よし、雪沙ちゃんと行こう!

 

僕「じゃあ行くけど・・・雪沙ちゃんも一緒だよ」

雪沙「ゆきさもぉ〜?ほんとにぃ〜〜??」

僕「僕1人じゃ面倒みきれないからさ、雪沙ちゃんも一緒」

 

 

その言葉にぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでる。

 

雪沙「わぁ〜い、すぐよ〜いするぅ〜〜〜」

 

飛び跳ねたまま廊下へ・・・三姉妹の部屋へ行ったんだろう。

 

僕「雪巳ちゃんと雪菜ちゃんは留守番お願いね」

雪巳「うらやましいけどわかったー」

雪菜「はい・・・です」

 

ごねるかと思ったらそうでもなさそうだ。

元々留守番のつもりだっただろうし・・・お土産買って帰らなくちゃな。

 

雪音「あさごはんはぁ〜?」

雪絵「おなかすいたぁ〜〜」

僕「向こうで食べるから、もうちょっと待ってね」

雪音「うん〜〜」

雪絵「がまんするぅ〜〜」

 

くんかくんか・・・

うん、もうくさくない。

髪や体がくさかっただけで服は大丈夫だったんだな、

雪菜ちゃんあたりが昨日のうちに洗ってあげてたのかも知れない。

 

也幸「・・・・・」

雪菜「どうしたの・・・服引っ張らないで・・・」

也幸「・・・・・・・・!!」

 

あ、也幸くん1人で廊下に出ていっちゃった、

雪沙ちゃんを追いかけていったのかな?雪菜ちゃん戸惑ってる。

也幸くんもお腹空いてたのかな?電車でキャンディーくらいはあげたほうがいいかな。

 

僕「雪巳ちゃん、雪菜ちゃん、お土産何がいい?」

雪巳「何でもいいよー」

雪菜「私も何でもいい・・・です」

僕「何でもいい、って言われると困っちゃうかな」

雪巳「あー、じゃあケーキあったら買ってきてー、作るやつー」

 

作るやつ・・・ああ、あれか、

公園で誕生日会しようとしたら、

悪い兄三人組に見つかって食べられちゃったやつね。

 

雪絵「ゆきえねぇ〜、かんらんしゃにのりたぁ〜い」

僕「うーん、観覧車は確か無かったよな・・・」

雪音「え〜〜、ちっちゃいゆうえんちぃ〜?」

僕「大きいよ、でも観覧車は無いんだ」

雪絵「へんなのぉ〜〜〜」

 

観覧車、はちゃんと知ってるんだな。

遊園地なんて行った事ないだろうに・・・

テレビや絵本か何かで憧れてるんだろうな、これは困った。

 

雪沙「きがえてきたよぉ〜」

也幸「・・・・・(くっちゃくっちゃくっちゃ)」

僕「おかえり。也幸くん何食べてるの?」

雪沙「どろっぷだよぉ〜、いちにちいっこのぉ〜」

也幸「!!!(コクコクくちゃくちゃ)」

 

肝油ドロップか、

雪菜ちゃんに催促したけど伝わらなかったんだろうな、

このへんはさすが通訳の雪沙ちゃん、選んで良かったよ。

 

雪沙「あれぇ〜?なりゆきそのリュックどうするのぉ〜?」

僕「え?一番大きいやつだね、でもまだ空っぽかな」

也幸「・・・・・・・」

 

リュック引きずってまた廊下へ・・・

玄関の方へ行ったのかな?と思ったら今度は・・・!!

 

僕「わ!重そうだなぁ」

雪菜「リュックに何・・・詰めてきたの・・・」

雪沙「なんかうごいてるぅ〜」

雪巳「モソモソしてるー」

僕「あ!まさか、その中身は!!」

 

リュックが開いて中から出てきたのは!

 

ソヨカゼ「にゃ〜〜〜〜〜」

 

やっぱり!老猫の顔が出てきた!

 

雪巳「もー、いたずらしないのー」

雪菜「首のおっきい輪っかが・・・なくなってる・・・です」

僕「ほんとだ、エリザベスカラー取っちゃったの?」

雪沙「なりゆきぃ〜、ソヨカゼも連れていきたかったのぉ〜?」

也幸「・・・・・(コクコク)」

 

ソヨカゼがリュックから逃げ出すと、

怪我してる腕をジョリジョリと舐めはじめた。

 

雪菜「傷口開いちゃう・・・です」

雪沙「えりざべすなんとか、ろうかにおちてるぅ〜」

雪巳「あー、リュックの中、毛だらけー、洗わなきゃー」

僕「雪巳ちゃん、悪いけどお願いするね・・・さあ行こう」

雪絵「うん〜〜」雪音「いくぅ〜〜」也幸「(コクコクコク)」

 

玄関を出ると・・・暑い!

