「・・・看病してくれた事、動けないのを世話してくれた事の感謝はしてる・・・ 本当にありがとう・・・でも、それで俺がこの国を救ったことと相殺にしてほしい、 もう・・・俺を解放してくれ・・・自由にしてくれ・・・・・」 「そんなっ、自由に、と申されても・・・」 「真剣に愛してますー、本当ですー」 「この命に誓っても言うよ・・・好きだ・・・」 「いやぁ、いやぁ、いやぁぁぁ・・・・・」 4人は俺に泣きすがってくる、 本気としか思えないような真剣さで・・・ いや、これはせっぱ詰まっての行動だろう、 俺への愛情ですがっているのではなく、あくまでも、 この国を守るために、そして俺をハプニカ様と結婚させたいためにだけに、 一生懸命なんだろうな・・・本当にもうつきあってられないや、 人の心を弄んで・・・俺にも意志がある事を示すためにも、振り切らなきゃ。 「じゃ、俺のどこが好きなんだよ!?」 「そ、それは毎日、申し上げたではありませんか」 「全てですー、何もかもー、全てー」 「誰にも負けない、その、強い心だよっ!!」 「好きなのはぁ、好きですぅ、好きぃ・・・ひっく」 泣き叫びながら聞こえてくるのはやはり抽象的な言葉のみ・・・ 「もういいよ、具体的に言えないだろ?」 「言い尽くせません、でも言わせていただけるなら、あの戦いで・・・」 「私たちもー、ハプニカ様と一緒に貴方を見ているうちにー・・・」 「確かに最初はハプニカ様に遠慮してたけどっ、もっ、もう関係ないよっ!!」 「かっこよくってぇ、やさしくってぇ、つよくってぇ・・・」 らちがあかない、ここでビシッと決めよう。 「・・・はっきり言うよ、強さを永久に失った俺に対して、 たとえそういう意図でなくても、強い強い言ってほしくないんだ、 はっきり言って不愉快だよ!俺をもういじめないでほしいんだ!!! 強さが、強いものだけが全てのこの国で、強い者を望むこの城に、ハプニカ様に、 もう強くない俺が強い強いともてはやされるのが、もう我慢できないんだよ!!!!!」

静かになる4姉妹・・・ 「もう俺は、君たちを・・・守ってあげられないんだ・・・ 民衆に対して一時凌ぎにはなるかもしれないけれど、またいつ、 強大な敵が襲ってくるかもしれない・・・その時に俺はこの国を、 なによりハプニカ様を守る事が、もうできないんだ・・・だから、だから、 へたに民衆に期待させるより、俺はもう、さっさと去った方がいい・・・ 何よりも、俺がもう、そんなプレッシャーに耐えられない・・補う力がない・・・ ハプニカ様にはもう相応しくない、大切な国を失うのは、もう、2度とごめんだ・・・・・」 俺も涙が出てきた・・・ 本音を、さらけだしてしまった・・・ でも、こう、本当のことを言わないとわかってくれないだろう・・・ 「・・・私たちは、貴方様の心をひどく傷付けてしまっていたようですわね」 「体と心、両方癒していたつもりだったんですがー、とんだ思い違いでしたー」 「・・・わかった、言い訳はしないよ、私たちがどう考えても悪いんだから・・・」 「いやぁ、あきらめたくなぁい、いやぁ・・・いやぁ・・・」 「・・・・・わかったら、出てってくれないかな」 黙って出て行く4姉妹・・・ レンちゃんは半ば強制的に連れてかれてるけど・・・ 「では、失礼いたします・・・」 「はい、みなさん、お元気で・・・ありがとう」 バタン、とドアが閉まり、 すすり泣く声が遠のいていく・・・・・ 「さて、荷物の整理を続けなきゃ・・・」

ガチャ・・ 荷物を再び手にしたと同時に、 またドアが開いた、今度入ってきたのは・・・ 「おにぃちゃん・・・」 「ミルちゃん・・・」 「お姉様、ショックで寝込んじゃった・・・うなされてるのぉ・・・」 「そ、そう・・・」 「おにぃちゃんの名前、呼び続けてるの・・・来てぇ・・・」 悲壮な表情だ。 「ハプニカ様の体が・・・何か?」 「うん・・・おにぃちゃんしか治せない・・・」 「・・・・・ごめん、これ以上、もうつきあえないんだ」 「おにぃちゃん、毎日日記聞いてくれたよね?お姉様の気持ち、わからないのぉ?」 「・・・やっぱり信じられないんだ、ハプニカ様を・・・」 「私のつけた日記が、作り物だと思うのぉ?」 「そうかも・・・しれないね」 「ひどい・・・ひどい・・・」 ガクッ、と膝から崩れ落ちるミルちゃん・・・

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