☆18禁裏小説7☆
暗い表情になるシャクナさん・・・
「まだ、そのような事を・・・!!」
「いや、待って、もし、もしもだよ、もしそうなったら、って」
「そうですね・・・国民は皆、すでにトレオ様が新国王だと信じていますから・・・」
「信じてるって・・・!?」
「この国の全ての闘技場の入り口に、トレオ様の像が立っているのはご存知ないのでしょうか?」
「え、ええっ!?」
よろよろとベットから降り、
窓から中央闘技場をよーく見ると・・・
ある・・・!しかも、ばかでかいのが・・・!!
「トレオ様がトーナメントで倒られた後・・・トレオ様の正体を知って・・・
事の全てが明らかになって・・・民衆は嘆き悲しみました・・・そしてその怒りは・・・
スロトとその一味はもちろん、ハプニカ様にまで向けられてしまいました・・・」
「そんな、ハプニカ様は何も知らなかったはずでは・・・!?」
「ええ、もちろんです、だからなおさら・・・ハプニカ様のせいでもあると・・・」
「それで、ハプニカ様は?」
「ハプニカ様自身はあれから1週間以上、気を病んでしまわれて・・・
民衆は暴動を起こしかけたのですが、とっさの判断で鎮圧させる事ができました、
トレオ様は生きていて、ハプニカ様と結婚なさると発表する事により・・・」
「え、え、えーーーーー!?」
もう、そんな事が発表されてる!?
「民衆は大戦を戦い抜き、たった一人でこの国をも救った英雄が国王になるということで、
大喜びしました、それは『英雄トレオはなんて心が広いんだ、我々の罪を許して王にまでなってくれるなんて』と、
自主的に大きな像まで作るほどに・・・実際、我が国の治安はそれで保たれています」
「なんてことだ・・・」
「みんな、負い目を感じているんです、しかしそれと同時に、愛してもいるんです、トレオ様、あなたを」
「そう言われても・・・」
「この国の王にふさわしいのは、いえ、この国の王になれるのは、トレオ様、もう貴方様だけなのです!」
「じゃあすでに、俺が国王に!?」
「はい、ですからトレオ様がこの国を去ってしまえば・・・もう、むちゃくちゃに・・・!!」
・・・・・これはもう、立派な脅迫だ。
「勘違いしないでください、皆様が、ハプニカ様たちがトレオ様を愛しているのは・・・」
「もういいよ」
「も、もういいって・・・!?」
「これじゃあ、俺の意志に関係無く、選ぶ道は1つしかないって事じゃないか」
「それは、その・・・」
「・・・考えなくっちゃな、良い方法を・・・」
「何の方法でしょうか・・・!?」
国民が暴動を起こさず、俺がこの国を去る方法を、だよ・・・
それから俺は必死で歩くトレーニングをはじめた、
1日でも早く去らないと、快楽の渦に飲み込まれるからだ、
やがて月日がながれ・・・季節が冬を迎えようとしていた・・・・・
「いっちに・・・いっちに・・・」
「すごいではないか、城の中を走れるとは」
「まだ軽くですよ、ハプニカ様」
「これならばもう少し頑張れば、また元の力が取り戻せる」
「・・・いや、そうは思いません・・・ハプニカ様、あとでお話があります」
「何だ?・・・わかった、そなたの部屋に伺うとしよう」
「いえ、私が玉座まで・・・」
窓から外を見ると冷たい風が吹いている、
雪が降ってしまうとこの国は完全に地上の道が断たれ、
空からでなければ行き来できない孤島状態になる、そうなると歩いてここを去る事ができない・・・
「話というのは・・・やはり?」
「はい、これの事です」
俺はハプニカ様から預かっている結婚指輪を出した。
「・・・決心してくれたのであろうか?」
「その事で、1つだけ質問があります」
「・・・何だ」
「ハプニカ様、思い出してください、あの、トーナメントの戦いの時・・・」
「ああ、あまり思い出したくないが・・・」
「あの時、トレオという男が私だと気づいていましたか?」
「・・・・・いや、気づかなかった」