これは辛そうだ・・・滞在時間短めに設定して正解だったかな?

雪沙ちゃんはちゃんとパウダー持ってきたかな・・・換えのシャツもいるかも。

 

僕「忘れ物ない?パウダーとか」

雪沙「まってぇ〜・・・ほらぁ〜、ポシェットにはいってるよぉ〜」

僕「じゃあ行ってくるね」

雪菜「妹と也幸を・・・お願いします・・・です」

雪巳「3人ともお兄ちゃんの言うこときくんだよー」

 

お見送りに目もくれず、

階段をさっさと降りて行く雪音雪絵ちゃん。

也幸くんはちゃんと雪沙ちゃんに手を握られてる。

 

僕「もうこの時間なら、雪沙ちゃんのお父さんもお母さんも・・・」

雪沙「おしごとにいってるよ〜、かえってくるのよるだよ〜」

僕「そっか・・・許可は、いっか。もう貰ってあるようなものだよね」

雪音「えれべ〜た〜きたよぉ〜」

雪絵「はやくはやくはやくぅ〜〜〜」

 

1分1秒でも早くつきたいみたいだな、

これだとバス待つ時間もうるさそうだ、

タクシーを捕まえるか・・・電車に乗ればおやつで黙らせよう。

エレベーターに乗ると雪絵雪音ちゃんのそわそわしてる様子がよくわかる、

たまに弾んでエレベーターが揺れるくらいだ、そんなに楽しみなのか。

 

僕「さあ、1階につい・・・た・・・雅幸くん!?」

雅幸「・・・・・」

雪沙「あ〜まさゆきぃ〜、まさゆきはゆ〜えんちつれてってあげなぁ〜い」

 

ま、また余計な事を・・・

 

雪沙「ゆきねとゆきえとなりゆきとお兄ちゃんとゆきさでゆ〜えんちいくんだも〜ん」

雅幸「・・・・・・・」

雪沙「まさゆきはついてきちゃだ〜〜め!い〜〜〜〜〜だ!」

僕「こらこら、いいかげんにしなさい」

雅幸「・・・・・・・・・・・ふん」

 

あーあ、こっちを睨みつけながらエレベーターに乗っちゃった、

そして上へ・・・上ってことは僕ん家だな、雪菜ちゃんに会いに行ったのだろう。

 

僕「こら、そんな事言ったら可哀そうだよ?」

雪沙「だってぇ〜、まさゆき、下のお家でお兄ちゃんの悪口いうんだも〜ん」

僕「だからって喧嘩しちゃ駄目!兄弟、いや、双子なんだから」

雪沙「ふたごでもぉ〜、にてないほうのふたごだも〜ん、だからきらい〜」

僕「もう・・・あーあ、これでまた恨まれちゃうよ」

 

似てない双子・・・

まあ性別が違うから二卵性双生児だ、

だから言ってることは間違ってはないけど、仲は良くしなきゃ。

 

雪絵「いこぉ〜、じかんがもったいない〜」

雪音「はやくぅ〜、はぁやぁくぅ〜」

僕「わかったわかった、そんなに引っ張らない!」

也幸「・・・・・」

雪沙「なりゆきも行こうってぇ〜」

 

うーん、上に行った雅幸くんがちょっと気になるけど、

まあいっか、逆に雪菜ちゃんにフォローしてもらおう。

それで少しは雅幸くんの気が晴れるといいな、家に上がるのはちょっとしょうがない。

 

僕「じゃあタクシー止めるから、後ろの座席に4人詰めて座るんだよ」

雪沙「なりゆきぃ〜、つめてすわるんだよぉ〜?」

也幸「!!(コクコク)」

 

さあ、目いっぱい楽しんでもらわなくっちゃ。

 

 

 

 

 

電車の中、

向かいには雪絵ちゃんと雪音ちゃんが座り、

僕の隣には雪沙ちゃん、そしてその隣、窓際には也幸くんが座っている。

 

雪音「このあめおいしぃ〜」

雪絵「おいしいねぇー」

也幸「・・・・・(コロコロ)」

雪沙「あめもういっこちょ〜だぁ〜い」

僕「ついたらすぐ朝ごはんにするから待ってね」

 

顔を見合わせ楽しそうな雪絵ちゃんと雪音ちゃん、

窓の景色をぼーっと眺めながらアメをコロコロと口の中で転がす也幸くん、

その隣で楽しくってしょうがないって感じの雪沙ちゃん、なんかいい雰囲気だ。

 

雪絵「ねーねーゆきさおねーちゃーん」

雪沙「ど〜したのぉ〜?」

雪絵「ゆきさおねーちゃんと、そのおにーちゃんは、どーゆーかんけー?」

 

ぶっ!

