かなりほつれてるパジャマを着ている少女を抱きかかえ、
つま先立ちで玄関から出てきた雪巳ちゃん・・・
胸の雪沙ちゃんはまだ、まどろみの中にいるようだ・・・
雪巳「・・・はいー・・もういいですー・・・」
僕「あ、そうだね、じゃあ僕の家に行こう」
雪菜「本当にいいん・・・ですか」
僕「う、うん、逆に君たちに、本当にいいのかなあ、って・・・」
雪沙「・・・ゆきみおねぇちゃん、どこ行くのぉ?」
雪巳「しーっ!静かにしてー・・・」
ガチャッ、と鍵をかけた雪巳ちゃん・・・
ジャージの表記を見ると1年生、って中学?高校?
彼女というよりも「この子」と呼んだ方が正しそうだ・・・
エレベーターで19階まで昇り、
20階への階段の前にある厳重なオートロックにキーをさし暗証番号を打ち込む・・・
雪巳「ここ入るの初めてー」
僕「そりゃそうだよ、ここから先は僕の家なんだから」
雪菜「こっちの扉は何?・・・ですか?」
僕「そっちもキーと暗証番号が必要だよ」
雪巳「この扉の前までしか来た事なかったー」
そりゃそうだ、このマンションは上の階ほど豪華になっていく、
特に17階より上は世帯数がグンと少なくその分1世帯の部屋数もかなり多い、
6LDK・7LDKは当たり前・・・19階なんてこの大きなフロアに2世帯、
有名な音楽プロデューサーと誰もが知ってる大会社の重役が1901・1902号室に住んでいる。
まあ、その上の20階は丸々全部僕の家なんだけど・・・自慢する気はないが。
僕「開いたよ、入って入って」
階段を上がり、さらに20階の僕の家の鍵を開ける、
中へ入ると2人の少女は目を輝かせて声をあげた。
雪巳「ひろーーーーーい」
雪菜「すご・・・・・・・い」
雪沙ちゃんは目をこすってる・・・
僕「上がって上がって!こっちはオートロックじゃないから鍵閉めるね」
雪巳「うん!ひろーい!玄関だけでうちと同じ広さあるー」
雪菜「涼しい・・すごい・・・です」
鍵を閉め、3人の少女を僕の部屋へと迎え入れる・・・
明るい光の下で見ると、この子たちの今の状況がよくわかる。
着ている服は見すぼらしく、外に出てた2人は結構汚れちゃってる・・・
雪巳「この部屋、2つつながってるー」
僕「うん、和室のこっちがテレビの部屋、隣の洋室が寝室だよ」
雪菜「間のふすまが・・・ないです・・・」
僕「外しちゃったんだ、寝ながらテレビも見られるように」
雪巳「うちなんてこの2部屋でみんな住んでるのにー」
雪沙ちゃんも目をパチクリさせはじめた。
僕「とにかくもう遅いから、寝よう?でも・・・
寝るにも雪巳ちゃんと雪菜ちゃんは汚れちゃってるから・・・
お風呂入ってもらえないかな?その・・・あ、でも服は汚れたままか・・・」
どうしよう・・・下へ着替えを取らせに行こうか・・・
雪巳「い、いいのー?お風呂入ってもいいのー?」
僕「うん・・って、お風呂入ってなかったの?」
雪巳「ううん、今日入ったけどー、すぐ出ないといけないからー・・」
雪菜「ありがとう・・・です、汚れてる・・・から」
雪沙「広いの〜?広いのならゆきさも入る〜」
僕「う、うん、待ってね、お湯入れるから・・・着替え取ってくる?」
雪巳「・・・ううん、戻りたくなーい・・・」
雪菜「・・・うん、戻りたくない・・・です」
僕「そっか・・わかった」
お風呂のお湯を入れに行く・・・
あの子たち、そりゃあ、あんな劣悪な環境に戻りたくはないだろう、
服取りに行くのも嫌とは・・・っていうか、あの転がっていた服、ちゃんと洗ってるのか?
まあ、あれだけの大家族なら洗っても洗ってもきりがないのかもしれないけど・・・
それより明日、雛塚家にどう言いに行くかが色々問題だな、夜遅いけど今からでも電話すべきか・・・?
雪巳「ひろーーーーーい!」
雪菜「これなら3人一緒に入れる・・・です」
雪沙「こんなに大っきいおふろ〜、入ったことない〜!」
僕「わっ!君たち、いつのまに!!」
なんだか感激してるみたいだ・・・
僕「まだ入れないから、戻って戻って!
