「はい、トレオさん、3回戦勝ち抜きーーーっ!!」 

 

審判こと武器屋のオヤジの勝ち名乗りを受け、 

闘技トーナメント予選・第4回戦進出を勝ち取った・・・ 

ぜんぜん嬉しくない・・・公園へ行こう。 

 

それにしてもこの鎧、 

思った以上に重たい・・・ 

武器屋の庭で3回戦ったことよりも、 

武器屋から公園へ移動する方が疲れる、 

程なくして俺は公園についた。 

 

 

「トレオさん、7回戦勝ち抜きーーーーー!!」 

 

審判こと町長のオヤジの勝ち名乗りを受け、 

今度は8回戦に参加するべく、ようやく闘技場に向かった、 

西闘技場か・・・急ごう、試合まであと15分しかない。 

 

 

「勝者トレオ、11回戦勝ち抜きーーーーーーーー!!!」 

 

ぜぇ、ぜぇ、疲れた・・・ 

さすがに8回戦から敵は強くなってきたが、 

何より鎧が重い・・・もうバテバテだ、 

朝食を何とか食べてくるべきだった、昼食も食べる暇がない・・・ 

参加者が多い分、次々と闘いをしなければならない、休む暇がまったくない・・・

 

「おめでとうございます、12回戦からは東闘技場になります」 

「え、え、えーーーーー!?」 

「お急ぎください、もうすぐ試合が・・・」 

 

み、水・・・ 

兜の隙間からぶっかけるように水を注ぎ飲む、 

気合いを入れて立ち上がり、次の戦場へと向かう・・・ 

あの厳しかった大戦を思い出し、体が奮い立つ、 

そうだ、この苦しみに勝ち抜いてこそ、ハプニカ様が手に入るのだ! 

 

 

「予選トーナメント決勝戦、ニュモニー対トレオ、はじめ!」 

 

ぜぇ、ぜぇ、し、死ぬ・・・でも、これが今日最後だ、 

残りの力を全部使って・・・くそー対戦相手め、体力有り余ってるじゃねーか、 

そっちは12回戦からだろうが、こっちは地の底から這い上がってきたんだ! 

うっ、やばいっ、くそっ、こんなやつ、普通だったら2秒で倒せるのに・・・ 

ぐはっ、うおっ、お、お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!! 

 

「勝者、トレオ!決勝トーナメント進出!!」 

 

星空と満員の歓声に囲まれ俺の重い右腕が上げられる、 

やった、ようやく明日につながった・・・ 

へとへとだ、もう1歩も歩きたくない・・・ 

ん?バニーガールが近づいてきた、何だろう、 

ご褒美にキスでもしてくれるのかな? 

 

「おめでとーございまーーーっす、 

控え室の方のお食事とお風呂が用意してありまーーーっす!」 

 

こ、これは今の俺にはキスの何万倍も嬉しいぞ! 

動けない体を気力で動かし、控え室へ入る・・・ 

 

ガシャン、ガチャ、ガチャ・・・ 

 

重装備の鎧を脱ぎ捨て、 

たくさん用意された食事をかっこむ、うまい! 

これほどうまい飯・・・普通の飯だが昨夜食べたお城の豪華ディナーよりうまい!

あっという間に全てたいらげてしまった・・・ごはんの釜も丸ごとペロリだ、 

次は風呂!風呂にはいろう!! 

 

ザパーーーーーッ・・・・・ 

 

ふぅーーーーーーーっ・・・ 

ぎ、ぎもぢいいいいいーーーーーっ・・・ 

「気持ちいい」ではなく「ぎもぢいいいいいーーーーーっ」である、 

これもせまい風呂だが昨夜入った超豪華なお風呂よりも、 

ずっとずっとずっと気持ちがいい・・・・・ 

 

お風呂から出て控え室に戻ると、 

バニーさんが1枚の紙を持ってきてくれた。 

 

「これ、明日配られますー、組み合わせが決まりましたぁー」 

 

トーナメント表に目を通す。 

 


第79回国王杯全ダルトギア闘技選手権

本日決勝トーナメント開催!

