「高槻市総合計画２０１０」を読む |
| 高槻むくげの会 |
今年2月、高槻市は2010年までの基本方針の素案を公表しました。3月17日まで広く市民の声を聞くとしていますが、ほとんどの人は、この素案を見たことがないのでないかと思われます。
この素案を読むと今の高槻市政の目指していることがどのようなものかが分かって、大変おもしろいです。その素案の中で私たちの生活に直接関係のある具体的施策については「基本計画」に示されています。「基本計画」は「次世代に誇れる個性的で豊かな高槻を創造するプロジェクトである『リーディングプラン』」とその具体化にむけて取り組む「部門別計画」からなっています。それらを読んで気になったことを２，３取り上げてみます。
まず、むくげの会にとって一番気になるのが「在日外国人の人権問題」と「内なる国際化」の問題でありますが、この問題に触れている項目は「平和・人権の尊重」「都市交流」です。
「平和・人権の尊重」の項目では、@平和施策の推進A人権意識の高揚B同和問題の解決C個人情報保護の推進D多文化共生の社会づくりの５つが施策の方向として示されていますが、その中身は日本の人権問題の大きな課題である、障害者問題、部落問題、在日外国人問題、女性問題などをすべて網羅する内容ではなく、また、就職差別、結婚差別などの実態的差別の解消などもふれられていません。
障害者問題は福祉の部門、女性問題は「男女共同参画社会づくり」の項目で書かれてはいますが、「人権」の施策で触れられていないのは問題です。高槻市は人権問題の解決が市民の「人権意識の高揚」を期待する程度でなされると思っているのでしょうか。もう少し積極的な踏み込んだ内容の方向がほしいところです。具体的には、「人権推進条例」を制定し、人権侵害や差別事象の加害者の罰則と被害者の救済を制度化することを提案します。
また、「都市交流」の項目に高槻市の「国際交流」の方針が示されていますが、相も変わらず都市間交流がメインになっています。施策の方向では、@国際交流の推進A国際協力活動の推進B国際化への都市環境づくりC国内交流の充実の４つが示されていますが@の国際交流の推進でもBの国際化への都市環境づくりでも姉妹都市、友好都市との交流、外国語（英語）の標識や広報の発行となっていて長年住んでいる在日外国人の問題はいっさい記されていません。
高槻市は、本当にこれで「国際交流」が進むと思っているのでしょうか。自分の町に住む外国人市民との交流をせず、施策の方向も示さない、そんな冷たい市政を行う高槻が、外国から来る人々に本当に優しくなれるのか大いに疑問です。「内なる国際化施策」を「都市交流」が真剣に行うよう願います。
また、むくげの会として興味を引く項目もありました。「文化」の項目のなかに「歴史博物館の建設」があげられています。在日韓国・朝鮮人にとって歴史教育は「日本のアジア侵略、朝鮮の植民地支配」の問題を抜きにしては意味がないと考えています。当然、この歴史博物館も、この問題を真正面から取り上げると思いますが、高槻市はどう思っているでしょうか。この「文化」の項目の内容を一読したところ、日本や高槻の近代史については何も考えていないような気がします。高槻には「タチソ」という近代史を学ぶうえで貴重な戦跡があります。タチソの問題はぜひ博物館で取り上げていただきたい物です。
この素案は、高槻の将来像を示すものです。これを読むと、高槻はさらなる開発と箱物行政をすすめ、経済発展をする、と読めてしまいます。言葉では、環境や人に優しいまちづくりを目指すと言いながら、そこにはお金をかけず、公共施設の建設、工場誘致などに資金、税金を投入しようとしています。
素案に書かれている新規の公共施設、開発事業は、芝生の競技用プールや萩谷公園の野球場、体育館の建設、大学交流センター、高槻インターチェンジ周辺の産業立地、JR高槻北地区再開発、阪急高槻市駅南地区再開発、ボランティアセンター、勤労者のための総合的施設の建設，高槻城の再建、JR駅前に観光センターの設置など、財政不足を訴えている高槻市のどこにこんだけ金があるねん、というぐらい盛りだくさんです。
私たちは、もっと高槻市政に関心を持ち、市民として意見を言い、住み心地のよい町を作っていきたいものです。ただ、むくげの会としたら同じ箱物でも「タチソ公園」、「国際交流センター」を作るよう高槻市に要望していますが、このことは素案には書かれていませんでした。
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2000/07/10掲載