毒が溜まっているんだろう、血清がなければ夜には・・・・・腐り始める。
最後に「愛するダーリンへ ウィンドルージュ」とキスマークが・・・
去勢処理をされる事を覚悟して、警察一家としてウィンドルージュを捕まえるか、
ウィンドルージュに従って、全てを捨てて海外へ逃亡するか・・・どっちも辛い人生になりそうだ。
打たれちゃって射精しちゃったけど・・・あの話、本当だろうか?
彼女が駆け引きに長けているのは今までの戦い、ゆうべのセック・・・アレで思い知らされた、
「でも・・・ゆうべの彼女・・・三上さん・・・あれが本心だとしたら・・・」
全てが全て、嘘とは思えない・・・それにウィンドルージュの真相も丁寧に教えてくれた、
何もかもさらけ出して、正体も明かして、そのうえで僕を欲しがっていた・・・正真正銘の愛の告白だ、
そうは言っても「去勢か警官の道を捨てての海外逃亡か」を迫られているんだけど・・・そこまでして僕が、欲しい・・・?
「信じたとしても・・・それを受け入れるかどうかは、また別だ」
この作戦通りに、本当にやるのなら、今までで一番逮捕できる確率がある。
捕まえてしまえば血清を奪い取って、注射すれば・・・そもそも毒自体が嘘かも知れないんだし。
義賊として本当の悪を暴き続けてくれた、その最後の舞台なんだ、
退職金としてラストセンチュリーを渡してもいいくらい・・・だからって僕まで渡すわけにはいかない!!
「正体がわかってるんだから、今からだって探せるよ・・・な?」
逆に動きを察知されて、ダイヤをあきらめて逃げられたら・・・去勢が待っている。
何より今まで僕のために良くしてくれていたみんなを裏切るんだ、そう簡単にはできない。
それよりウィンドルージュを安心させておいて、血清を打ってもらってから捕まえる・・・
緻密な計算をするウィンドルージュが、そんな事を想定していない訳がない、彼女の事は僕が一番良く知っている。
僕の子供・・・犯されたとはいえ、彼女のお腹には僕の子供が宿るだろう、
その子供が将来、僕と戦う事になる・・・それってかなり酷い話だ、命を何と思っているんだ!
と、怒ったところでウィンドルージュはいない・・・正直、逃げ出したい・・でも、どっちも選ばず逃げたらそれこそ最悪の結末になる。
「・・・・・もう1度会って説得・・なんて時間はもう、ない・・・よな」
「なんだろう・・・びっしり文字が書いてある・・これは・・・・・」
「えっと・・・こんな方法をとってごめんなさい、でも他に方法が思い浮かびませんでした、
ずっとずっとあなたを見つめていて、決して言葉にはできなかった事を最後に文章にして伝えます・・・」
今までのように影で助けるのではなく、これからは傍で助けたい、
もし駄目でも子供は立派な義賊に育てて、ウィンドルージュと同じように僕を助ける、
そして何より・・・どちらを選んでも、一生、僕を死ぬまで愛し続ける、と・・・そして最後に・・・
残された時間はあとわずか・・・今は・・・携帯電話を取り出すと・・・