「本当ですか?嘘ではないですよね?本当に私だとわからなかったのですか?」
「もちろんだ、わかっていたら、あんな事には決してならなかった・・すまぬ」
「そうですか・・・よくわかりました」
「本当にわからなかったのだ・・・許して欲しいとは言わない、だが、しかし・・・」
「そういう事を言ってるのではありません・・・これでわかりました」
「な、何をだ!?」
一息ついて、俺は大きな声で言う。
「ハプニカ様は、俺を愛してなどいない!!」
絶句するハプニカ様、かなり驚いた表情だ・・・
「あのトーナメントの時、トレオという男は、優勝したらハプニカ様と結婚したいと言った、
それをハプニカ様は了承した・・・つまり俺でなくても強い男なら誰でもいいって事だ、
俺のことを最初から愛してはいなかった、いや、俺を愛していたにせよ、俺より強い男であれば・・・
スロトが嘘を、なんて言い訳は通用しない、ちゃんとハプニカ様自身がその条件をスロトから聞いて、
了承したという事はリハビリ中に聞いた、つまりハプニカ様が愛しているのは俺なんかではなく、
ただ単に強くて都合の言い男を、愛しているって事にしたいだけなんだ!!!」
まるっきり動けないハプニカ様に俺はたまっていた物を吐き出す。
「正直、裏切られたと思いましたが、仕方がない事なんだとも思いました、
同情はしますが・・・でも、それと結婚は別です、もうそれにつきあう気はありません、
俺がいないと困る事情も知っていますが・・・俺も困ります、もう力がないんですから」
まだ動けないでいるハプニカ様、視点が合ってないような・・・!?
「とにかく、私は明日、もうこの国を去ります、そして2度と会う事はないでしょう・・・
ハプニカ様なら国民をちゃんとなだめる事はできるはずです・・・頑張ってください・・・
では・・・これで、失礼します・・・・・」
ハプニカ様に背を向ける・・・
これで、これでいいんだ、これで・・・・・
「・・・あ・・・う・・・あ・・・・・」
言葉にならない声を背に、
俺は王の間を去った・・・・・
「これはいらない・・・これもいらない・・・これは俺のだ、えっと・・・」
荷物を整理する、
明日は夜が明ける前にもう出ていった方がいいだろう・・・
とガサゴソやっていると4姉妹が血相変えて飛び込んできた!
「こっ、この城を去るって、本当でしょうか?」
「嘘ですよねー?嘘って言ってくださーい!」
「ハプニカ様、部屋に篭っちゃったぞ、ミル様が面倒見てるけど・・・」
「ふ、ふえぇぇぇん、お願いですぅ、行かないでくださぁいぃぃ・・・」
「・・・もう決めた事だから」
「そんな・・・あれほど私たち、愛し合ったじゃありませんか」
「そうですー、なのにー、なのにー・・・」
「何がいけなかったんだ?教えて欲しい・・・すぐに直すから!」
「やっぱりぃ、やっぱり私のせいでぇぇぇ・・・」
「いいかげんにしてくれよ!!」
「ひっ・・・ひっく・・・ひっく・・・」
「ぐすっ・・・な、涙がぁー・・・」
「嫌だよぉ・・・行かないで・・・お願いだよぉ・・・」
「もぉ、もぉ、生きて・・・いけなぁい・・・」
「・・・はっきり言わせてもらうけど、君たち、ハプニカ様の親衛隊だろ、
だからハプニカ様と結婚する予定の俺を好きになった、って都合がよすぎるよ、
第一、大戦の時、俺のこと好きだったか?ここへ来てからも・・・急に第何王妃とか言って、
それってあのトーナメントの後じゃないか!結局はハプニカ様と同じ、単なる政略結婚だよ、
そんないいかげんな気持ちの愛情なんて、本当に俺の心を捉える事はできやしないさ!さっさと出てってくれ!」
「ひ、ひどい・・・」
「そんなー、そんなー・・・」
「誤解だよ・・・誤解だよっ・・・」
「えーんえーんえーんえーんえーん・・・・・」
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