【全試合日程】

1回戦AM8:00
2回戦AM11:00
3回戦PM1:00
4回戦PM3:00
準々決勝PM4:00
準決勝PM5:00
決勝PM7:00

第79回国王杯本選組み合わせ

・日程                  1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 準々  準決   決勝  準決  準々 4回戦 3回戦 2回戦 1回戦
                    08:00 11:00 13:00 15:00 16:00 17:00 19:00 17:00 16:00 15:00 13:00 11:00 08:00

       ジュビライ  ─────────┐                     ┌───────── エスパス  
                      │                     │
       ジュテーン   ───┐    中央├──┐               ┌──┤東2   ┌─── ダルメン
                北1先├──┐   │   │                        │  │   ┌──┤南2先
       セダイ    ───┘   │   │   │                        │  │   │   └─── ゴクジ
                      東4├──┘   │                        │  └──┤北3
       トチ     ───┐  │        │                        │        │   ┌─── ゼンジュウ
              南4├──┘   西1 ├──┐              ┌──┤南2    └──┤西1後
        ジュビライjr ───┘             │   │              │   │             └─── ヤマシー
                                     │   │              │   │
       ベルマリー  ─────────┐  │   │              │   │   ┌───────── サンガイ  
                    │  │   │              │   │   │        
       バーニー    ───┐    南4├──┘   │              │   └──┤西2   ┌─── シャムジ
               東1先├──┐   │        │              │        │   ┌──┤北3先
       ダーマ    ───┘   │   │        │              │        │   │   └─── トリニダ   
                       西4├──┘        │              │        └──┤東2
       パッシ        ───┐   │             │              │             │   ┌─── カムバ  
                  北5├──┘        南1├──┐    ┌──┤中央         └──┤南1後
       ヘノヘ     ───┘                  │   │    │   │                  └─── アローマックス 
                                          │   │    │   │ 
       アントン   ─────────┐        │   │    │   │        ┌───────── アピ 
                              │        │   │    │   │       │ 
       リョフガイバー───┐    北4├──┐   │   │    │   │   ┌──┤南2    ┌─── ハンナン
                西1北├──┐   │   │   │   │    │   │   │   │   ┌──┤東3先
       サガンド      ───┘   │   │   │   │   │    │   │   │   │   │   └─── ドーレ
                        南3├──┘   │   │   │    │   │   │   └──┤西2
       ラグ     ───┐   │        │   │   │    │   │   │        │   ┌─── マインス 
                  東5├──┘    東1├──┘   │    │   └──┤東2    └──┤北2後
       ジャトロ   ───┘             │        │    │       │             └─── ミジュマ
                                     │        │    │        │
       グラパ    ─────────┐  │        │    │        │   ┌───────── フレシュ
                                │   │        │    │        │   │
       マバーシ    ───┐    東4├──┘        │    │        └──┤北1   ┌─── ナコー 
              中央後├──┐   │             │    │             │   ┌──┤西3先
       インチャス   ───┘   │   │             │    │             │   │   └─── ギケーン  
                       北4├──┘             │    │             └──┤南1
       トニーテン  ───┐   │                  │ │ │                  │   ┌─── シュン
                  南5├──┘              中央├─┴─┤西1              └──┤東2後
       ワッテ      ───┘                       │ 中 │                      └─── サンジュ 
                                               │ 央 │  
       セレッツ    ─────────┐             │    │             ┌───────── F・マリー   
                                │             │    │             │
       マルカ    ───┐    東3├──┐        │    │        ┌──┤西3   ┌─── オンダロック 
               南1先├──┐   │   │        │    │        │   │   ┌──┤南3
       ヴォルテス  ───┘   │   │   │        │    │        │   │   │   └─── カニパン
                      中央├──┘   │        │    │       │   └──┤北2
       ハツミー   ───┐   │        │        │    │        │        │   ┌─── ホーリー  
                  西5├──┘    南1├──┐  │    │   ┌──┤北1    └──┤西2後
       キト       ───┘             │   │   │    │   │   │             └─── D・T
                                     │   │   │    │   │   │
       ヴィッセーラ ─────────┐  │   │   │    │   │   │   ┌───────── バンガ  
                                │  │   │   │    │   │   │   │
       ブレイズン  ───┐    北3├──┘   │   │    │   │   └──┤東1    ┌─── キョー    
               北2先├──┐   │        │   │    │  │        │   ┌──┤北4
       ディオラ     ───┘   │   │        │   │    │   │        │   │   └─── ディージャ 
                       東3├──┘        │   │    │   │        └──┤西1
       ナッコ     ───┐   │             │   │    │   │             │   ┌─── アスタート   
                西3後├──┘         北1├──┘    └──┤東1         └──┤南2後
       テイヘンダー ───┘                  │              │                  └─── ドトー
                                          │              │
       レン     ─────────┐     │              │        ┌───────── ジェフェニ
                                │       │              │        │
       プリメーロ    ───┐    南3├──┐  │              │   ┌──┤西1    ┌─── エヒー・C   
                東2先├──┐   │   │  │              │   │   │   ┌──┤中央先
       アルビン     ───┘   │   │   │  │              │   │   │   │   └─── フローレ  
                      西3├──┘   │  │              │   │   └──┤東1
       カヤ     ───┐   │        │  │              │   │        │   ┌─── ジョーイースト
                北1後├──┘    中央├──┘              └──┤北2    └──┤北3後
       コナン    ───┘             │                       │             └─── ナイクス
                                     │                       │
       チキス    ─────────┐   │                       │  ┌───────── ヴェルヴィ 
                                │   │                       │  │  
       サナンサ   ───┐     北2├──┘                       └──┤南1   ┌─── ルックス  
                西2先├──┐  │                                  │   ┌──┤西4
       デソー      ───┘   │   │                                  │   │   └───  ツクネン   
                       南2├──┘                                  └──┤北1
       ワミ     ───┐   │                                            │  ┌─── トレオ  
                 東1後├──┘                                            └──┤東3後
       トクシ     ───┘                                                      └─── ダバダ   