ほら、ゆき・・・さ、ちゃん?まだ脱がないの!」
雪巳ちゃんが雪沙ちゃんのパジャマを直して連れ出す・・
ちっちゃなおっぱいが見えた・・先がちょっとふくらんで・・・いやいや、
そんな事考えてる場合じゃないや、雪菜ちゃんも一緒に僕の部屋へ・・・
僕「えっと・・・座って、座って」
雪巳「うんー・・・」
雪菜「はい・・・」
雪沙「ん〜・・・」
僕「じゃあ・・・1人づつ聞いていこうか・・・雪巳ちゃん?」
赤ジャージの雪巳ちゃん・・・
胸に縫ってある白い生地に1年C組雛塚雪巳って書いてある、
でもジャージ自体は古い感じ・・きっとお古なのだろう。
雪巳「うんー・・・雛塚雪巳ですー・・・」
僕「中学1年生?」
雪巳「うんー・・・中1ですー」
僕「中1ってことは・・・12歳?」
雪巳「13歳になった・・・6月にー」
僕「そうなんだ・・でも中1にしては結構大きい方だよね?」
雪巳「うんー・・だから寝てたカーテンもちぎれちゃったのー・・・」
そりゃそうだ、カーテンはハンモックに使うようにはできていない。
僕「雪菜ちゃんも・・・寝る場所ないの?」
雪菜「そう・・・です」
よれたTシャツにスパッツの雪菜ちゃん、
レンズを繋げただけの安っぽい眼鏡をかけている・・・
色が白く、体も細くいかにも文学少女って感じがする。
僕「雪菜ちゃんもカーテン吊るして寝てたの?」
雪菜「ううん・・・私はずっと・・押し入れ・・・です」
僕「押し入れって・・・押し入れの中で寝てたの?」
雪菜「そう・・・です・・でも・・昨日・・全部・・・埋まっちゃって」
僕「押し入れが埋まっちゃったの?」
雪菜「はい・・・ずっと・・前から・・いろんな物で・・狭くなってきてたんだけど・・
私の体も・・大きくなってきて・・昨日・・・とうとう・・・入れなくなった・・・です」
うーん、ひどい・・・
ぎゅうっと本を抱いてる雪菜ちゃん・・・
僕「本読むの、好きなんだ」
雪菜「はい・・・家だといつも押し入れの中で・・本読むしか・・・なくて」
僕「でも押し入れって暗くない?あ、ふすま開けてればいいか」
雪菜「ううん・・・開けると弟たちがうるさいし、暴れてるから閉めて・・ペンライトで読んでた・・・です」
僕「ええっ!?目、悪くなっちゃうよ」
雪菜「だから・・眼鏡かけて・・・・・ます」
そうか・・・だから肌も白いのか。
細めなのも押し入れに入れるために・・・?
僕「雪巳ちゃんの妹って事は・・・小学生?」
雪菜「はい・・・6年・・・です」
僕「じゅ、じゅうにさい?」
雪菜「5月に12歳に・・・です」
僕「12歳か・・・」
12歳が公園で寝てちゃ・・・駄目すぎるよなあ。
僕「雪沙ちゃん、まだ眠い?」
雪沙「う〜ん、ねむくなくなったの〜」
僕「目が覚めちゃったか・・・ごめんね起こしちゃって」
雪沙「うぅん〜、広いからうれしぃ〜・・・」
僕「そう・・・いつもあそこで寝てるの?」
雪沙「うん〜、あそこしかないからぁ〜・・・」
ピンクのほつれたパジャマで正座してる雪沙ちゃん、
ちっちゃいなあ・・とはいえユニットバスの上は酷く窮屈そうだった。
僕「雪沙ちゃんは・・・3年生?」
雪沙「ううん〜、5年生だよ〜、4月22日うまれぇ〜」
僕「じゃあ、11歳だね」
うなずく雪沙ちゃん・・・
11歳にしては小さい方、だけど胸の先はちゃんと膨らみはじめてた・・・
だ、駄目だ!僕はなんて事考えてるんだ・・・相手は子供だというのに。
僕「えっと、明日学校だよね?今日は月曜だから・・今夜はお風呂入ってすぐに寝よう」
雪巳「うん・・・あのー・・・あれー・・・」
僕「え?あ・・・ゲーム?」
雪菜「あれ・・・読んでもいいですか・・?」
僕「あ、本?漫画の方かな?小説の方?」
雪沙「あれぇ〜・・・たべたい〜・・・」
僕「あ、お菓子?ビスケットとチョコ・・・」
三者三様に物欲しそうな目で見つめている・・・
僕「じゃあ、いいよ・・好きにして。お風呂溜まるまで・・・」
お菓子を開けて雪沙ちゃんに渡し、テレビの電源をつける・・・
雪沙「おにぃちゃんありがとお〜!!」
雪巳「私も食べていいー?」
雪菜「私も食べる・・・です」
僕「いいよ、全部食べても・・・って、取り合わないの!ちゃんと分けて!」
貪るように食べる3人・・・
本当に難民みたいだ、可哀相に・・・
よく見ると3人とも栄養不足な痩せかたをしてるっぽい。
僕「後はゲームと本だよね・・・ゲームはこれとこれ・・・本は好きなの読んでいいよ」
雪巳「ありがとー・・ゲームいっぱいあるー・・・」
雪菜「ありがとう・・・です・・本・・読みます・・・です」
雪沙「お菓子おいしい!おいしい!おいしいぃ〜!・・・」
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