅で放射性液体まく 研究員拘束「社会に嫌気さした」    ―JR高槻―

20日午前10時頃、大阪府高槻市白梅町のJR高槻駅の二階北側コンコース改札口付近で、白衣姿の中年の男が、同駅の助役に「放射性物質をまいた」と言って近づいてきた。男は、支離滅裂な話をしながら、JTの名刺を駅員に見せたといい、同駅員が取り押さえ、高槻署に引き渡した。同署の調べでは、JT医薬総合研究所(高槻市紫町)の研究員(40)で、「社会に嫌気がさした」などと話しているが、暴れるため保護室に収容している。同署は今後、放射性障害防止法違反と威力業務妨害容疑で調べる。

微量、人体に影響なし

調べでは、研究員は放射性同位元素のヨウ素125、PTH、ヨウ化グルカゴンの三種類のラベルが貼られたビンを持っており、市消防本部が研究員が指示した現場周辺にロープを張るなどして立ち入りを禁止し、府警は万一に備え、化学捜査の特殊部隊を出動させた。気分が悪くなるなど体調の変調を訴えている人はいないという。

この研究員は、同研究所の冷蔵庫に保管されていたヨウ素125などの入った三本のビンを持ちだし、内容物計4.5ccをまいたと見られる。三本とも動物実験用で、警察からの連絡を受けた同研究所幹部が放射線測定器で調査したところ、微量のため飲んだり触ったりしなければ、人体への影響はないとしている。
 当時、同駅には約三百人の利用客がおり、同駅はハンドマイクや構内放送で「現場に近寄らないで下さい」と注意を呼びかけた。

ヨウ素125は研究や医療診断用に使われ、ベータ線と弱いガンマ線を出す。半減期は59日。放射線測定器には反応しにくいが、体内に大量にはいると、甲状腺などに集まり、機能障害や発ガンなどの恐れがある。ヨウ素剤を飲めば予防できる。ヨウ化グルカゴンはヨウ素を含む化合物で、PTHは副甲状腺ホルモン。ともに尿や血中のホルモンの有無や濃度などを調べる試薬。ヨウ素125に比べて危険性は低い。

JT本社広報部によると、医薬総合研究所は1993年9月に設立。本社医薬事業部直属の部門で、研究員380人を含む430人が勤務している。医薬品開発として循環器系、中枢神経系、免疫・炎症系、代謝性疾患の四部門の研究を進めている。放射性同位元素をまいた研究員は、85年に採用され同研究所内の生物研究所・創薬グループに所属しているという。