 

この表を見て思った、ひい、ふう、みい・・・

ああ、明日は7試合戦うだけでいいんだ・・・ 

時計を見るともうすぐ午後10時だ・・・ 

って、お城の門限時間じゃないか、門を閉められてしまう! 

こうしちゃいられない、すぐに戻らないと・・・ 

 

「あの、バニーさん、この装備、置いていってもいいかな」 

「ええっとー、いいですよー、じゃあこのベットの下にでも隠しておいてくださーい」

「ありがとう、助かるよ」 

 

 

俺はお城目指して走る、 

12時ならぬ10時のシンデレラだ、 

ガラスの靴ではなく疲れ果てた重い足で必死に走る・・・ 

門は・・・まだ開いている!間に合う!待ってくれ、まだ閉めないでくれ・・・ 

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ま、間に合った、セーフだ、城に入れた・・・・・ぎりぎりだぁ・・・ 

 

 

ふらふらになって自分の部屋に戻る・・・ 

ドアを開ける・・・そこには・・・・・ 

 

「あ、遅いお帰りでしたね、心配しました」 

「大丈夫ですかー、なんかふらふらですよー」 

「おい、すごく疲れてるんじゃないか?どこへ行ってたんだよ!」 

「おなかすいてませんかぁ?お風呂用意できてますよぉ」 

 

あの4姉妹が待っていてくれていた。 

 

「ごめん、心配かけちゃって・・・でも食事も風呂も済ませてきたんだ・・・それより寝させて・・・」

「は、はい、どうぞこちらへ・・・」 

「私につかまってくださいー」 

「なんか衰弱してるぞ、街で何があったんだよ?」 

「はい、お水ですぅ」

 

俺はうつぶせでベットに倒れ込んだ、 

レンちゃんが口元に水を運んでくれる・・・ごくっ・・・おいしい・・・ 

 

「服が汗ですっかり濡れてしまって・・・脱がせますね」 

「すごーい、ものすごーく背中や腕がこってますー」 

「これはひどい・・・しっかりほぐさないと」 

「パンツは脱がさないから安心してねぇ」 

 

ベットの上でパンツ1枚の姿にされると、 

4姉妹はいっせいに俺の体中の筋肉をもみほぐす・・・ 

これがたまらなく気持ちいい・・・すごい心地よさだぁ・・・ 

 

ララさんが背中を丁寧にぎゅっ、ぎゅっと手のひらで押す・・・ 

リリさんが腰を具合良くぎゅっ、ぎゅっと指で指圧する・・・ 

ルルちゃんが太股とその裏をぎゅっ、ぎゅっと両足同時にもみしだく・・・ 

レンちゃんが足の裏の土踏まずをぎゅっ、ぎゅっと乗って足踏みする・・・ 

きっ、きっ、ぎもぢいいいいい〜〜〜〜〜・・・・・あ、よだれたれちゃった・・・ 

 