いけない、お茶ちょっと噴出しちゃった。

 

雪沙「おともだちだよぉ〜」

雪音「ともだちー?」

雪沙「ねーお兄ちゃーん♪」

 

にこにこと僕の顔を見上げてる。

 

僕「友達、っていうよりは・・・保護者、かなぁ」

雪沙「ほごしゃだけど、おともだちだよー?」

僕「そんなに不満そうに言わなくても・・・」

雪絵「じゃ〜ゆきえもおともだちぃー?」

雪音「ゆきねもおともだちになりたぁ〜い」

僕「そういうことじゃなくって・・・」

也幸「・・・・・(ころころ・・・カリカリッ)」

 

参ったなぁ・・・

3人のお守りをするサポートに雪沙ちゃんを選んだけど、

これじゃまるっきり、4人のお守りだよ、自分で選んだとはいえちょっと大変だ。

 

雪沙「でも〜、おともだちがこいびとになったりもするんだよぉ〜」

僕「こらこら、変な説明しない!」

雪沙「え〜、まちがってないよぉ〜?」

雪音「ゆきさおねぇちゃんはこいびとになりたいのぉ〜?」

雪沙「それは〜、おにぃちゃんしだいかなぁ〜」

 

ど、どこからそんな事をを覚えてきたんだ!

・・・・・まあいいや、もう好きに言わせておこう。

変に言い訳すると墓穴を掘りそうだし、

也幸くんみたいに、じっと黙って窓の外を見てたほうが正解ぽいや。

 

僕「・・・・・也幸くん」

也幸「???」

僕「外の景色、楽しい?」

也幸「・・・・・(コクッ?)」

僕「うなずきながら首かしがれても、困っちゃうよ」

 

まあ、それが也幸くんらしいか。

 

雪音「あ〜、あれぇ〜」

雪絵「おっきいかんらんしゃぁ〜〜〜!」

僕「あ、じゃあもう付くね」

 

あの観覧車を越えれば、次の駅だ。

 

雪絵「かんらんしゃないっていってたのにぃー」

雪音「あったー、さいしょにあれにのりたぁーい」

僕「ごめん、行くのはあそこじゃないんだ」

雪音「えーーー、のりたいのりたぁーい」

雪絵「おねがいぃ〜、のせてぇ〜〜〜」

 

・・・しょうがないな。

ネズミーランドでずっとゴネられても困るし・・・

 

僕「よし、じゃあ降りよう、みんな荷物まとめて!」

雪沙「もうついたのぉ〜?はや〜い」

僕「ううん、先に観覧車だけ乗せてあげようと思って。也幸くんも行くよ」

也幸「!!(コクコク)」雪絵「わぁーーーい」雪音「うれしぃ〜〜〜」

 

 

 

慌ただしく公園前駅を降りると、

夏休みだけあってちびっこが多い・・・

噴水では雪絵ちゃんたちよりも年齢が低い子が水浴びしてる。

 

雪沙「こーえん、おっきぃ〜、はじっこがみえなぁ〜い」

僕「うん、水族館もあるよ」

雪音「すいぞくかんすいぞくかんー」

雪絵「おさかなみたぁ〜い」

僕「残念、そこにはいかな・・・あれ?也幸くんは?」

雪沙「いっちゃだめぇ〜」

也幸「!!!(じたばた)」

 

あ!野良猫を見つけて追っかけようとしてたとこを、

素早く雪沙ちゃんにつかまっちゃってる!まったくもう。

 

僕「こら!勝手に行っちゃ駄目でしょ?」

也幸「ー!ー!ーーー!!」

僕「さっさと観覧車に乗って、遊園地へ行こう」

 

観覧車へ向かう道では、

アイスクリームやホットドックの屋台が並んでる。

 

雪絵「あれたべたぁ〜い」

雪音「あれもほしぃーー」

僕「うーん、観覧車の中で食べるのは行儀がわる・・・こら也幸くん!」

也幸「・・・・・(そわそわ)」

雪沙「たべてるひとのとこいって、じーっとみててもくれないよぉー?」

 

☆すご〜〜い☆

なんとか観覧車の入り口につくと、

その高さと迫力に雪絵ちゃん雪音ちゃんは飛び跳ね、

也幸くんは口を開けて、ぽかーーーんとしちゃってる。

 

僕「よし、じゃあ入場券を買って・・・雪沙ちゃん、也幸くんを見張っててね」

雪沙「うんー、じゃあなりゆき〜、あそんでまってよぉ〜」

也幸「・・・(コクッ)」雪絵「はじめてのれるぅ〜」雪音「いちばんうえがたのしみぃ〜」

 

・・・よし、後は乗るだけだ!

