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石原慎太郎東京都知事の公式差別発言
2000/04/20掲載

石原慎太郎氏の陸上自衛隊練馬駐屯基地「創隊記念式典」(4/9)でのあいさつ、その後の記者会見での発言が波紋を呼んでいる。これが東京都を代表する知事の発言かと、驚くばかりです。石原氏の政治姿勢の根底に、アジア人蔑視と民族拝外主義があることをまさに象徴する出来事です。



都議会、マスコミ記者会見でも同様の発言

石原氏は、創隊記念式典だけではなく、2月29日の都議会でも「三国人」という同趣旨の発言(なぜか、議事録では「外国人」に訂正)をしていた。創隊記念式典翌日の東京都青ヶ島村視察時にも、マスコミ取材に対し「戦後の混乱の中で不法なことをする外国人を当時の新聞は三国人と報じた。俺はそのつもりで使った」と発言。

記者団からの「差別用語ではないか」との質問に対しても「差別は全くない。どこがいけないか説明して欲しい」「東京の犯罪は凶悪化しており、全部三国人、つまり不法入国して居座っている外国人じゃないか」と発言をエスカレート。


 「心して使わないようにする」事が問題の本質ではない

言葉にはその言葉が持つ歴史的背景や重みがあります。「三国人」は、戦後まもなく在日朝鮮人など旧植民地出身者を「反社会的集団」として差別的意味合いを持たせて使われたものであり、石原氏自身も同時代を生きてきた一人であるはず。「外国人」というごく普通の言葉ではなく、あえて「三国人」という言葉を使うのには悪意さえ感じられます。

まして、東京都知事という公職、政治家としての発言にはもっと責任をもって欲しいものです。私たち、市会議員でさえ、少なくとも公的な発言には責任を自覚しています。

マスコミの批判に対して知事が主催した4月11日の記者会見では、「正当な日本語を正当に使ったのに誤解されたことが遺憾」「これから三国人という言葉は心して使わないようにする」との表明があったようですが、外国人=凶悪な犯罪=災害に乗じて騒擾事件を起こすというという認識(差別的偏見と予断)こそが問題なのではないでしょうか。
石原氏はこうした文脈の中で、「三国人」という言葉を、過去の歴史的・差別的背景を持った言葉として鮮やかによみがえらせました。


石原慎太郎氏が東京都知事でいられつづける寛容さとは

日本人でも騒擾事件を起こす可能性があります。歴史的にも、世界的にも、移民労働者やマイノリテイ(少数者)が暴動の標的になるケースの方が圧倒的に多いのです。「不法入国者」だからといって、彼らがみな凶悪犯罪者であるかのように思わせたり、災害時に暴動を起こすなど根も葉もない発言を、私たちの常識では「デマ」と呼んでいます。公権力の立場にあるものが、公式な場で公的に差別扇動を行った。これが、この問題の本質と思います。

しかし、これだけの人権意識しか持ち合わせていない(正確には差別的意図を持った)人が知事の座にいられ続けるというのは、日本国民の寛容性なのか、それとも日本国民の人権意識の低さなのか。石原発言には、色んな意味で私たち自身も問われていると思うのですが。みなさんの御意見を「コミュニュケーション広場掲示板 or みんなの会議室 )」にお寄せ下さい。(2000.4.20)





石原東京都知事に抗議のメールを

石原知事に直接一言言いたいという方は、東京都のホームページから知事宛へのメールを送信できます。
ホームページアドレスは、
http://www.metro.tokyo.jp/index.htm

以下に、「記念式典での石原知事の発言内容」と「反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)の見解と要請」を紹介します。