ふぅ、なんて丁寧に・・・強すぎず弱すぎず、抜群のマッサージ・・・ 

4姉妹のこの同時攻撃・・・戦闘だけでなくマッサージのチームワークも別群だ・・・ 

しばらくするとララさんが右肩、リリさんが左肩を抜群な角度で揉み、 

ルルちゃんが右腿のつけね、レンちゃんが左腿のつけねを抜群の角度で揉む・・・

最高の心地よさに体の芯までとろける・・・まさに天国だぁ・・・ 

 

あっ、今度はララさんが頭皮をもんでくれている、 

リリさんは首の後ろを・・・ルルちゃんは背骨を矯正してくれてる・・・ 

レンちゃんは疲労の蓄積された足の筋をほぐしてくれて・・・・・ 

う〜〜〜〜〜ん・・・とろけちゃうぅ・・・はうぅ〜〜・・吐息がとまらなぁ〜ぃ・・・ 

あっ、背中と腰のこりのひどい所を今度は4人がかりで集中して・・・ひぃ〜〜〜、いぃ〜〜〜・・・ 

きっ、きっ、きくぅぅぅ〜〜〜〜〜・・・めまいするぐらい心地よいマッサージだぁ・・・ 

あっ・・・ねっ、眠気が・・・眠気が倍増していくぅ・・・あああっっ・・・・・バターになっちゃうぅ・・・ 

 

鳥肌が立つほどの気持ち良さが延々と続く・・・ 

その気持ち良さに思わず勃起してしまったぐらいだ・・・ 

俺は深い深い眠りに落ちていきそうになる・・・すると・・・・・ 

 

「はい、では仰向けになってくださいね・・・あら、目がトロ〜〜ンってなってますわね」 

「ひっくり返してー、よいしょー・・・あ、眩しいですねー、はい、タオルで目隠しをー」 

「それにしても体中、こりすぎだよ、こんなになるまで何やってたの?」 

「もっともっともっともっともっとほぐしてあげますねぇ」 

 

仰向けにひっくり返された俺はさらに全身を揉みほぐされる、 

体中の関節を・・・丁寧に・・・丁寧に・・・ものすごく丁寧に・・・・・ 

ああっ、ララさんが左肩の関節をぐりぐり回して・・・ 

リリさんが右肩の関節・・・ルルちゃんが左股関節、レンちゃんが右股関節をマッサージぃ・・・ 

うぅぅ・・・・・ぁぁ・・・こんどは肘、膝をぐるぐると・・・女性ならではの繊細なテクニックで・・・ひぃぃぃ・・・

 

「次は手のひらと足の裏のつぼを押しますね」 

「よーく念入りにしませんとねー」 

「まだまだほぐす場所はいっくらでもあるからな」 

「血の巡りをすっごぉくよくするですぅ」 

 

あ、あへ、も、もう駄目・・・ 

このマッサージ攻めに・・・もうなすすべなく・・・眠く・・・ 

まるで筋肉をほぐすより・・・気持ちよくして眠らせるのが・・も・・くて・き・の・・・ 

・・・・・ん・・・ぐぅ・・・ぐー・・ぐー・・・ぐー・・・ 

・・・ぐーぐー・・・ぐーぐー・・・ぐーぐーぐー・・・ 

 

「・・・あら?寝てしまわれましたか?」 

「気持ち良さそうに眠ってますねー」 

「まだ油断しちゃ駄目だよ、もっと深く眠らせないと・・・」 

「そのためにぃ、もっともぉっと気持ちよくさせるですぅ」 

「・・・・・zzz・・・」 

 

力を失い眠ってしまった俺を、 

なおも執拗にマッサージし続ける4姉妹・・・ 

やがて俺は・・・・・ 

 

「ぐがあーー、すぴーー、ぐがごごごーーー」 

「す、すっごいいびきですわね」 

「それだけ気持ちよく寝てるんですよー」 

「良い夢見てるんだろうな・・・起きた時はもっといい夢心地になるけど」 

「さぁ、運びましょぉ」 

 