乗り場への階段を登って列の後ろにつく、

雪絵雪音ちゃんは先が気になってしょうがないみたい、

也幸くんは雪沙ちゃんと何か指で遊んでる、両手を出して、

指と指を絡めあったり押し合ったり・・・ルールはわからないけど楽しそうだ。

 

雪沙「そ〜ぉだぁ〜、おしっこへ〜きかなぁ〜?」

僕「そうだね、頂上でおしっこしたいとか言われても困るから」

雪絵「へ〜きぃ〜」

雪音「がまんできるよぉ〜」

也幸「・・・(コクッ)」

 

なんて言ってるうちに、乗る順番がきた。

 

店員「こちらへどうぞー」

僕「ほらみんな乗るよ」

雪絵「うごいてるのにのるのぉー?」

雪音「おもしろーい」

也幸「・・・!」

僕「也幸くん、おろおろしてないでほら!」

雪沙「こ〜やって乗るんだよぉ〜、じゃ〜〜んぷ♪」

 

雪沙ちゃんに続いて也幸くんもジャンプしながら観覧車の中へ。

最後に僕が乗って扉が閉じられた、中は6人乗りだから結構広い。

 

雪絵「わぁ〜いわぁ〜いかんらんしゃぁ〜」

雪音「どんどんおそらにあがっていくのぉ〜」

雪沙「このままくものうえまでいって、おりられなくなるんだよぉ〜」

也幸「!!!!!(ビクビクッ!!!)」

僕「はは、そんな訳ないって、也幸くんそんなにびっくりしなくてもいいのに」

 

観覧車が上がりはじめると、

音楽とともに案内のアナウンスが聞こえてくる。

でもそんなのお構いなしに窓に顔をつけて景色を楽しむ3人・・・いや、4人だ。

 

雪絵「あそこぉー、おっきいおふねぇー」

雪音「でんしゃがあんなにちっちゃいー」

雪沙「おうちみえるかなぁ〜」

僕「え?家?僕の?それはどうだろう」

也幸「・・・・・・・・(空見てうっとり)」

 

まだうちの部屋、20階くらいの位置なのに、

まわりが開けてると、こうも景色が違うのか・・・

そう思うと雪沙ちゃんだって、外行きと家ではまた違って見えるな。

 

雪絵「あそこにおっきい町があるぅ〜」

雪音「ほんとぉー、おしろと、かざんがあるー」

僕「え?町?お城?火山?・・・・・あ!」

 

なんだネズミーリゾートか。

あれだけ広くてアトラクションの建物がいっぱいだと、

この子たちにとっては1つの大きな町に見えちゃうのだろう。

 

雪絵「あんなとこすんでみたぁ〜い」

雪音「すめなくてもいいから、おさんぽしてみたぁ〜い」

也幸「・・・(コクコク)」

 

そこが目的地なのに・・・

ついたときの喜びようが目に浮かぶよ。

 

雪沙「ねぇねぇ〜」

僕「ん?なになに?」

雪沙「え〜い♪」

 

抱きついてきた!?と思ったら雪沙ちゃんの唇が僕の唇に!

 

ちゅうぅぅぅ〜〜〜〜っ♪

 

僕「!!!」

雪沙「かんらんしゃで、ちゅ〜しちゃった〜♪」

僕「・・・な、なにするんだよ!・・・ちっちゃい子たちの前で!」

 

って言っても雪絵ちゃん雪音ちゃんは外に夢中・・・

也幸くんだけがキョトンと指咥えながら見てたけど。

金魚すくいの時みたいに、雪沙ちゃんは急に「したくなったらしちゃう」んだよなぁ。

 

僕「も・・・もうすぐ頂点だよ」

雪絵「ひとが点々みたぁ〜い」

雪音「おそらとんでえるみたぁ〜い」

也幸「・・・・・」

雪沙「なりゆき、と〜〜〜くをみてるぅ〜」

 

遥か遠くを眺めてる也幸くん、

ネズミーリゾートのずっと向こう・・・

あの方向はマザー牧場、いや、猫猫園かな。

 

僕「也幸くん、高いの怖くない?」

也幸「・・・・・・・(こくっ)」

僕「そっか、よかった」

 

みんな高さのあるアトラクションは大丈夫そうだ、

そういうのを知っておくためにも、観覧車に乗っておいて良かったかも。

さて・・・・・この、口についた唾液をタオルでぬぐおう・・・雪沙ちゃんめ!!

 

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