創隊記念式典の石原知事の発言内容

本日は陸上自衛隊、そして第一師団の創設記念にお招きいただきましてありがとうございます。そして、この機会に国民、都民を代表しまして、みなさんへの大きな期待を述べさせていただきたいと思います。
(中略)
先ほど、師団長の言葉にもありましたが、この9月3日に陸海空三軍を使ってのこの東京を防衛する、災害を防止する、災害を救急する大演習をやっていただきます。
今日の東京を見ますと、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪をですね、繰り返している。もはや東京における犯罪の形は過去と違ってきた。こういう状況を見ましても、大きな災害が起きたときには大きな大きな騒擾事件すらですね、想定されるそういう現況であります。
こういうことに対処するためには、我々警察の力を持っても限りがある。ならばですね、そういうときにみなさんに出動願って、災害の救急だけではなしに、やはり治安の維持もひとつ皆さんの大きな目的として遂行していただきたいという事を期待しております。
(中略)
そこでやはり国家の軍隊、国家にとっての軍隊の意義というものを、価値というものを皆さんは何としても中核の第一師団として、国民に都民にしっかりと示していただきたいということをここで改めてお願いし、期待して本日の祝辞と皆さんに対するお礼と期待の言葉にさせていただきます。                 (4/13産経新聞)  



石原慎太郎・東京都知事の発言に対する
反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)の見解と要請

2000年4月13日
反差別国際運動日本委員会
理事長  武者小路公秀


反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)は、世界からの一切の差別撤廃をめざし活動を続ける国連NGOである反差別国際運動(IMADL)の日本における活動の拠点として1990年に設立されて以降、部落差別、アイヌ民族差別、在日・滞日外国人差別、障害者差別、女性差別などの問題に取り組む多くの人々と協働活動を展開してきています。

さて、石原慎太郎東京都知事は、去る4月9日、陸上自衛隊練馬駐屯地の創隊記念日での挨拶の中で「三国人、外国人の凶悪な犯罪が繰り返されており、震災が起きたら騒擾も予想される。警察だけでは限界があるので、災害だけでなく治安の維持もみなさんの目的として遂行してもらいたい」との訴えを行いました。又、同知事は12日、都庁内で行った記者会見の席上においても、あくまで差別したつもりはないと強調しています。

今回の石原都知事の発言の第一の問題点は、戦後在日朝鮮人や在日台湾人に対する差別的ニュアンスを含んだ表現として歴史的に使用されてきた「三国人」という表現を使用することによって、歴史的な反省をしていないだけでなく、現在の在日外国人に対する差別意識を煽っている点です。日本の植民地支配を受けてきた人々に対する差別を表す「三国人」という言葉の持つ問題点と占領時代以来の歴史的背景を無視した発言であり、又、関東大震災の際に在日朝鮮人の虐殺を引き起こした同じ東京という地の知事が全く同じ状態を引き起こしかねないものがあります。

第二の決定的な問題点は、在日外国人があたかも「凶悪な犯罪を繰り返している集団」、「震災が起きたら騒動も予想される集団」と決めつけていること、しかも「警察だけでは限界があって、自衛隊の出動まで必要となるほどの凶悪な集団」であるとの余りにも一方的な決めつけを行い、都民を始め、多くの人々に差別意識を煽り立てている点です。

これらの問題点をはらむ、石原都知事の公人としての発言は、日本が1979年6月に批准した「市民的および政治的権利に関する国際規約(国際人権自由規約)」の第20条2項「差別、敵意、又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する」という規定に反します。
又、日本が1995年12月に加入した「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)」の第2条(a)項の「各締約国は、個人、集団又は団体に対する人種差別の行為又は慣行に従事しない事ならびに国および地方のすべての公の当局及び機関がこの義務に従って行動するよう確保する事を約束する」との規定、並びに第4条(C)項の「国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し扇動することを認めないこと」との規定にも明らかに違反しています。

さらに、今回の石原都知事の発言は、東京都が都民とともに進めている他文化共生社会の実現に向けた地域国際化の推進や地球市民を育成するための国際理解教育の推進をめざし、国際交流及び在住外国人支援を活動目的とする取り組みにも逆行しています。
よって私たちは、石原東京都知事の今回の差別発言に対して強く抗議すると共に、以下のことを要請いたします。

1.今回の差別発言について深く反省し、不安と不快感を与えた在日外国人に対し、心からの謝罪をすること。
2.このような差別発言が再び繰り返されることのないよう、国際人権規約や人種差別撤廃条約など国際的な人権基準に関する教育・啓発等を都庁内に置いて、知事を先頭に実施すること。

以上