マッサージの追い討ちで深く深く熟睡している俺を、 

4姉妹はゆっくりと慎重に4方向から支えて持ち上げ、 

俺を部屋の外へと連れ出した・・・俺はそんな事にはまったく気付かなかったのだった。

 

 

 

・・・・・ 

・・・・・・・・ 

・・・・・・・・・・・・・・・ 

ん?・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

あ、朝か・・・ん・・・なんだ?このいい匂い・・・ 

ふっかふかの布団・・・甘い匂い・・・暖かい肌の感触・・・ 

俺は・・・今・・・暖かい肌に囲まれて・・・抱きすくめられている・・・ 

俺の顔も・・・ふかふか・・・というよりはぷにぷにとした弾力の・・・・・あれ? 

まてよ・・・冷静に・・・目を開けよう・・・こ、ここは・・・これは・・・・・!? 

 

「起きたか・・・おはよう」 

 

この声は・・・ハプニカ様!? 

俺の顔が・・・これは・・・ハプニカ様の胸にうずめられていて・・・ 

体も・・・ハプニカ様のベッドの中で横になって抱きかかえられている!!! 

 

「ハプニカ様・・・ですか!?」 

 

うもれている顔を上げ、眠い目を擦ると・・・ 

そこには間違いなくハプニカ様の美しくもやさしい顔が・・・ 

 

「よく眠っていたぞ、そなたの寝顔・・・ずっと見つめてしまったではないか」 

「こっ、ここは・・・!?」 

「見つめて・・・そなたの顔があまりにも愛しいので、つい、抱きしめて、そのまま私も寝てしまった」

「あ・・・そんな、ここは・・・ハプニカさまの、ベッド!?」 

「どうしても我慢できなくて・・・なあに、添い寝させてもらっただけだ」 

 

広く大きなベッド・・・ 

綺麗でやわらかいシーツ・・・ 

そして・・・あたたかくてやさしいハプニカ様の肌・・・ 

全身の力が抜ける・・・ああ・・・体が・・・ハプニカ様に甘える・・・ 

このまま・・・このままずっとハプニカ様に抱かれていたい・・・あぁ・・・ぁぁぁ・・・ 

 

「ハプニカ様・・・」 

「ん・・・まどろむが良い・・・いつまでもこうしていていいのだぞ・・・」 

「は・・・ハプニカ様・・・そんな、俺・・・・・」 

 

動けない・・・ 

抱きしめられたまま・・・動けない・・・ 

やさしい匂いとやわらかい温もりにとらわれて・・・

 

「ずっとこうしたかった・・・そなたと・・・」 

 

スッとハプニカ様の手が僕の後頭部をなでる・・・ 

ポン、ポンと子供をあやすようにやさしくたたきながら・・・ 

トローンと再びハプニカ様の胸の中で眠りについてしまいそうだぁ・・・ 

 

「・・・昨日はどこへ行っていたのだ?心配していたぞ・・・」 

 

昨日・・・昨日の闘いは大変だったなぁ・・・ 

・・・・・・・・・・ん?朝日が刺し込んでる・・・ 

太陽が結構高く・・・そ、そうだ、今の時間は?時計、時計・・・ 

 

「どうしたのだ?きょろきょろと」 

 

広い部屋を見回す・・・あった! 

えっと今は、7時をもう回っている! 

や、やばい!今日は決勝トーナメント、8時から試合だ! 

ハプニカ様の体から逃げるようにベットから跳び起きる、 

こうしちゃいられない、早く闘技場へ行かないと・・・寝過ごしては元も子も無い! 

 

「すいません、これから行かないと」 

「どこへ行くというのだ?」 

「実は・・・闘技トーナメントに参加してる騎士をコーチしてあげていて」 

「ほう、それで昨日はあんなに疲れていたのか」 

「はい、もうすぐ彼の試合なので行ってあげないと・・・ですから下で観戦していますから」 

「その、そなたがコーチしている騎士の名は?」 

「ひ、秘密です、絶対に!それでは失礼します!!」 

 

パンツ1枚のまま廊下へ飛び出す俺、 

自分の部屋に戻って・・・服を着てフードを被って・・・ 

東闘技場だ、急ごう!また朝ご飯食べる暇ないけど仕方が無い!! 

 

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