「どうか、トレオ様を、許してください・・・ トーナメントで優勝してハプニカ様を手に入れたかった、 でも優勝出来なかったから許せない、という考えのトレオ様を、 客観的に見て許せませんか?許してあげられませんか?許してあげましょう? 国を救ったんですもの、あれだけ国のために耐えたんですもの、誰だって許せるはず、 いえ、トレオ様は自分の事だと思うから許せないのです、客観的に見ると、 逆に許さなければ、絶対間違ってます!・・・考えてみてください、もし貴方がモアスで、 同じようにトーナメントを開催し、ハプニカ様が優勝すれば結婚すると申し出て、 貴方の命を狙う者を倒したのと引き換えに棄権したとしたら・・貴方はどうしましたか? ・・・・・愛していたなら、たとえどんな結果であっても、許したはずです。 そう、本当に愛していれば、どんな結果であっても、結ばれていたはずです!!」   ・・・・・シャクナさんの言葉が胸に痛い。   「自分で自分を裁こうとするから、厳しくしてしまうのです。 確かに自分に甘える事はいけない事かもしれませんが、でも、 逆に自分を責め立てて、自分で関係の無い罪まで背負うのはもっといけない事です! トレオ様がみんなにやさしいように、私達もトレオ様にやさしくしたい・・・ トレオ様がハプニカ様やみんなを愛してくれたように、私達も、愛したいのです・・・」   ぼろぼろ泣きはじめたシャクナさん・・・   「どうか・・・どうか、トレオ様を、許してください・・・ 私からもお願いします、トレオ様はせいいっぱい頑張りました、 後の事は私達が責任を持ちますから・・どうか、どうか、許してあげてください・・・・・」   ・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・   「・・・・・シャクナさん・・」 「・・・はい」 「・・・・・許してくれるかな?」 「・・・はい?」 「・・・・・ハプニカ様たち、俺を許してくれるかな?」 「もちろんです!感謝で溢れているはずです」 「いや、俺がハプニカ様たちを振り続けた事・・許してくれるかな?」 「!!・・・それでは、トレオ様・・・!?」   ・・・・・決めた。   「許そう、自分を・・そうしないと前に進めないから」 「トレオ様!!!」 「シャクナさん、ごめんなさい、今まで俺、みんなの気持ちを踏みにじって・・・」 「謝らないでください!お願いですから!謝るのは私の方ですから!」 「みんなにも謝りたい、早く・・・ヒックション!!」   うう、寒い・・そういえばずっと裸だ。   「あ!今、綺麗に拭いて服を着せますから!」 「うん、ありがとう・・その、もう俺、みんなの事、素直に信じられそうだよ」 「嬉しい・・・嬉しいです・・・」 「やっぱり・・あの実のおかげもあるかな?虜になる、あの実・・」 「え?じゃ、じゃあ、思い浮かべたのですか?」 「そうなんだ、実は・・・みんな」 「みんなって・・・ハプニカ様たちですか?」 「もちろんそうだけど・・・シャクナさんも」   ポッとなってうつむいた・・ 涙を手でぬぐって、タオルで俺の体を拭きはじめる・・・   「じゃあ、あの惚れ薬のおかげでトレオ様は私の願いを・・」 「そうかも知れないけどそうじゃないよ、だって、シャクナさんも思い浮かべたのは俺の意志だから」 「・・・そう言っていただけると、嬉しいです・・・」 「それよりシャクナさんも体、洗わなきゃ・・お風呂とかシャワー、使えるかな?」 「はい!シグリーヌ様が1日中いつでも入れる、国王専用風呂がありますから!」   思い体を起こすとシャクナさんが手で支えてくれた。   「ありがとう、でもそんなの使って平気?」 「平気です!シグリーヌ様より偉いお方ですから!」 「そう、じゃあ信じるよ・・・早く入ろう!・・っと、まだよろけるや・・」

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